『芸術新潮』(閑人亭日録)

  昨日の椹木野衣バルテュスについて書いた文章の流れで『芸術新潮』2001年6月号新潮社、「追悼特集 バルテュス」を開く。キャッチコピーは「なぜあなたは 少女を描くのですか?」。画集として見るにはいいが。
 『芸術新潮』1994年3月号、特集「常識よ、さらば! 日本近代美術の10章」を開く。

《 欧米で暁斎や工芸品の人気が高い理由は、機知や意匠性、高度な技術性などさまざまな理由が考えられるが、つきつめて言えば、それらが日本の人々の現実の生活や 風俗、精神、思考、歴史などを、西欧の”芸術”理念にわずらわされることなく率直に表明している点にあるように見える。 》 佐藤道信「第2章 欧米がひれ伏した ”画鬼”河鍋暁斎」 18頁

 椹木野衣・編『日本美術全集 第19巻 拡張する戦後美術』小学館の内容を連想。
 田中修ニ「第3章 彫刻史に仲間外れにされた人形・置物」も興味深い。

《 一方、朝倉文夫東京美術学校出身の若手彫刻家たちが官展の彫刻というものを作り上げていったという状況も無視できない。そこで形成された彫刻に対する 固定観念に問題があることは、現在の日展の、裸体像ばかりで占められた彫刻部門と前衛的な造形を許容している工芸部門を見れば一目瞭然であろう。 》 26頁

《 江戸時代に大きな発展を遂げた大工彫刻や人形、置物などから始まっていく「もうひとつの彫刻史」は、日本の近代美術史が見失いがちな時代の継続性を跡づける。  》 26頁

 『芸術新潮』1995年3月号は特集「日本人が見捨てた明治の美 「置物」彫刻の逆襲」。

《 さて、輸出向け商品となった工芸は、とうぜん西洋人の目を惹くようにアレンジされたが、そのアレンジは主に細工の過剰さとなってあらわれた。というのも 図案の面では、日本風を守ることが西洋人にたいして効果的だと判断されたからである。しかもその日本風は次第に形骸化していった。西洋人には日本文化の深淵が 理解されにくいだろうという理由で、図案から奥行きのある表現が省かれてしまったのだ。(中略)明治工芸はその図案を”えせ日本風”に自己規制してしまったが ゆえに、職人の腕の見せどころは細工のいびつな増殖に向かわざるをえなくなったのだといえよう。 》 樋田豊次郎「”絢爛豪華”を輸出せよ 明治職人の生き残り 大作戦」 55頁

《 技巧がどぎついと見えるか神業のように見えるかの違いは、つきつめれば自分の所属する時代や文化の趣味にかなっているか否かの差だともいえるだろう。そうした 相対的評価にこだわるよりも、明治の職人たちの、技術的進歩を良しとする信念と、とりわけ技術的研鑽にかけた意気ごみに、いまは関心を向けるべきだろう。 》  樋田豊次郎「”絢爛豪華”を輸出せよ 明治職人の生き残り大作戦」 60頁

 特集では高村光雲が大きく扱われている。その一エピソード。

《 一方光雲が激賞した光太郎作品が〈鯰〉。逆目の処理など主に技術的な上達ぶりを褒めたのだが、ついでに「此処の所に貝殻を彫って添えると面白い置物になる」と 余計なことを言って息子を失望させる。 》 「父が絶賛した光太郎の鯰」 27頁

 東京新聞のきょうの運勢”最終の事を念頭において事を始めるべし。”を朝読んで臨終と誤読。そうだなあ、私の遺族が困惑しないようにしておかなくては、と思いを 巡らした。借金は無し。家財道具はろくに無し。稀覯本は殆ど無し。本、レコード、CDは業者へ。他にはない。楽な遺物ばかりだな。いやいや美術品があったわ。 これとて二組の遺族から返還(!)の申し出があり、洋画はぐっと減って美術倉庫はずいぶん空いた。二人の大きな絵画の行く末を憂慮していたが、気が楽になった。 遺族はどうするのだろう、と逆に心配する。

 昼、友だちとトロンコーニのプリンを初めて味わう。最初の一口でおお、とともに驚く。これはいい。クセになる。

 ネット、うろうろ。

《 東京五輪のオリンピックチケット、開会式と閉会式どちらもA席当選してしまったんだがww 》 はま
  https://twitter.com/ha0513ma/status/1141480827676553216

 お値段、以上。

《  日本人の釣られやすさは夏の暑さくらいじゃ止められないからな
  対策してきてるかと言うとそんなことも無く
  緊急搬送がしょっちゅう起こる/オリンピック 》

《 わずか5分(安倍首相の応える時間分を引いたらもっと少ない)の党首討論でこれだけ具体策を示して詰め寄ることができるのだから、そりゃ 与党が予算委を開きたくないはずだ。もっと時間があればどれだけ素晴らしい追及を野党が見せてくれることか。逃げずに仕事しろ、税金ドロボーの安倍自公政権。 》  ニヤリ本舗
  https://twitter.com/niyari_honpo/status/1141666602259140614

《 党首討論のやりとりを羅列し「すれ違い」と報じるのはもうやめよう。ネットで動画を見たらわかることだ。いつも「野党は対案を示せ」と言ってるのだから、 枝野氏や志位氏が示した対案を専門記者がただちに解説し議論をすれ違わないように深めていく。それが新聞の存在意義だ。 》 鮫島浩
  https://twitter.com/SamejimaH/status/1141500241192951808

《 高収入の人の税率が高いのはその高収入は社会インフラ(道路とか電気ガス水道治安教育)に多くを負っているからなんだよね。高額納税者はこれらのインフラの どれかひとつでも欠けたら高収入を得られなくなるから税率が高いのさ 》 Simon_Sin
  https://twitter.com/Simon_Sin/status/1141534620950777857

《 年金控除の手続きをしたとき、年金事務所の職員に「あなたみたいな若い人が年金を納めないからいまの受給者が困ってる」と言われたので 「グリーンピアで無駄にした年金を国が返してくれたら困ってないのでは」と言ったらすごい顔して黙ったことを思い出しました。 》 tamtam
  https://twitter.com/tamutm/status/1141581805830594560