『鉄塔武蔵野線』(閑人亭日録)

 21日(日)午後の講演会ではいろいろな資料を持っていく。全部使うわけではなく、時間と話の流れで使い分け。そんな本の一冊が、銀林みのる『鉄塔武蔵野線』。 第6回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。1994年に単行本。新潮文庫1997年2刷とソフトバンク文庫2007年初版を所持しているが、多分後者を持っていく。
 三島市の北部、徳倉に巨大な高圧鉄塔がある。四脚は普通L字型だが、これは○菅。なら他にもあるが、ここは脚間に道路があって車が通行できる。といっても、それは 写真を撮った頃のこと。今は車は通れない。三島市の面白物件(つまらないものですけれど、面白い)の一例として紹介するかも。で、文庫を取りだした。ソフトバンク文庫 の解説、宇田川拓也(書店員)の冒頭。

《 まずは、記しておきたい。
  この『鉄塔武蔵野線』という”伝説”の復活が、単なる小説の文庫化とは一線を画す素晴らしい大事件であることを。そして、このソフトバンク文庫版が、ついに現れた ”伝説”の完全なる姿──決定版だということを。これを僥倖といわずしてなんといおうか。 》

 熱い文章が繰り広げられ、微苦笑を誘う。その結び。

《 世界に類を見ない名編にして”日本文庫史上、最高の一冊”といえる”美しい書物”。復活さえも”伝説”にする『鉄塔武蔵野線』──誰だって読まずにはいられまい。 》

 迸る情熱、熱気はさておき、”日本文庫史上、最高の一冊”とはウマイなあ、感心。

 朝、東京新聞最終面を見て、おお、と。連載コラム「鉄学しましょ」が”昔は「三島」だった駅”下土狩駅の記事。

《 駅前から市の中心部へとまっすぐ向かう道路があるが、それがかつてのこの駅の地位の高さを表している。駿豆線は2代目三島駅の開業にともない、急カーブを切って 新駅へ乗り入れる線形に変わった。/土屋武之 》

 21日の講演に使える、いや使いたい。コピーだな。だって急カーブの場所「茶町踏切」の写真を、別の話題でコピーしてある。と、ふと浮かんだのが1930(昭和5)年に出た 『三島町著名案内圖』。これを見れば現在と当時が一目瞭然。拡大コピーしてあるものを取りだす。じっと見てビックリ。三島神社の鳥居の東側に「梶屋」の表記。 おお、これだよ。小杉未醒『漫画と紀行』博文館明治四十二年五月廿八日發行の、「伊豆絵詞」のくだり。

《 三島の宿は梶屋、神社の隣り、人懇(ねんご)ろで、温かく寛(ゆるやか)に寝たあくる朝は、箱根を越すと云ふに雨となつた。 》 328頁

 どこにあるんだろう、と永年気がかりだった。灯台下暗し、だ。

 午後、久しぶりに源兵衛川上流部、蓮馨寺横の茶碗のカケラを拾い、ヒメツルソバを抜く。体調がやっと回復してきたので体慣らし。川風が心地よい。水量が増して 長靴ぎりぎり。ここは秋までいいかな。一汗。
 夕食後、再び東京新聞を開き、「文化」欄を読む。コラム「大波小波」は”三島が認めた評論家・田中美代子”。知らない人だ。

《 犬塚(潔)によれば、田中は群像新人賞に三島論で応募したが落選、その作品を三島に転送したところ、すぐさま三島が新潮社に申し入れて、文庫解説者に起用された。 さらに、三島は理解者を得た喜びを、「仲間」という短篇に描いた。それは田中のためにだけ書かれた小説だ、と犬塚は断言する。 》

 「仲間」。半世紀近く前に読んで印象に残っている。再読。当時と同様何とも不思議な短篇の印象。コラムの結び。

《 『群像』に門前払いされた作品が作家の手に渡り、作家は唯一無二の「仲間」を見いだす。群像編集部はこの劇をどう受けとめる? 》

 そんな経緯、応募~落選~君のが一番、を経験している身には、選考委員の眼力を問い質したくなる。以前、白砂勝敏さんから某公募展に応募しようか、と相談を受けた。 落ちたら選考委員の眼がない、と背中を押した。武蔵野美術大学の彫刻の教授(故人)が他の委員の反対を押し切って入選。K美術館での白砂展の時にわざわざ来訪し、 君のような人がこの団体には必要なのだ、と力強く言ってくれた。

 ネット、うろうろ。

《 言っていることの妥当性がないのはもちろんですが、そもそもこの人は美術史家なんですか?「真理に目覚めてしまった」系の人ではなくて?
  「政治扱うと芸術ではない」 あいちトリエンナーレ 美術史家らが批判 - 産経ニュース 》 松下哲也
 https://twitter.com/pinetree1981/status/1272705343655563264

《 この発言だけでもヤバイけど、さらにヤバイのは、これが『万引き家族』のレビューだということ。「万引き家族』と《泉》関係ないやろ、、 》 黒瀬陽平
 https://twitter.com/kaichoo/status/1272740402412437505

 東北大学名誉教授 田中英道
 http://hidemichitanaka.net/?page_id=1683

《 例えばデュシャンが芸術を疑い壊した。するとそこに空っぽで自由なスペースができた。そこに志願者が詰め寄せた。彼らはやり甲斐と生き甲斐を見つけて 大フィーバー。例えば草間彌生など。一方のデュシャンは宿便を抱えたまま寿命が来るのを苦々しく待った。そんなこと。 》 会田誠
 https://twitter.com/makotoaida/status/1272510382024744962

《 かつてMOMAの対話型鑑賞法布教員は「言葉にできないなら、それは無い」とのたまったけれど、世界は言葉(記号交換/意味作用)では出来ていないし、 社会(=対人関係)ですら言葉(記号交換/意味作用)はごく一部にすぎない。そこに依拠していると力動的な世界から、真っ先に〈おいてけぼり〉になる。 》 中島 智
 https://twitter.com/nakashima001/status/1272449718543544322

《 中国の浙江省で6月13日に起きたタンクローリー爆発事故の詳細が分かってきたけど離れた場所で起きたタンクローリー1台の爆発が、ピタゴラスイッチみたいに連鎖して 最終的には工業団地と村が廃墟になってるのは、色々説明されてもワケガワカラナイヨって感じで理解が追いつかないよ… 》 lain
 https://twitter.com/lain_the_wired/status/1272429482024951808

《 田村智子議員「一部の政党や政治家が生活保護への敵意を煽ってきた」
  安倍晋三「もちろん自民党ではない」
  田村「具体的には言わなかったけど、自民党です」
  (6/15参院決算委員会) 》 emil #国会を見よう
 https://twitter.com/emil418/status/1272447914858561536

《 米国のGAFAに対して日本はDTP電通トランスコスモスパソナ )なのか。 》 urbansea
 https://twitter.com/urbansea/status/1272762633200914432

《 マンボウ博士すげえええ!! モントレーの沿岸にマンボウの群れが来たとのこと! 定置網で数百個体獲れる時はこんな感じなんだろうな。 海外ニュースはちゃんと撮影者のクレジットを動画に埋め込んでるな 》 無職まであと9ヵ月のポスドク https://twitter.com/manboumuseum/status/1272664505802088448