『日本政治思想史』再読・二(閑人亭日録)

 原武史『日本政治思想史』放送大学振興会2017年2刷、「第4章 各論1・徳川政治体制のとらえ方─朝鮮と比較して」を再読。

《 大名は参勤交代の道中、ずっと駕籠に乗っていたわけではなかたにせよ、駕籠に乗っている限り、決してその姿を見られることがありませんでした。第2章で触れた ように、ここでは本来交通手段のはずの乗り物そのものが崇拝の対象となるようなフェティシズム(物神崇拝)化が起こっているわけです。 》 75-76頁

《 将軍の「御威光」がモノに乗り移ることもありました。(中略)湯治の際、朝鮮国王ならば温泉のある忠清道の温陽行宮まで、地方を治める大名ならば領内の温泉場まで 自ら出向いたのに対して、将軍は逆に熱海温泉や草津温泉の湯を江戸城に運ばせたわけです。その奇妙な行列自体、政治的首都がどこにあるかを暗示していました。 》  76頁

《 こうして見ると、朝鮮との違いも明らかになります。日本では支配者の顔が見えづらく、いったん確立した制度のフェティシズム化が進行しやすい傾向があります。 言い換えれば、イデオロギーではなくシステムの支配が確立されやすいわけです。 》 77頁

《 二百年以上にわたって安定した「御威光」の秩序は、幕末の外圧によってわずか一五年であっけなく瓦解しました。これもまた、西洋列強や日本によって半植民地化 されてもなお体制が揺るがなかった一九世紀からニ十世紀初頭にかけての中国や朝鮮とは対照的でした。日本では支配イデオロギーが脆弱であったゆえに、あっさりと システムを壊して別のシステムへ移行することが容易であったという見方もできるのです。 》 79頁

 「第5章 各論・2国学復古神道」を再読。

《 こうなると、日本は中国などとは異なり、天皇がアマテラスからずっと血統でつながっているがゆえに尊いという国学の前提そのものが崩れてしまいます。個々の天皇の 資質をオオクニヌシが判断することになるからです。幕末には日本の国内で、かくも「危険」な思想が生まれたことに注目しなければなりません。 》 92頁

《 明治以降に政府がアマテラスや神武、天智、桓武、後醍醐、明治など、歴代の有名な天皇をまつる神社を植民地も含めて新たにつくっていったのは、伊勢系の神社を 増やそうとしたためでもありました。 》 95頁

《 彼らは伊勢神宮を頂点とするシステムを守り、天皇の絶対性を保持しようとしました。 》 95頁

《 出雲派の敗北は、神道から本居宣長平田篤胤によって唱えられてきた顕幽論そのものを排除してゆくことになりました。伊勢神宮を全国の神社の頂点としながら、 神道は祭祀であって宗教ではなく、神社に参拝することは「信教の自由」と矛盾しないとする「国家神道」体制がこうして確立されるわけです。 》 97頁

 「第6章 各論3・明治維新天皇」を再読。

《 明治維新に伴い、新政府は祭政一致をスローガンに掲げつつ、古代の神祇官を復興するとともに、前章で触れた神道国教化政策を進めました。そのためには、後期水戸学 のイデオロギーにのっとって天皇自身が祭祀を行うだけでなく、天皇伊勢神宮をはじめとする全国の神社との関係を強める必要がありました。 》 103頁

《 歴代の天皇をアマテラスの子孫と見なすイデオロギーは、それにふさわしい宮中祭祀を行うための施設と、祭祀を国民に知らしめるための祝祭日を新たにつくり出すこと になります。(中略)新嘗祭を除くほとんどの宮中祭祀は、明治になって新たにつくり出されたものでした。 》 104頁

《 国家のために戦って死ねば、生前の地位や身分を問わず、無条件で神になるという解釈は、それまでの神道にはなかったものです。一八八一年の祭神論争に伴う勅裁で 出雲派が事実上しりぞけられると、政府は「神道は宗教ではない」として国家神道を確立させましたが、靖国神社国家神道体制のもとで失われたはずの神道の宗教性を、 一手に引き受ける施設となったわけです。 》 106頁

