山口昌男『内田魯庵山脈 〈失われた日本人〉発掘』晶文社2001年初版、「III 魯庵のこだま」、「26 『バクダン』を読む──文化史家魯庵」を読んだ。
《 『バクダン』の題名については魯庵自身が凡例において、『獏の舌』に続いて刊行されたことを考慮にいれて、「バクダン」は「獏談」であり、獏(飼い犬のバクに よる)の咄の意で、漠然と書いたから「獏談」にも通ずるとしている。 》 413頁下段
《 魯庵はジャーナリズムの歴史の一齣を次のようにも伝える。
二十三年に(久保田)米遷が東京へ転任した時の咄に、京都では
画工(えかき)は迚も飯が喰へません、ドンナ画を描かしても画料は
一円と定まつているんですからドウにも仕様が無い。勢ひ友禅の
下絵を描かにやならんので、(幸野)楳嶺でも(鈴木)百年でも
友禅の下絵で生活してゐるのですと……。 》 428頁上段
《 この章では画家の画料が急速に跳ね上がったことを論じており、最後に、春陽堂で出ていた『美術世界』という和紙に印刷された雑誌で人気のあった渡辺省亭の 成功以前の貧乏ぶりについて触れる。 》 428頁下段
渡辺省亭が編集主任の『美術世界』は、明治23年(1890年)から明治27年(1894年)1月にかけて25巻が発行された。高級美術雑誌『国華』は明治22(1889)年10月創刊。
「27 奇(キューリオ)の人類学」を読んだ。
《 結論から先に言おう。近代日本で比較文化などということをまともに扱った人物は内田魯庵と人類学の創始者坪井正五郎しかいない。
西洋史、東洋史、美術史、国史、民俗学、社会科学、音楽史、哲学史、どれをとってもそれらの分野は専門的細分化をたどってきただけであるから、今日、比較など ということを口にする資格も関心もない。 》 439下段頁
《 従って「野蛮人」と魯庵が言うとき、これを今日のニュアンスから民俗玩具についての発言と同じく、否定的な言葉と取らないように心掛けたいものである。 》 448頁上段~下段
《 ここで魯庵は話題を茶器の本当の価値に転じて、茶人の理想は野蛮人の生活の理想化であるという警句的断言を行う。単純化の彼方の単純化が野蛮人の芸術であるから、 「人間の技巧の臭ひを少しも持つてゐない野蛮人の芸術は宛がらの造化神工だ」と言い切る。 》 448頁下段
《 抽象的な観念が邪魔して普通のいわゆる文明国の人間は「自然と融合して相抱擁する満足が溢れて画となる」という状態を実現しにくい状態にある。魯庵が野蛮人は 一挺の刃物しか持っていなかったと言うのは、今日ではふつう専門家の指摘しない鋭い切り口である。 》 449頁下段
《 キューリオの人類学という想像力が力を振るう研究領域が二十一世紀に開発されるときには魯庵は一大先駆者として顧みられる(に)至るであろう。しかしそに前に 人類学そのもの、または人類学、社会学などの専門分野という考え方そのものがキューリオになるのではなかろうか。 》 453頁下段
「28 未来派・戦争画批評」を読んだ。
《 イタリア未来派の過剰な分解の努力を魯庵は「消化しない力学的描写」と呼ぶ。 》 457頁下段
《 戦後、藤田嗣治を戦犯として糾弾し藤田をして日本を去らしめたのは、日本共産党に入党した魯庵の息子内田厳であった。 》 463頁上段~下段
「29 広告・ポスター考」を読んだ。
《 魯庵は広い意味での文化史という言葉が使われる遥か以前にこの言葉を使っている。今日、文化史といえば、さまざまな領域を横断して、一つの現象が異なった分野で 現れるということを指す。従って狭義の芸術史を寄せ集めたことを意味しない。広告という一現象を文化史において捉えるという魯庵の方法は今日の文化についての視点を 先取りしている。 》 468頁下段
夜、白砂勝敏さんから電話。個展のプレス・リリース用の文章を依頼される。早速考え始める。読書中断。
ネット、うろうろ。
《 フィンランドの34歳首相の言葉。
「社会の強さとは、富裕層が持つ富の大きさではなく、最も弱い立場にいる人がどれだけ快適に生活できるかによって計るべきもの」
近い思いが私にもある。株価や内定率は一つの大事な指標だが、一人一人の生活が良くならないならただのバベルの塔のような指標に過ぎない 》 原田謙介@岡山
https://twitter.com/haraken0814/status/1213232542779727875
《 アメリカとイランの「仲介役」だとか言ってたのは多分、国民の記憶違いなんだよ。 》 大塚八坂堂
https://twitter.com/MiraiMangaLabo/status/1213327899165523968
《 「ゴルフの危機が語られている今、練習しておくのは、首脳の務めじゃありませんか」
(ソーリ、それはGulf) 》 buu
https://twitter.com/buu34/status/1213484342590107648
《 このツイート、本当に大好きだ!
「こう」→「更」、「そう」→「送」
…って一生懸命、変換したんだろうなぁ。
「あれ、なんで『こうそう』で一発変換されないんだ?馬鹿なパソコンや」とか思ったんだろうなあ。
ツイートの内容も「馬鹿な記事はほっといて…」と威勢いいし、最高すぎる。 》 さよなら昨日の私
https://twitter.com/SaYoNaRaKiNo/status/1213419278243790848