國分功一郎『原子力時代における哲学』晶文社2019年初版、「第一講 一九五◯年代の思想」を読んだ。連続講演が元になっているので読みやすい。内容は深く鋭い。
《 リニアモーターカーはいったい何年研究されていたのでしょうか。やっと最近、実用化などと言っていますが、あんなものを作るのは単なる自然破壊でしかありません。 でも、その頃はそういうことは思いつかなかった。やはり七◯年代ぐらいまでは科学信仰が残っていたのだろうと思います。 》 「1 原子力を考察した二人の思想家」 35頁
《 デカルトはまさしく〈肉体の目〉と〈精神の目〉を疑い、そこからなんとか這い上がろうとして「我思う、故に我在り」の命題を獲得した。その意味でガリレオの 地動説こそが、近代の始まりであると(ハンナ)アレントは考えます。 》 「1 原子力を考察した二人の思想家」 41頁
《 真理は必ずしも人を喜ばせません。真理はむしろ嫌がられる。特に権力によって嫌がられる。真理は世の中の権力構造を支えている様々な欺瞞を暴いてしまうからです。 その意味で、哲学は必ず世の中と衝突するのです。(中略)ならば、一九五◯年代に着々と進行していった事態に対しても、哲学はもっと強く反応すべきだったのでは ないでしょうか。(中略)しかし、一人だけ例外的な人物がいました。(中略)その人物こそ、マルティン・ハイデッガーに他なりません。 》 「2 核技術を巡る一九五◯年代の日本と世界の動き」 76頁
《 何度も繰り返し述べているように、五◯年代という時代、皆が核兵器には反対でしたが、「原子力の平和利用」には多かれ少なかれ賛成していた。けれども、 ハイデッガーだけは全く違うことを考えていました。彼は或る意味で非常に過激なことを述べています。核兵器はもちろん脅威である。しかい、核兵器よりも原子力技術が 世界に浸透し、我々の生活の中に入ってくることの方がもっと恐ろしいというのです。 》 「3 ハイデッガーと一九五◯年代の思想」 78頁
《 ハイデッガーが何よりも心配しているのは、まさしく「原子力の平和利用」なのです。 》 「3 ハイデッガーと一九五◯年代の思想」 82頁
《 ハイデッガーが注目しているのは「管理」という問題です。
原子力というのは管理し続けなければならない代物です。(中略)逆に言えば、人間は、管理し続けることさえできれば、この途方もないエネルギーが自分達の ものになると思い込んでいた。
ハイデッガーはその思い込み、あるいは思い上がりに横やりを入れているのです。いや、管理を続けなければならないのは管理できていないことだ、と。 》 「3 ハイデッガーと一九五◯年代の思想」 85頁
「第一講 一九五◯年代の思想」読了。「第ニ講 ハイデッガーの技術論」へ。
《 ハイデッガーは技術というものに対する自分の考えを持っていて、そこから原子力技術について考えた。だからこそ、世間の人たちが何と言っていようと、 この技術には大きな問題がある、と気づくことができた。 》 「1 技術と自然」 104頁
《 技術とは自然を素材としてこねくりまわして何かを作ることではなく、自然が持っている力を外へ導いていくことである。これがハイデッガーの技術のイメージです。 》 「1 技術と自然」 114頁
《 今日の講義では、フュシスはその内に力や可能性を宿しており、テクネーとはその力をうまくこっち側にもってくることであるとお話ししてきました。しかし現代では、 自然はそうではなくて、人間が好き勝手にこねくり回して使う素材のような扱いを受けるに至っている。そういう視点をもたらしたのがプラトン以降の哲学た、というのが ハイデッガーの診断なのです。 》 「2 フュシスと哲学」 120頁
《 原子力技術について考察するためには、哲学史全体の再評価が必要になるかもしれないのです。 》 「2 フュシスと哲学」 125-126頁
《 前回の講義で見たように、ハイデッガーは、一九五◯年代の思想の支配的傾向に抗して、ただ一人違うことを言えた哲学者です。それはやはり彼の心の中に、 テクネーとは何なのか、フュシスとは何なのか、我々はそれらをどうやって見失ってしまったのかにいついて、明確な思想があったからであろうと思います。 》 「2 フュシスと哲学」 157頁
「第ニ講 ハイデッガーの技術論」読了。『中動態の世界』医学書院2017年を著した人らしい、ギリシャ哲学への遡行。
ネット、うろうろ。
《 「菊川京三の仕事──『國華』に綴られた日本美術」展 》 栃木県立美術館
http://www.art.pref.tochigi.lg.jp/exhibition/t191102/index.html
《 そちらの説はセカンダリマーケットの方法論ですね。
確かにセカンダリマーケットが活性化すればプライマリーマーケットにも多少の恩恵はあるかも知れません。
しかしながら私は売れようが売れまいがヒストリカルな作家になるかも知れない逸材の同伴者なのです。
ファイナンスのプロに才能は見抜けない 》 三潴末雄
https://twitter.com/mizumaart/status/1194027639507259394
《 『本の雑誌』12月号《特集 アンソロジストを目指せ!》では、「アンソロジスト東雅夫」が大いに語っている。たとえば《文豪怪談傑作選》を始めとする 一連の編纂本は、「怪談」をキーワードに近代日本文学史の見直しを試みた重要な仕事。アンソロジーはただ出来の良い作品を並べただけのものではない。 》 藤原編集室
https://twitter.com/fujiwara_ed/status/1194550250582577152
《 己の支配欲とナルシシズムを満足させたいためだけに莫大な金かけて大仰なイベントをやることの時代錯誤感がわからないというのは為政者として致命的だが、 ある意味であの夫婦(あえて妻も)の本質なのかもしれない。 》 大野左紀子
https://twitter.com/anatatachi_ohno/status/1194551616591912960
《 かつての自民党では、首相がいかにアホでも、官僚が忠告してせめて法律違反はさせなかったのですがねえ。こんな堂々たる公職選挙法違反をやってしまう総理大臣に 「これはやばいですよ」と忠告する官僚は周囲にいなかったのだろうか? 》 烏賀陽 弘道
https://twitter.com/hirougaya/status/1194354905470783488
《 今まで人のカネを使い込んでおきながら「私の判断で使い込みは中止する」と誇っているようなもの。まさに「盗人猛々しい」とは、この為にあるような表現だ。 》 異邦人
https://twitter.com/Narodovlastiye/status/1194590191417061376
《 階段に落ちる手前で赤子を確保、猫がダッシュで爪掛け救出 》 猫ジャーナル
https://nekojournal.net/?p=14430
《 中国科学院の白春礼院長は12日、第17回「財経」年次総会2020に出席し、「中国天眼」(FAST)に言及した際に「これは世界最大口径の電波望遠鏡で、 直径は500メートルにのぼる。計算によると、もし大きな鍋のように、その中でチャーハンを作れば、全世界の人に茶碗4杯ずつ行き渡ることになる」と述べた。 》 人民網日本
https://twitter.com/peopledailyJP/status/1194542401563451392