『モロイ』ニ(閑人亭日録)

 サミュエル・ベケット『モロイ』白水社1992年新装初版、後半「 II 」を再読。冒頭一行。

《 真夜中だ。雨が窓ガラスを打っている。私は落ち着いている。すべてが眠っている。 》 137頁

 待っていたような文。仕事でモロイを見つけに出かける男と連れの息子。

《 モロイの国に着くまでに私と息子がいっしょに、あるいは別々にめぐり会ったかずかずの事件をいちいち物語るつもりはない。 》 199頁

《 さて、ひとたびモロイを見つけたうえで、彼に対してどう働きかけるのかどうしてもわからなかった。 》 209頁

 そして命令が届き、モロイに会うことなく帰宅。結び。

《 そこで私は家へはいって、書いた、真夜中だ。雨が窓ガラスを打っている。真夜中ではなかった。雨は降っていなかった。 》 268頁

 「 II 」を読み終える。内容はすっかり忘れていた。『モロイ』読了。訳者安堂信也の解説。

《 ベケットが『モロイ』を執筆したのは、一九四八年とされている。 》 279頁

《 そして、一九四六年からの三年間の中心に位置し、小説三部作の第一作となるのが、この『モロイ』であるから、いわばこの作品はベケット全作品中でもまた、 その中心に位置すると言えるだろう。 》 280頁

《 すべてが含まれているからこそ、過渡的に、あるいは不純にも見えるが、以後のベケットは、続編である『マウロンは死ぬ』『名づけえぬもの』ばかりでなく、 小説以外においても、『モロイ』の発展でないものはない。 》 280頁

《 そうした作家の立場に根本的な疑問を提出したのがいわゆるアンチ・ロマンの人びとだとしたら、ベケットはその先駆者と言えるかもしれない。 》 284頁

《 ややこしいことばかり述べてしまったが、しかし、ベケットの小説が普通の意味で難解であるということではない。戯曲ほどとっつきやすくはないにしても、 一種のユーモア小説としても通りそうなくらいだ。どうしてもたいくつだと思う読者は、第二部から先に読んでいただくといい。文体も内容も、一部より現実的? だから。  》 284頁

 ずいぶん乾いたユーモアだ。

《 ベケットの笑いについては、『ゴドー』がよい例だが、『モロイ』のほうがさらに多種多様なユーモア、ウィット、ギャグ、そのほかなんとも言いようのない笑いまでを 含んでいる。しかし、これはもっとも翻訳困難な箇所で、読者にはその何分の一しか味わっていただけないだろうと思うと、まことに忸怩たるものがある。 》 284頁

 オモロイとは・・・うーん、言えんなあ。すれっからしの小説愛好家にはオススメできる。ベケットは一九◯六年生まれ。

 ネット、うろうろ。

《 昨日の毎日新聞に、吾妻ひでおの追悼文を書いた。その1年前、同じ欄に追悼文を書いた高取英の、昨日は命日だった。みんななぜ急ぐ。 》 いしかわじゅん
  https://twitter.com/ishikawajun/status/1199090948065488901

《 「十一月二十七日、即ち一柳家で恐ろしい殺人事件のあった翌日のことである。伯備線の清――駅でおりて、ぶらぶらと川――村のほうへ歩いてくるひとりの青年が あった」――というわけで、個人的には『本陣殺人事件』で初登場したこの日を「金田一耕助の日」にしたい。 》 藤原編集室
  https://twitter.com/fujiwara_ed/status/1199498586767024128

《 なぜ人は作家に質問の答えを求めるのか?私は質問したいから作家になった。もし答えを持っていたら私は政治家になった。 ウジェーヌ・イヨネスコ 》  愛書家日誌
  https://twitter.com/aishokyo/status/1199264060115750912

《  官僚も、まさか東大出て幹部になるまで出世して、バカ殿のために国民の目からシュレッダーを身を挺して守るとは思わなかっただろうね。 あ、同情じゃなくて軽蔑ですけど。

  野党のシュレッダー視察を内閣府拒否 「官房長の判断でだめと決まった」と押し切る - 毎日新聞 》 中野晃一
  https://twitter.com/knakano1970/status/1198958329973727232

《 政治家が「丁寧な説明」というときは「丁寧な洗脳」という意味だよね。 》 竹熊健太郎《地球人》
  https://twitter.com/kentaro666/status/1199258711052521473

《 何の価値もない人間なんか居ない。
  と思っていた。
  でも実際には居た。
  しかも、この国の総理大臣とは 》 今日はくもり空
  https://twitter.com/cloudy_papa/status/1198957997705162752

《 客を馬鹿にする商売は、必ず滅びる。 》 菅野完の従兄弟の同級生のお兄ちゃんの彼女の先輩の友達
  https://twitter.com/noiepoie/status/1199472019684741122