『中村雄二郎対話集 現代芸術の戦略』九(閑人亭日録)

  『中村雄二郎対話集』でした。対談は間違い。ああ、恥ずかしい。

  『中村雄二郎対話集 現代芸術の戦略』、美術批評家・青木史郎との対談、最終章「「A-POC」の哲学」を読んだ。

《 A-POC(エイポック) A Piece Of Cloth (一枚の布)の頭文字から取った(中略)二〇〇〇年度グッドデザイン賞グランプリ受賞。 》 306頁

《 中村 私が見た場合、「A-POC」は一種の謎なんです。だから愉しいのだけれども、それだけ大変なんです。(中略)
  われわれ現代人はアリストテレスの形相と質料、形と内容の考え方にとらわれてしまっているので、これから脱出するのはとても大変なことです。その点で、 「A-POC」は一つの大きな突破口を開いてくれたのではないでしょうか。(中略)
  なぜ私がそれを考えたかというと、ことに伝統的な西欧の原理に、フォルムとマテリアルという二つの概念があります。つまり、形式と内容、あるいは形と素材です。 これはギリシアの哲学者アリストテレスが定式化したことになっていますが、事実、このとらえ方の支配は今日でも非常に強い。けれど、それだけにとらわれてしまうと にっちもさっちもいかなくなる。そこで「A-POC」ですが、これは、あえて言ってしまえば、新しいマテリアル主義の到来をつよく感じさせる。 》 310頁

《 中村 日本のデザインの理論や知恵は、いままでは世界の潮流に乗ってやってきたけれども、実は、大きな問題として「マテリアルとは何か」を、あらためて 考えなければならなかったのです。 》 311頁

《 青木 いずれにしても九〇年代以降、フォルムの問題よりはマテリアル、質料のほうに話が向いていることは間違いないと思います。 》 313頁

《 中村 プラトンのいうコーラ(chora)、場所というものがあるのだけれど、コーなるものとは何か、プラトン自身はあまり説明していなくて、そのために誤解も されたりしている。 》 316頁

《 コーラというのは、「場」とか「場所」と訳されています。(中略)私はコーラにわりあいにこだわって考えてみたんですが、比喩としては「振動する箕」に 喩えられています。(中略)しかし、とにかくそこで振動という他の本には出てこない概念が出てくる。 》 317頁

《 青木 音叉みたいなものがあって、自分と相手の音叉がうまく合うと、パッと伝わってしまう。そうとしか理解できない。フォルムをもっていくら説得をかけても、 相手は逃げてしまう。フォルムの本当の面白さは、説得ではなしに、相手の共振を引き出すというところにあると思います。 》 318頁

《 中村 だから「危うさ」と「宙づり」の二つがキーワードになるかもしれませんね。
  青木 ある種の型のないものでありながら、型を生み出す型とか。 》 322頁

《 中村 形の自己模倣への誘惑も強いですからね。だから自分でつくった形を壊して、いつも形の原始状態に置いておいて、それを自分で動かすのではなく、それが 自動的に動くのを待つということではないと、こういうことはできない。 》 325頁

 いやあ、短いけれどもじつに濃い内容だ。上記発言は、昨日まで展示した村松茂さんの布地の絵画作品の解説、解釈、批評ににそのまんま使えるわ。

 昨日自宅にもってきた村松茂さんの80cm×110cmほどの白い布地に描いた絵を座卓に広げる。白い壁の展示会場とはまた違った品を感じる。一見乱雑に描いたようだが、 印象は、上品。上品であるとは、迫ってこない、訴求力もない。が、なにげない筆触、簡明な造形、色彩が開放的な好印象をもたらす。好きで無心に描いたことがすっと 伝わり、軽快な気持ちを私にもたらす。そこにはそれまでの苦心の跡が微塵も感じられない。すばらしい技だ。誰でも絵筆でさっと描けるように見えるが、やってみれば いかに難しいかわかるだろう。日本画にはこれに似たたらしこみ技法があるが、薄く軽い布地を味方につけたこれのほうに、私はとても惹かれる。 額装すると魅力が薄れる予感がするが、必要かな。写真は上げない。多くの来館者がネットで展示風景を上げている。
 他に大作二点を買い、持ち帰る。これは横が4メートルほどもあるので、自宅では広げられない。もう物欲は無くなったと思っていたが。

