『北方の竪琴』四(閑人亭日録)

 富士川英郎譯詩集『北方の竪琴』小沢書店1988年刊を読み進める。ゴットフリート・ベン「一つの言葉」全篇。

   一つの言葉 一つの句──組み合わされた文字のなかから
   認識された人生が 突然の意味が立ちのぼる
   太陽はとまり 天体が沈黙して
   すべては凝(かた)まつて言葉となる

   一つの言葉──それは一つの輝き 一つの飛翔 一つの火だ
   一つの抛(な)げあげられた炎 空をかすめてゆく星だ──
   それから世界と私をつつむ虚(うつ)ろな空間のなかに
   またしても恐ろしい闇がたちこめる

 呼応する吉田一穂の絶唱「白鳥」。これはネットからの引用。
 https://ameblo.jp/fifth-of-july/entry-12619838773.html

    「白鳥」

   1
   掌(て)に消える北斗の印(いん)。

   ……然(け)れども開かねばならない、この内部の花は。

   背後(うしろ)で漏沙(すなどけい)が零れる。

   2
   燈(ラムプ)を点ける、竟(つひ)には己れへ還るしかない孤独に。

   野鴨が渡る。

   水上は未だ凍つてゐた。

   3
   薪を割る。

   雑草の村落(むら)は眠つてゐる。

   砂州(デルタ)が拡きく形成されつゝあつた。

   4
   石臼の下の蟋蟀。

   約翰(マタイ)伝第二章・一粒の干葡萄。

   落日。

   5
   耕地は歩いて測つた、古(いにしへ)の種を握つて。

   野の花花、謡ふ童女は孤り。

   茜。

   6
   蘆の史前……

   水鳥の卵を手に莞爾(にっこり)、萱傷なめながら、須佐之男のこの童子(こ)。

   産砂(うぶすな)で剣を鍛(う)つ。

   7
   碧落を湛へて地下の清洌と噴きつらなる一滴の湖。

   湖心に鉤を投げる。

   白鳥は来るであらう、火環島弧の古(いにしへ)の道を。

   8
   白い円の仮説。

   硝子の子午線。

   四次元落体。

   9
   波が喚(わめ)いている。

   無始の汀線に鴉の問がつゞく。

   砂の浸蝕……

   10
   無燈の船が入港(はひ)る、北十字(キグヌス)を捜りながら。

   磁極三〇度斜角の新しい座標系に、古代緑地の巨象が現れてくる。

   紛(なく)したサンタ・マリア号の古い設計図。

   11
   未知から白鳥は来る。

   日月や星が波くゞる真珠海市(かいやぐら)。

   何処へ、我れてふ自明の眩暈(めまひ)……

   12
   時の鐘が蒼白い大気を顫はせる。

   誰れも彼も還らない……

   屋上に鳥の巣が壊れかゝつてゐる。

   13
   灯(ひ)を消す、燐を放って夢のみが己れを支へる。

   枯蘆が騒(ざわ)めいている。

   もう冬の星座がきてゐた。

   14
   ユークリッド星座。

   同心円をめぐる人・獣・神の、我れの垂直に、氷触輪廻が軋んでゆく。

   終夜、漂石が崩れる。

   15
   地に砂鉄あり、不断の泉湧く。

   また白鳥は発(た)つ!

   雲は騰(あが)り、塩こごり成る、さわけ山河(やまかは)。

 (初出原題「荒野の夢の彷徨圏から」4章・昭和19年=1944年10月「詩研究」、「白鳥」12章・昭和21年=1946年「藝林間歩」、全15章・詩集『羅甸薔薇』昭和25年=1950年 より

 富士川英郎譯詩集『北方の竪琴』読了。愉しい読書だった。

 朝食後、源兵衛川中流、三石神社入口脇の茶碗のカケラ、ガラス片を拾う。昨日の続き。ついつい拾い過ぎて重くなる。帰宅。汗ばむ。コーヒーが旨い。
 昨晩、音楽をかけるとなんか音がヘン。ヘンなのはこの耳だと気づいた。ちょっと耳掃除をしたけど、これは危険。昼前、近所の総合病院へ。すいていてすぐ診断。 耳垢が奥まで溜まっている。
「二年前に来ましたね。一年で来て下さい。」
「はい」
 寝具を冬仕様に。

 ネット、うろうろ。

《 もう少し早く君と出会えていたらなんて都合のいい言い訳ね。 》 マキエマキ@自撮り熟女
https://twitter.com/makiemaki50/status/1333599458005635072

《 今回は水泳しなくてもいいかーと思ってたら、彼女がスマホを落として入水する羽目に。沢にスマホ落としたら彼氏がたまたま冬季山岳水泳を趣味にしてる 人間だったってどんな偶然やねん。冬川に入ってもの拾う経験が豊富な人間なんてそうそうおらんで。 》 段巡りツイッター
https://twitter.com/kaidanmeguri/status/1333549043092398080

《 政府自身が「勝負の3週間」と言っている最中に、12月5日に国会を閉じてしまっていいのか。
  感染対策でも、年末・年始を迎えての営業と暮らしの支援でも、国会の仕事は山積みだ。
  「桜」や「学術会議」も、問題解決はこれからだ。安倍前首相の証人喚問が必要だ。
  会期を延長して十分な審議を! 》 志位和夫
https://twitter.com/shiikazuo/status/1333574862061727744

《 何ということだ、まさかのこのタイミングで「GoToトラベルを来年の大型連休まで延長」するんだってさ。九州旅行でクラスターが発生しているのにだぜ。 旗振りは例の200万円の下村博文政調会長で、どうしても儲けさせたい団体があるんだね。昔は弱者に目を向けた自民党だが、今や利権しか見てないのだ。 》 立川談四楼
https://twitter.com/Dgoutokuji/status/1333622431634788353

《 Nikolay Polissky| Structures 》 中島 智
https://twitter.com/nakashima001/status/1333675562963927041