『論理哲学論考』ニ(閑人亭日録)

 古田徹也『ウィトゲンシュタイン 論理哲学論考角川選書2019年初版を読み進める。そういうことか、とたしかにわかりやすい。しかし、翌日になると忘れている。 記憶力の低下なのか、元々からなのか。前日読んだところをまた読み返すハメに。結局わかった気になっただけで、理解・納得・腑に落ちてはいなかった。美味いものを 胃に送るのは早いが、難しいことがらを理解し記憶に留めるのは・・・かなり、すごく遅い。これが現実。気になった箇所があまりに多いので、選んで列記。

《 すなわち、我々はある意味で語りえないことがあるということを語りうるというのである。 》 31頁

《 ウィトゲンシュタインの言う「論理空間」とは、我々に想定しうるだけの可能性が目一杯寄せ集められた、最も広い空間のことだと言える。 》 41頁

《 最初にss1でも確認したように、物をどれだけかき集めても──あるいは「存在する」であれ何であれ、事態ではないものをどれだけかき集めても──事態には ならない、というということである。言うなれば、「はじめに事態ありき」なのであり、その他のものはいずれも事態から分節化される(特定の仕方で切り分けられる) のである。 》 47頁

《 この可能性のことをウィトゲンシュタインは、物(対象)の形式と呼んでいる(ニ・◯一四一節)。 》 48頁

《 対象の形式とは、それが論理空間内の様々な事態のなかに現れる可能性=事態の構造の可能性にほかならない。それゆえ、世界がどのようなあり方をしようと不変 なのである。 》 53-54頁

《 他方、命題をはじめとする像は、必然的に、特定の事態を表現する模型である。この、像と事態の表現関係を表すために、ウィトゲンシュタインは特に、写像という 用語や、像が現実を写し取るといった言い方を導入している。 》 66頁

《 いずれにせよ、像が像である限りそれが写し取る現実と共有していなければならない何かの総称を、彼は先の節で「論理形式」と呼んでいる。それはちょうど、 どんなに荒唐無稽な事態であれ、論理的に可能な事態の総称を彼が「論理空間」と呼んでいるのと同様である。つまり、ここでの「論理形式」とは、 何であれ論理的に可能な写像形式すべてを指す用語なのである。 》 70頁

《 彼は、個別の写像形式や像のひとつひとつではなく、論理形式や論理像という全体を問題にしようとしている。 》 71頁

《 つまり、最終的には、像とそれが写し取る現実とが何を共有しているかを語ることは不可能なのである。しかし、語りえなくとも、像が像として働いていることは、 対応する現実との間で何らかの写像形式が共有されていることを示している、とウィトゲンシュタインは言う。この、「語りえないが、示されている」という図式は、 『論考』という書物を読み解く最も重要な鍵となるので、よく覚えておいてほしい。 》 72頁

 こういうキャッチ・コピーめいた文言は、使いたくなるので忘れない。

 昨晩、誘われて車に同乗、ブックオフ函南店へ。阿部和重グランド・フィナーレ講談社文庫2007年初版、太田忠司『死の天使はドミノを倒す』文春文庫2017年初版、 同『ミステリなふたり ア・ラ・カルト』創元推理文庫2016年2刷、計324円。自転車では全く行く気はなかった、けど。きょうは最高気温34.1℃。古本屋は行けない。

 ネット、うろうろ。

《 明日は古本屋に行かないぞ。 》 杉江松恋
  https://twitter.com/from41tohomania/status/1156549819982217216

《 書斎より所帯を持てといわれて発狂する人ばかりのTL。 》 coco
  https://twitter.com/coco_n/status/1156792509952954369

《 本がたくさん届いた。今日は良い日だ(c北原さん)。だけど支払いが大変だ(自業自得ともいう)。 》 黒白
  https://twitter.com/MadHatter1933/status/1156784868145037312

《 先日「最盛期でも、年間に買う本は750冊ぐらいでしたね」と言ったら、「えっ、そんなに少ないの?」と言われました。全く参考にならない人たち……。 》  北原尚彦
  https://twitter.com/naohikoKITAHARA/status/1156585228422516736

《 札幌は史上初(1961以降観測史上初)の二日続けて熱帯夜。本日も熱帯夜らしい。「あなたと、熱帯」という歌を思い出すなど。 》 ストラングル・成田
  https://twitter.com/stranglenarita/status/1156545159279992832

《 むちゃくちゃ暑いんだけど、本当にこんな暑い中でオリンピックやるの? 誘致する時に8月の東京は「アスリート が最高の状態でパフォーマンスを発揮できる 理想的な気候である。」って言っちゃったけど、言った人、ちょっと外を走ってみろよ。本当に理想的だと思うんだったら、すっごいバカだぞ、お前。 》  よしだ まさし
  https://twitter.com/garakutahuuun/status/1156768903428579334

《 1819年の今日はアメリカの小説家、ハーマン・メルヴィルが生まれた日です。「白鯨」はサマセット・モームの世界十大小説に選ばれますが、 生前は作品を認められず、死後30年を経た1921年に再評価の動きが起こりました。 》 愛書家日誌
  https://twitter.com/aishokyo/status/1156703606625714181

 小原古邨は没後七十余年経ってやっと日本でも脚光。北一明は没後十年にもならぬ、か。

《 このような特集を見ると、『出版状況クロニクルⅣ』で繰り返し批判しておいた丸善の小城武彦と松岡正剛松丸本舗プロジェクトを想起せざるをえない。 これは書店の実情に通じていない二人が「本の未来」に挑んだことになるけれど、失敗に終わったプロジェクトである。それなのに「奇蹟の本屋、3年間の挑戦」 と銘打たれ、『松丸本舗主義』(青幻舎)として、あたかも成功したプロジェクトであるかのように喧伝されたことになる。/ 7.『自遊人』(8月号)がやはり 「『本』の未来』」特集を組んでいる。》  出版状況クロニクル135(2019年7月1日~7月31日)
  http://odamitsuo.hatenablog.com/entry/2019/08/01/000000

《 これも『歴史戦と思想戦』で指摘した話だが、権威主義的思考の人間は「強い力」を信奉し、「弱さ」と憎悪と軽蔑の対象にする。 安倍政権も維新も、そんな人間の支持を基盤にしているので「弱い人」の側に立つ政策はとれない。逆に「弱い人を足蹴にする」ことで人気を維持する。 》 山崎 雅弘
  https://twitter.com/mas__yamazaki/status/1156558544092557313

《  原発推進派の政治家とその家族は、福島原発の隣で一年間自給自足生活ってのはどうだろう。
  『鉄○ダッシュ』的な感じで  》 伸べぇ
  https://twitter.com/tomato_tyudoku/status/1155738828134473729