 本屋で大矢雅章『日本における銅版画の「メティエ」』水声社2019年初版帯付を受けとる。副題「1960年以降の日本現代銅版画表現のひろがりからの考察」。
  http://www.suiseisha.net/blog/?p=11955
 以前にも書いたが、頼まれて彼と佐竹邦子さんの合同版画集に添付する推薦文を寄せた。
  http://web.thn.jp/kbi/satake2.htm
 午後一寝入り。すっきり。遅れていた手紙を三通認める。

 ネット、うろうろ。

《 逢坂誠二、シンゾーの「意味のない質問だよ(辻元議員に対し)」に怒り爆発。
  「アベ内閣はデタラメだ。行政の私物化は多発。公文書は廃棄・改ざん・捏造。国会でもまともに答えない、ご飯論法、逃げ回る。閣僚もデタラメ、答えられない」 こんな内閣終わってる、その通り。 》 ryota
  https://twitter.com/ggzhmru2/status/1227489701088485378

《  総理の野次(←あきれたことに自分で「意図」を説明している)も問題だけど、すぐ隣にいた棚橋委員長が「私には聴こえなかった」と言い放っているのがすごい。 公正さのかけらもない。審判が相手チームのユニフォームを着てるピッチの上で、どうやってサッカーをやるんだ? 》 小田嶋隆
  https://twitter.com/tako_ashi/status/1227510070688141315

《 完全に詐欺に加担してるじゃない。
  腐り切ってるでしょ。
  退陣・議員辞職。この道しかないでしょ。

  マルチ商法勧誘に首相夫妻との桜写真 業務停止命令の会社 「効果絶大」と会員に拡散 》 菱山南帆子  https://twitter.com/nahokohishiyama/status/1227421081541079040

《 搭乗の時点で検査同意書を書いて貰っていない、部屋数を人数分確保しておらず相部屋が生じるなど、武漢チャーター便のドタバタぶりが明らかになる一方で、 「8万円払う」誓約書だけはしっかり書かせており、今この国の公務員が上だけを見て仕事をしている事がよく分かります。 》 米山 隆一  https://twitter.com/RyuichiYoneyama/status/1227360199175892992

《 この非常時に愚鈍王アベシンゾーは何もせず。「憲法改正してくれなきゃ対策なんか出来ないよぉー」と吹かしやがるw 今できる事さえ何もしないんだから、 憲法改正なんかするだけ無駄だ。日本はアメリカがどう思おうが現実には中国経済圏の一員として組み込まれているのに、その現実に目を背け、 日本国民がどれだけ死のうが、新型肺炎なんかなかった事で済ませようという姿勢が見え見え。/愚帝 》 ネットゲリラ
  http://my.shadowcity.jp/2020/02/post-17581.html

《 《総理の動き》2月10日安倍総理は官邸でエストニア共和国のユリ・ラタス首相と首脳会談等を行いました。儀じょう隊による栄誉礼及び儀じょうに続き、 両首脳は会談を行い、その後、文書交換式及び共同記者発表を行いました。最後に、総理は公邸で晩餐会を開催しました。 》 首相官邸
  https://twitter.com/kantei/status/1227074644932317186

《 晩餐会挨拶
  「私もエストニアのe-Residency(電子居住権)を持っている」
  「カードを見たんですが、この有効性が既に失効しておりまして、またこれを引退の日に更に更新したいとこう思っています」
  失効してたら、更新じゃなくて取り直しでは? 》 buu
  https://twitter.com/buu34/status/1227095136892411904

《 新幹線走り出したら窓についてた水滴たちが一斉に横に飛びはじめたわけですよ.これよく見てみるとサイズの大きい水滴が空気抵抗受けてすごい動いてて, 小さい水滴と併合して大きくなってさらに加速するっていう,水雲で起こる衝突併合成長してるんです.新幹線で見る雨のプロセス.しかも履歴つき. 》 荒木健太郎
  https://twitter.com/arakencloud/status/1226138353419968512

《 これはふと目についた「かつて本屋がそこにあったのであろうことがめっちゃよくわかる建物」の写真です 残念ながらそこに本屋はない、 あるのは自らが本屋だと声高に主張する建物だけ…… 》 非労働英雄  https://twitter.com/heroofnonSocLab/status/1226887965109940224

《 俺がいつも食パン食べてるのを見かねて同僚達がいろいろ食料をくれるんだけど、今日はしらすのおにぎりをもらった。 》 階段巡りツイッター  https://twitter.com/kaidanmeguri/status/1227430378840842240