『空間へ』三/つりたくにこ(閑人亭日録)

 磯崎新『空間へ』美術出版社1979年8版(1971年初版)を少し読み進める。以下気になった箇所を。

《 広告的建築である場合、かえってディテールの実験は大胆にできる。ディテール的、あるいはアクロバティックな形態も充分に広告的効果をあげうるからだが、 そこから腹にこたえるような緊張感あふれるデザインがでてこないこともまた事実であり、いまのところ結果的に広告に利用されるか否かにかかわらず、もっぱら広告的な 要素に背をむけて拒否しつづけた作品の方が、充分にすぐれた結果をうんでいることもまた事実なのだ。 》 「広告的建築のためのアドバータイジング」 72頁

《 等質空間を仮定することは、いわば図書館の場合その成長性と変動性を単純に理解し、それらが内包する成長と変動の《方向性》への判断を放棄したときに発するので ある。等質空間は成長と変動に絶対的に対応しようとした結果発見された概念だともいえる。そのなかでは成長と変動は自由自在である。自由自在だということは、つめて いうと百パーセントの完璧性をもつことなく、すべての用途間の最大公約数をさがすことになってしまうのだ。《方向性》への判断放棄は、建築を動態的に把握する きっかけを失ってしまう。 》 「プロセス・プランニング論」 88頁

《 かくして、ひとつの段階(あるいは規模)のもとでは背後にかくされていた機能が、規模の増大につれてつぎの段階を決定的なものにしていく場合が十分に予想される のである。この性格を私はかつて発展段階の分析にあたって発生的要因と呼んだのだが、生物学的用語との関連を考えると創発的形質(EMERGENT)としてもいい。 創発的形質という概念のなかには単調な進化でなく、突発的でドラスティックな展開がなされるという意味がこめられている。すなわち成長は連続していないのだ。 》  「プロセス・プランニング論」 94頁

 別の意味で気になった箇所。

《 建築の全体像が閉じてしまい、変動に耐えられなく結果を生ずるのはこういう転倒が行われた時である。それらの建築もいったん出現すると漸次的に変動を始めるのだ 。しかしながら閉じたプランは美学的にも閉じてしまう。もはや終末のあとの硬直をうむのだ。幸いにこの設計ではそういうやり方をとらざるをえなかった。 》  「プロセス・プランニング論」 91-92頁

 ”幸いに・・・やり方をとらざるをえなかった”。意味のつながりがよくわからん。”幸いに・・・やり方をとらなかった”ならわかるが。理解力がないか。

 午後、拙文「管見 よそ人三島見聞記」で使った本をかばんに入れてボイスキュー(FMみしま・かんなみ)の小坂真智子さんへ届ける。重い~。
  https://k-bijutukan.hatenablog.com/entry/2019/09/25/185405
  http://777fm.com/personality/2015/05/post-7.html
 夕食を終えて再び本へ、の時に電話。『ガロ』で活躍した故つりたくにこさんのご主人から。久闊を叙し、話はつりたくにこ作品集『フライト』青林工藝舎2010年へ。 な、なんとイタリア版が出版された! 青林工藝舎版を元にして二回りほど大きな立派な本! それを来月末あたりに持ってきてくれる! さらに続いて、来年には スペイン版、アメリカ版が出るそうな。いいものはいい、復活する。バンザイ! さらにいい話は続くが、きょうはこれまで。
  http://www.hirano-masahiko.com/tanbou/1388.html
  https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%A4%E3%82%8A%E3%81%9F%E3%81%8F%E3%81%AB%E3%81%93

 ネット、うろうろ。

《 日本一のハロウィン・パレード in みしまが盛大に開催! 》 エブリワンRアカデミー
  http://www.els-1.com/activity_report/527/

《 吾妻さんが遂に亡くなったというんだが、少年誌のギャグ漫画家だった彼にSFのパロディ描かせたのも、ロリコン漫画描かせたのもおいらです。 》 ネットゲリラ
  http://my.shadowcity.jp/2019/10/post-16506.html

 愛好する漫画家だった。棚には単行本12冊、文庫本7冊。新井素子との共著『ひでおと素子の愛の交換日記』『続…』『新…』も。合掌。

《 象徴天皇制のあり方探る 原武史氏・ルオフ氏対談 》 日本経済新聞
  https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51213430R21C19A0000000/

《 空疎な言葉を紡ぎ、教養もなく、身内贔屓で、外交で手玉に取られ、幼児性の逆ギレを起こす「代表」が、「象徴」の真摯な姿勢、聡明さ、公平さ、外交における 敬意と名望、泰然たる風格を際立たせるために据えられているのだとしたら? ユリアン、敵は相当にしたたかと言っていい。>偽ヤン 》 猟奇の鉄人
  https://twitter.com/kashibaTIM/status/1185650465532329984

《 第4の矢ウソノミクス 》

《 日本はあまり法治国家じゃないし、コネと利権だらけだよね。若いころは日本はどうのこうのいいながら進んだ国だと思ってたので、 震災後ようやくその現実に気がつくようになってきたよ。不明を恥じてます。 》 東浩紀
  https://twitter.com/hazuma/status/1185787328897245190

《 NY住み始めたときは「ああ自分はなんてぬるま湯のような平和ボケで幸せな場所で生きて来たんだろう」と思ったけど、こないだ日本に帰ったら日本の方が空気感が 殺伐としてて、NYの方がはるかにのどかだと感じる。震災以降確実に変わって来ている気がする 》 Sembo / センボー
  https://twitter.com/1000b/status/1185410855212666880

《 いまの政治に対抗して、社民主義的でノーブル?な「良い国」を作るのは人間の成り行きとしてもう無理ではないかと思いつつある。人間の色々なタガが 外れてしまった。それはドゥルーズガタリなら脱領土化と呼ぶ運動だが、それはさらに激化するし、それを抑圧するものとしての社民はもう無理だと思う。 》  千葉雅也
  https://twitter.com/masayachiba/status/1185885724094001154

《 当然、いまの政治を追認するわけではない。課題は、いまの状況にダメ!と叱って「抑圧」するのではない、国家やグローバル経済活動の別の未来を考えること なのだと思う。かつて「共産主義」ととりあえず呼ばれていた未知の状態が、いま改めて問題になっているのだと思う。 》 千葉雅也
  https://twitter.com/masayachiba/status/1185885727420084225

《 ネトフリでときどき村西とおる監督の実話をもとにしたドラマ「全裸監督」を見てるのだが、妻がなぜかしょっちゅう間違えて「全裸警察」と言う。 そんな番組はないっていうのに。あったら見たいが。 》 高野秀行
  https://twitter.com/daruma1021/status/1185809353032355841