『地に呪われたる者』六(閑人亭日録)

 フランツ・ファノン『地に呪われたる者』みすず書房1969年初版(原書は1961年刊)、訳者の一人鈴木道彦の「解説」は火傷するほど熱い。

《 もしファノンという男をひと言で定義するなら、彼はこの戦闘への誘いを、その行動という行動、活字という活字から発散させながら、それと引きかえに自己の生命を 縮めた人物である、と言うことが許されよう。 》 195頁上段~下段

《 ファノンは一九二五年、西インド諸島のフランス領マルチニック島に生まれた黒人である。 》 196頁上段

《 しかし病魔に冒されて、アルジェリア独立の日も待たず、一九六一年十二月六日に三六歳の若さで死去。 》 196頁上段

 ファノンの来歴、苦悩と苦難の生き様は、ここに引用しきれない。外縁を。

《 事実ファノンがサルトルに見たのは決してネグリチュードを語る白人のみではなく、またサルトルネグリチュードに見たのは決して黒い世界だけではない。それという のもサルトルにこの文章(=『ユダヤ人問題』)を書かせた契機こそ、西欧に「とらえられた」セゼール(=マルチニック島出の詩人)だったからだ。サルトルにとって セゼールは、西欧の生んだシュールレアリスム第三世界に接木した人物であり、彼は逆にセゼールによってシュールレアリスムの革命的な意味にはじめて目を開かれたので あった。実際シュールレアリスムとは、それがいかにヨーロッパ的な産物であり、ヨーロッパの発する悪臭に染まったものであろうとも、根本においては支配階級の道具で ある言語への挑戦を通してひとつの革命をのぞんだ運動であって、言葉によって伝統的な西欧に訣別しようと試みるきっぱりとした政治的選択だった。それが「自動筆記」 の意味であり、この根本にある選択を欠いた自動筆記やシュールレアリスムは、ただの茶番でしかない。 》 200頁下段

《 ファノン同様フランス語しか書けずまた解せず、白人文化に骨までしゃぶられたエメ・セゼールは、このような西欧内部から発せられた西欧否認を媒介としてその アイデンティティを回復していった。だからこそ彼は「自己を否認しようとする不安な欲望のごとくに彎曲した群島」であるアンティル諸島に覚醒の檄をとばし得たのであり、 自動筆記を自己の武器たらしめ得たのである。サルトルが垣間見たのはまさに歴史のこの局面だった。一方ファノンはそのサルトルをさらに越えて、やがては革命的な実践の なかに進み出るだろう。 》 201頁上段

《 こうして 西欧を否認する西欧と、数世紀にわたって西欧に否認されたニグロとの邂逅は、ブルトン→セゼール→サルトル→ファノンを介して、単なる詩表現から 世界革命へと昇華してゆくのであり、その観点から見るならば、セゼールの「帰国ノート」にブルトンが、またファノンの「地に呪われたる者」にサルトルが、それぞれ 序文を寄せていることの意味は大きいと言わねばならない。 》 201頁上段

《 日本においても最近シュールレアリスム復活の声が上がり、ブルトン全集も企画されているときくが、それがもし万が一現実の変革を志向しないものであるならば、 そのような企画に一顧の価値もなく、シュールの精神をも歪曲するものと言わねばならないだろう。 》 210頁下段

 朝、コーヒーを飲んで元気づけ、昨日見つけてしまった源兵衛川中流下流部のヒメツルソバなどを抜く。土のう袋八分目。石垣の高い所、水深の深い所の石垣の二株は 見送り。無理はいかん歳。昼前帰宅。
 午後、三通の私信を認める。

 ネット、うろうろ。

《 首相も知事も、まず言うべきは医師、看護師、技師をはじめ全ての医療関係者への謝意ではないのか? 》 masanorinaito  https://twitter.com/masanorinaito/status/1247169932552331264

《 晃の説明がとても分かりやすい。よーく見たほうがいい。まだ勘違いしてる人いるだろうから。愕然とするだろう、殆どの人が貰えないと分かって。 》 しっぽ  https://twitter.com/uzuratukune3/status/1247281346906480640

《 【緊急事態宣言前夜】政府対策108兆円のカラクリ れいわ新選組代表 山本太郎 2020年4月6日 》 YouTube
  https://www.youtube.com/watch?v=taMDdEcwq4k&feature=emb_logo

《 「緊急事態」ってんだから、政府も平時はやらないことをやるんですよね?
  国債バンバン刷っちゃうとか、消費税ドーンと下げちゃう(なくしちゃう)とか、自粛してる産業にガンガン補助金出すとか。

  え?国民にだけ緊急時対応させて、自分たちは何もしない?ははは、そんなはずないじゃないですか。 》 ソノヤマ・タカスケ‏  https://twitter.com/T_SONOYAMA/status/1247361604863197191

《 米軍訓練施設設置のための馬毛島の土地買収。売買契約書も不開示、不動産鑑定書も金額が黒塗りだという。多額の税金が使われているのに契約が不透明なことに 強い違和感。防衛省は16年には45億円と評価していたのに、それがなぜ160億円に膨らんだのか。政府には説明責任がある。 》 布施祐仁
  https://twitter.com/yujinfuse/status/1247316147894022144

《 「持っていない」ことを理由に本を買うと大変なことになる。持っていない本がなくなるまで買い続けることになる。 》 中野善夫  https://twitter.com/tolle_et_lege/status/1247155842098425856

《 昭恵 家にいろ。 》