『日本文化における悪と罪』五(閑人亭日録)

 中村雄二郎『日本文化における悪と罪』新潮社1998年初版「第五章 恥の文化と非寛容」を読んだ。

《 民族的・宗教的対立の、つまりは非寛容のなによりの怖ろしさは、どんなに小規模の小競り合いであっても、最終的には自分の死に世界を道づれにするおそれがある 精神構造である。 》 149頁

《 天皇制はしばしば〈主体なき権力〉あるいは〈空虚な中心〉と呼ばれることがある。それは、天皇制においては権力が主体的なものとしては表われないからであり、 実体的な中心をなさないからである。しかし、その同じ在り様を、いっそう適切には〈場所的権力〉と呼ぶべきであろう。なぜならそれは、場所の持つ根底性と捉えにくさを ともにそなえているからである。 》 152-153頁

《 他方、帰属と表裏をなす〈排除〉についていえば、排除において一般に、場所はいっそうその隠された性格をあらわにする。というのも、場所はおのずとそれに帰属する 者と帰属しない者とを分かつからである。 》 153頁

《 この場合、場所に帰属しない者というのは、場所の内部における支配的な者への犯行者や敵対者のことではない。(中略)場所の外部に決定的に追いやられるのは、 そのルールを認めない者たちなのである。
  しかもその排除の際には、ルールを認めない者たち、否定する者たちがもともと存在しなかったかのように、振舞われる。 》 153頁

《 先に私は天皇制について〈場所の権力〉という性格づけを行なったが、それはさらにいえば、場所的な帰属を要求する権力、反対する者たちを一定の場所(この場合には 社会そのもの)から排除するような権力のことである。だから、支配的な価値への帰属や従属はソフトな仕方で行なわれても、その反面において、天皇制にかかわる 支配的価値に対して根本的な批判でも行なうと、なんと、《そういう人間は、日本から出て行ってほしい》などと明言する者までが出てくるのである。 》 154頁

《 いや、もともとわれわれ人間の個体あるいは生命体は、受苦的な(パトス的な)、ヴァルネラブルな存在である以上、世界や外界を自己の光によって照らし出す以前に、 すでになにものかから働きかけを受け、その光によって逆に照らし出されているのである。 》 「付論1 いま宗教を問う」 166頁

《 ちなみに、〈関係の解体〉を悪と見なす観点からすれば、嘘は毒物と双璧をなす危険物である。というのも、嘘は人間同志の信頼関係を解体させ、毒物は生命体 (人体組織)を解体させるからである。 》 「付論2 オウム真理教と悪」 178頁

《 それは、日本人がもとっとも好む倫理的な徳目である〈誠〉の特色にかかわる。すなわち、儒教とくに朱子学の〈敬〉の思想に比べると、敬が厳密な根拠づけや客観性を 重んじるのに対して、誠がただ主観だけによって成り立つ徳であることである。〈誠〉を貫くことによってひとは嘘をつくこともできれば、人を殺すことだってできるのだ。 ここに、単なる〈純粋さ〉のもたらす恐ろしさがある。 》 「付論2 オウム真理教と悪」 179頁

《 しかし、よく考えてみると、おそろしいことに、このような〈純粋で無垢な〉信仰心と〈無責任の体系〉および無辜の人びとの殺戮とは共存しうるのではなかろうか。 私がそのように考えたのは、先頃たまたま儒学とくに朱子学の日本への受容の歴史を調べていたら、もともと客観性を重んじる朱子学の〈敬〉の思想が、日本に入ってくると 主観的・主情的な〈誠〉一辺倒にになり、結果としては、自己の主観的な誠を貫くために嘘をつくことも人を殺すことも可能になることを知ったからである。 》  「付論2 オウム真理教と悪」 181頁

《 しかし、ひとが、ひとたび先に述べたようなクライシスに陥るとき、これまで自然的な生命力の発した光とエネルギーによって照射されていた眼前の世界は、実効性を 失い、無意味になってあ¥しまう。そのとき、生命力の衰退によって、自分を中心に秩序立てられていた世界が解体し、無意味化するのである。そして、おのずとわれわれの 自我は、存在根拠を失って、自己の足元に底無しの深淵を見ることになる。一般に宗教的な意識の出発点とされる〈虚無の自覚〉とは、このことにほかならない。
  しかし、その虚無の自覚とは、より立ち入っていえば、人間の自然的な生命力がみずから発する光とエネルギーを失って、反対に自分が他からの〈逆光を浴びる〉ときに 生ずるものなのである。 》 「付論3 宗教と悪の問題」 188頁