《 一九三七(昭和一二)年に日中戦争が勃発すると、昭和天皇は毎年春と秋の臨時大祭に必ず参拝し、合祀された英霊の前に頭を垂れるようになります。 》 107頁

《 天皇は京都から東京に移る東海道の途上では、まだ輿に乗ったままで姿を見せることはありませんでしたが、六大巡幸では主に馬車が用いられ、天皇は各地で馬車を 停め、幌を上げて姿を見せています。その姿は、京都にいたときとは打って変わってヒゲを生やし、軍服を着るなど、軍事的な君主としてふさわしい男性化したものでした。 天皇は各地で県庁や学校、裁判所、軍事施設、産業施設などを訪問したほか、巡幸に合わせて電信網が整備されたり、鉄道が開通したりしました。つまり天皇は、富国強兵の シンボルであるとともに、文明開化のシンボルとして各地を近代化し、東京から地方に西洋文明をもたらす存在にもなってゆくのです。 》 109頁

 午前8時31.2℃。午前11時25分35.7℃。
 明治の本を収納してある段ボール箱の防虫剤を交換。やったら重い箱で、ギックリ腰を注意しながら移動。一冊を手にとり開く。吉祥天女像の彩色木版画が目に飛び込む。 うーん、いいねえ。眼福。モニター画面で見るのとは印象が画然と違う。おそらく彫師、摺師たちの卓越した技量によるアナログな木版画ならではの魅力なのだろう。 これらの木版画をじっくり鑑賞するのは、秋になってからだなあ。数箱交換しただけで汗だく。シャワーを浴びる。ふう。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%96%AC%E5%B8%AB%E5%AF%BA%E5%90%89%E7%A5%A5%E5%A4%A9%E5%83%8F

 ネット、うろうろ。

《 階下が騒がしいので見に行くと、やはり今日も、妻が一人で遊んでいるだけだった。 》 戌一(いぬいち)
https://twitter.com/inu1dog1/status/1293092576371720192

《 【特別手記】「御巣鷹山」48時間の地獄絵図 》 デイリー新潮
https://www.dailyshincho.jp/article/2020/08120556/?all=1&page=1

《 ヤバっオリラジ中田さんが遂に言ったよ!
  こりゃ子供たち含めて大拡散だ!
  自民党「消費税増収分は全額社会保障」→調べたら2割だけ!
  じゃなぜ上げる?下げてたのが法人税。つまり庶民から取り大企業さん!て姿勢。しかも消費税は所得税よりキツい。要は金持ち優遇してただけ! 》  君に届け!滑稽新聞@空気を変える
https://twitter.com/akasakaromantei/status/1293951744909512706

《 渋谷区立 宮下公園で飯を食うためエレベーターであがろうとすると立ち塞がる三井ミヤシタパーク施設管理者
  公共公園の利用者を選別する財閥・三井 》 ロバート
https://twitter.com/__riffraff__/status/1293887801889394689

《 あー、僕が止められるやつだ。僕が若い頃、バブル期はしょっちゅうあったけど、最近はなかったな… 》 会田誠
https://twitter.com/makotoaida/status/1294035077844803584

 三井に奉職し三井報恩会理事長を務めた故米山梅吉はこれを知ったらなんと思うだろう。

《 多様性と言われ、「新しい健康さ」みたいなものが広まっていくにつれ、多様性という言葉が裏切られていくのを感じる。多様性と言って、 何かそこにハッピーな感じがあるというのは、ごく表面的なことだ。もっとノイジーなものであり、ヒリヒリするもののはずだ。 》 千葉雅也
https://twitter.com/masayachiba/status/1294061937806807045

《 「引き続き被爆者に対する支援に取り組んで行く」って

  漢字の読みが苦手なだけでなく
  「支援」とか、意味間違って覚えてんじゃねーの 》 buu
https://twitter.com/buu34/status/1293717766860464129

《 控訴断念を求める広島市と県を踏み躙るように国が控訴した。「黒い雨訴訟」高野原告団長の「国は我々の死を待っているのか」との憤りの声が耳から離れない。 援護区域の拡大はまやかしで、次の判断までに平均年齢82歳の原告団の命は少なからず失われるのだ。安倍さん、加藤厚労相には血も涙もないのか。 》 立川談四楼
https://twitter.com/Dgoutokuji/status/1293755227368124416

《 哲学的な動きなのでコレで完成にしたくないな〜 》 原田直樹 マーブルマシンビルダー
https://twitter.com/nao_denha/status/1293894792137461763