「 11/111」(閑人亭日録)

 111ぞろ目の日。故・木葉井悦子さんの画集『うみはぎなみほどき』トムズボックス1993年11月1日限定111部刊行のうち、11番の本を開く。吉祥寺北口にあった小さな店 トムズボックスで購入。副題「一九八六年三月二九日 - 一九八七年四月一七日」。全編細かいペン画。殆どの絵が異界の生物(動物、植物)の生々流転を描いていると 思える。脅威ではないが驚異の異形の世界。いや、脅威かも知れない。なぜなら自身、まだ全編をまともに見ていないから。一頁一頁の絵があまりにも異様で、かつ威容。 圧し潰されそうな予感を抱き、少し見て本を閉じる。そうして四半世紀余が過ぎた。やっと耐えられるようになった(気がする)。これをアウトサイダー・アートとは 呼びたくない。
 見返しに鉛筆画と鉛筆で「平成元年二月三日 木葉井エツ」と記された木葉井さんから恵まれた画集『耳界』たざわ書房1979年が、この『うみはぎなみほどき』に先行する 画集と言えよう。付された肉筆文から。

《 この中の作品を描いていた頃は、ある意味でギリギリの きんちょうの中に居たのを思い出します。そして今又、別の もっとひらけた 意味での きんちょうが、 高かまりつつあるのを感じて います / 17 Feb. '89  》

 その作品は、『漫画集 かざはなせんによゆらい図』トムズボックス1989年6月1日発行なのだろうか。画集ではなく漫画集。自由自在、天衣無縫。解放感あふれる絵。 私には夢魔のような『うみはぎなみほどき』を抜けてこの漫画界へ。存在論的転回とも言えるだろう。遺作を収蔵している軽井沢絵本の森美術館には『うみはぎなみほどき』 『かざはなせんによゆらい図』は収蔵されていないようだ。
  http://web.thn.jp/kbi/kibaib.htm
  http://museen.org/ehon/document/

 朝、昨日知人女性から相談を受けた案件を相手方と話して納得の解決。論点がかみ合わないと誤解が尾を引いて問題がこじれる。双方満足。やれやれ。帰宅。コーヒーが 旨い。アタワルパ・ユパンキのベスト盤CDを久しぶりに聴く。冬の曇天にしみじみ。
  https://www.youtube.com/watch?v=w9g9jvZ4yJ0
 うれしい案内葉書。朝日智雄コレクション「近代文学を彩る口絵」太田記念美術館で二月十五日~三月二十二日。地元佐野美術館で九月五日から開催。いよいよ 明治後半の木版画が注目を浴びてきた。
  http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/exhibition/kiyokata-eiho
  http://web.thn.jp/kbi/kutiee.htm

 ネット、うろうろ。

《  浅田 トリエンナーレには「表現の不自由展・その後」だけではない、ほかにも印象的な作品がいろいろあった、その例として、高嶺格豊田市の移転した高校の 使われなくなったプールの底を屹立させた作品を最後にお見せします。これは傑作ですよ。「何だかわからないけれど力づけられる」という人も多いそうだし、 今回の事件で疲れ果てたスタッフが「それでもこれを見たらまたやる気が出る」と言ったりもしたそうで、アートというのはまさにそういうものだと思いますね。 2020年のオリンピックへの前もっての墓碑銘のようでもあるし…

  津田 同時にこの作品は、アーティストが沖縄に行ったことがポイントなので、沖縄の碑とも言える。日本の中で沖縄だけが浮かされていて、中国や韓国との関係の中で 矢面に立たされているとも解釈できる。本当に傑作です。
  https://aichitriennale.jp/artwork/T09b.html /芸術/表現の場は今、いかに可能か 浅田彰×津田大介 》 REALKYOTO
  http://realkyoto.jp/article/asada_tsuda/

《 “伝統技法”は昔から土地に伝わる信仰や規範を守りながらも、化石化することとは真逆の、むしろ生身の身体にウィルスのように宿り、今を生きていることで その層を深めていく。身体の中で熟成する経緯である種の変容を伴い、“伝承”され“発展”していくことは必須のはずだ。/身体が語り得ること 》  北村明子の身体をめぐる日々のあれこれ
  https://ctblog-kitamura.tumblr.com/post/190172799097/%E8%BA%AB%E4%BD%93%E3%81%8C%E8%AA%9E%E3%82%8A%E5%BE%97%E3%82%8B%E3%81%93%E3%81%A8

《  嫌韓の人は認めたくないだろうが、韓国を困らせてやろうと始めた半導体製造材料の輸出規制(管理)は、結局、韓国の内製化促進、デュポン他外国企業の進出で 日本はドル箱を失い、観光客が大幅に減少、経済に政治を持込む国だと世界から危惧されるなど大きな代償を払って終わった。
  馬鹿な政策だった。 》 俵 才記
  https://twitter.com/nogutiya/status/1215450715872583680

《 経団連の中西会長がふざけたことを言ってます。「日本型雇用は終わった」などという表現で正当化してますが、自分達の保身のために、株主様のための人件費削減を 進めたいだけ。「お前が間違いだ!」と声を大にして言ってあげましょう。これでは国の衰退は止められません。 》 室伏謙一
  https://twitter.com/keipierremulot/status/1215588183049555968

《 青空文庫はある意味では概念的な積ん読であって現在収録作品数が一万五千あるということは常に私たちは一万五千点の積ん読の山とともに生きているという ことなのである……みんなで延々と積ん読を増やす行為……もはや処理しきれない電子の本の山に埋もれている…… 》 大久保ゆう
  https://twitter.com/bsbakery/status/1215290704206819330

《 カジノだの観光だのの水商売で国家運営なんかできねーよ。 》