 午後四時、豪雨が収まって晴れ間がのぞく。傘を持たずに買いものへ。スーパーから出るともう暗い雨雲。増水した源兵衛川を見に行くのを中止。帰宅すると雨。やれやれ。 それにしてもよく降る。

 ネット、うろうろ。

《 オリンピック開会式に合わせるために体育の日を無理くり名前変えて持ってきて、10月の休みがなくなった代わりに、梅雨も明けずどこにも行けない間の抜けた連休が 爆誕したわけだが、これ来年もやるのかな? 》 大盛有閑
https://twitter.com/oomryknd/status/1287249671421702147

《 メキシコの高地で3万年以上前の石器とみられる石が大量に見つかる。人類がアメリカ大陸に進出したのは、地続きだったベーリング海峡を渡った約1万5千年前とする 定説に真っ向から挑む大発見。ネイチャー誌が特集しています。いつだれがどうやって……謎は深まります。 》 小林哲
https://twitter.com/kbts_sci/status/1286510019219877888

《 ピンクレディーのB面の曲って今振り返ると大人の匂いのオシャレポップスって感じだった。「レディーX」「キャチ・リップ」はA面の曲よりも好きだった。 》  マキエマキ@自撮り熟女
https://twitter.com/makiemaki50/status/1286926604623425537

《 名刺の出し方も知らない大学生、というくだらない話があったが、これまでで一番カックイーと思ったのは、ずらりと編集者に囲まれ名刺を差し出された浅田さんが、 一瞬で「要りません」と立ち去った場面だったな。逃走論。 》 千葉雅也
https://twitter.com/masayachiba/status/1286860443315625985

《 加えて鑑賞にも「訓練」は不可欠。それはデフォルト・モード・ネットワークによって創作された作品を、デフォルト・モード・ネットワークでもって、 つまり「ボーッと鑑賞する」ための技術。このとき「何が表現されているか?」とか「作者の意図は?」とか「どう感じるか?」などと訊いてはならない。 》 中島 智
https://twitter.com/nakashima001/status/1286967279503077376

《 まあ、前衛アート的なもので揺さぶられるだけ揺さぶられるのは迷惑だ、というのは、端的にどうしょもないよね。問いかけに対して解決もほしい、って、 解決は自分で考えろ、脳ミソ絞れって話でしょう。 》 千葉雅也
https://twitter.com/masayachiba/status/1287205294544756736

《 日本の「現代美術」が特定の人々のゲーム=政治でしかなくなっていることは鋭敏な人には分かっていたはずで、そこに「入会」するために「前衛」という、 本来マルクスをきちんと読み込んでいなければ出てこないタームをカードとしてだけ使っていた人々に、今更失望するのもナイーブでは。 》 永瀬恭一(一人組立)
https://twitter.com/nagasek/status/1287141843273043968

《 ぼくはチャラチャラしてるように見えるかもしれないが10代の頃からずっと美術を一生懸命勉強してきた。今の結論としては、美術なんか一旦滅びればいいと思っている。  》 松下哲也
https://twitter.com/pinetree1981/status/1287004119480197120

《 安倍首相、驚くべきことに、この1週間で3日は丸々休んでる。

  7月19日(日)休
  7月23日(木)休
  7月24日(金)は1時間のみ出
  7月25日(土)休

  九州地方の豪雨被害には「全力を尽くす」と言い、コロナの感染者数は全国各地で過去最多を更新中なのに、である。

  国会閉会中審査も出ずに、だ。 》 但馬問屋
https://twitter.com/wanpakuten/status/1287047450797068293

《 ある自民党議員が語った、安倍政権の失政に声を上げない理由   「私は考えるのを止めた。考えても何か言うと、官邸から恐ろしい報復がある。考えたのに何も言わないとストレスで病気になる。だから考えない。 脳死すれば、夏休みも取り放題、ボーナスがっぽり。こんなに楽な仕事はない。特に老後には」 》 古賀茂明@フォーラム4
https://twitter.com/kogashigeaki/status/1286567563149758466

《 元官房副長官「国会は実質的『学級崩壊』状態だ」 改革拒む「パンドラの箱」とは 》 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20200720/k00/00m/010/149000c

《 人生にもあればいい 》 のんさん
https://twitter.com/non_mintcar/status/1287021302075674626