河東碧梧桐の俳句(閑人亭日録)

 27日の東京新聞「読む人」欄の石川九楊河東碧梧桐 表現の永続革命』文芸春秋への関悦史の書評を読んで、加藤郁乎「河東碧梧桐」(『鑑賞現代俳句全集 第一巻』 立風書房1981年初版収録)を開く。

 河東碧梧桐の俳句は読んだことがなかった。『現代俳句の世界 16』朝日文庫1985年の全16巻には未収録。平井照敏・編『現代の俳句』講談社学術文庫1993年初版にも 未収録。平井照敏の解説「現代俳句の行方」では。

《 近代俳句をひらいた子規は新を求め、俳句を文学にしようとしたが、俳句分類を続け、俳を理解するバランスのとれた革新者であった。子規の死後、子規の新追求の 面のみを求めて急進し、若者の意見にふりまわされて自爆するのが碧梧桐であった。これではならずと、俳句を本来の俳の方向にひきもどしたのが虚子で、 》

 それで一番手は高浜虚子。『現代俳句の世界』でも一番手は高浜虚子。碧梧桐はばっさり切られている。全30巻の『日本の詩歌 3』中央公論社は「正岡子規  伊藤左千夫 長塚節 高浜虚子 河東碧梧桐」。しかしこの巻はもってない。雑誌『國文學』「9月臨時増刊号 鑑賞・近代の名歌名句1000」學燈社1978年には、 河東碧梧桐高浜虚子は、六句ずつ収録されている。碧梧桐の俳句。

   ちさい子の走りてあがる凧

   檜磨(と)ぐ里人花に背きけり

   簀(す)の中のゆるき流れや水馬(みづすまし)

   抱き起す萩と咲かるる野分かな

   いぶしたる炉上の燕帰りけり

   螽(いなご)飛ぶ草に蟷螂(たうらう)じつとして

 永田耕衣『名句入門』永田書房1978年初版に収録の碧梧桐の俳句。

   この道に寄る外はなき枯野哉

 大岡信『百人百句』講談社2001年4刷収録の一句。

   空(そら)をはさむ蟹(かに)死にをるや雲の峰(みね)

 大岡信朝日新聞連載の『折々のうた』には十句。

   空(そら)をはさむ蟹(かに)死にをるや雲の峰(みね)

   牡蠣殻(かきがら)や磯(いそ)に久しき岩一つ

   春寒し水田の上の根なし雲

   赤い椿(つばき)白い椿と落ちにけり

   ひやひやと積木が上に海見ゆる

   五月雨(さみだれ)や鴉(からす)草ふむ水の中

   ひたひたと春の潮打つ鳥居(とりゐ)哉(かな)

   鞍(くら)とれば寒き姿や馬の尻(しり)

   流れ藻も風濁(かざにごり)りして行々子(ぎょうぎょうし)

 大岡信の解説から。

《 「行々子」は葭切(よしきり)。(中略)「風濁り」の語は辞書にも見当たらないが、実にいい言葉と感じられる。 》 『第十 折々のうた岩波新書1993年2刷  63頁

 見事にバラけている。さて加藤郁乎の評論だが、それは明日に。

 昼前、源兵衛川最下流部と周辺のヒメツルソバを除去。一昨日の案内で見つけてしまった。土のう袋六分目。やれやれ。一汗。

 東京新聞連載、木俣正剛「文春の流儀 19」は「松本清張さん②」。その結び。

《 その夜、泊まった萩の名宿では、宿の人が必死でつくった大ごちそうが出ました。あまり食べ物に興味がない先生が「この白身魚の刺し身はおいしい。なんの魚だ」と言い出しました。旅館の人は、全員下を向いたままです。答えにくかったのでしょう、それが刺し身コンニャクだとは。 》

 ネット、うろうろ。

《  18億円かけたサイバー攻撃対策システムが利用されないまま2年間で廃止されていた。
  高市総務大臣「今後は適切に対応していく」

  2000億円かけた住基カードは普及率がたった5.5%で廃止。
  マイナンバーは初期費用2700億円、維持費に年300億円、普及率13%で今年度は2100億円を要求。
  舐めてんのか、総務省 》 にゃん吉
  https://twitter.com/umetaro_uy/status/1189090730364391425

《 日本人が支配層へ反抗する方法は、革命じゃなくて一揆サボタージュじゃなくて逃散。 》 パ一ティフ一ド同好会
  https://twitter.com/partyfoodism/status/1188995454303756288

《 「玉に瑕」を「玉に瑕」ってちゃんと発音できる人がどんどん減ってきてるな。みんな「玉に瑕」じゃなくて「偶に瑕」って発音してる。 》 菅野感
  https://twitter.com/prewarwrestler/status/1188868186524942336

《 宇宙のナポリタン、コスモポリタン。 》 gaecen
  https://twitter.com/gaecen/status/1188831036785840128