『北方の竪琴』三(閑人亭日録)

 富士川英郎譯詩集『北方の竪琴』小沢書店1988年刊を読み進める。
 ライナー・マリア・リルケ「ゆたかな林檎よ」第三連三行。

   敢て語るがいい 君たちが林檎と名づけてゐるものを
   この甘さ はじめに濃くかたまつて
   それを味はふ口のなかでそつと起ち上り

 角宮悦子の短歌。

   体温もたぬ青き林檎の肌洗ふ哀しみいつも唐突にして

 ライナー・マリア・リルケヴァリスのスケッチ七篇」その1、第三連。

   丘の斜面にひとは結(ゆ)ふ
   やがてやさしい四目垣を
   葡萄に手を貸してやるがいい
   葡萄はお前を知つて 身をさしだす

 大岡信「丘のうなじ」第一漣。

   丘のうなじがまるで光つたやうではないか
   灌木の葉がいつせいにひるがへつたにすぎないのに

 ライナー・マリア・リルケ「薔薇 おお 純粋な矛盾」全編(二行詩)。

   薔薇 おお 純粋な矛盾 よろこびよ
   このやうにおびただしい瞼の奥で なにびとの眠りでもないといふ

 中井英夫「夜会」第一連。

   薔薇の夜会に紛れこんだ
   若い盗賊の
   すばらしい口髭に欺され
   まず門番がお辞儀をした
   執事が腰をかがめた
   主賓さえ遠くから目礼した

 ルードルフ・A・シュレーダー「残響」第一連。

   私は横たはつて夢を見てゐた 夢の中で私には思はれたのだつた
   一羽の鳥が何か叫ん歌つたやうに。私には思はれたのだつた
    夢を見てゐるのではないかのやうに。でも、私は夢を見てゐた
     私は夢を見てゐたのだつた なぜなら外界(そと)は冬だつたから

 葛原妙子の短歌。

   白鳥は水上の唖者わがかつて白鳥の聲を聴きしことなし

 朝食後、源兵衛川中流、三石神社入口脇の茶碗のカケラ、ガラス片を拾う。昨日まで作業の上流部分。ついつい拾い過ぎて重い~。帰宅。コーヒーが旨い。
 昨夜目が覚めて朝かと思ったらまだ暗い。時計を見ると午前零時過ぎ。あらあら。よく寝た気分だったけど。
 どういう生活が健康的なのか知らないが、午後十時過ぎに就寝。午前七時半過ぎに起床。ほぼ九時間寝ている。それにちょこっと昼寝。酒類はロクに飲まず、食事は普通。 健康的・・・と言えるかもしれない。が、健康的でありたいとも思わない。七十歳を迎えて一月。ちょっと無理をすれば途端に身体に響く。端から見ればグータラ生活かも。 運動能力も疲労回復力も、当然脳の力も確かに落ちている。終わらず明日に持ち越す作業がほぼ毎日ある。それでも今が一番いい。落日を眺める。丸い月を仰ぐ。

 ネット、うろうろ。

《 もう、ほんとうに、金を吸い込むブラックホールのようである。

  東京五輪の追加費用2000億円 延期に伴い組織委試算 》 Koichi Kawakami, 川上浩一
https://twitter.com/koichi_kawakami/status/1333056865077403649

《 そもそも展示タイトルがぜんぶふざけてる私の個展。 》 マキエマキ@自撮り熟女
https://twitter.com/makiemaki50/status/1333054339401670656