「メーゾン・ベルビウ地帯」(閑人亭日録)

 椿實「メーゾン・ベルビウ地帯」を『椿實全作品』立風書房1982年初版で再読。メーゾン・ベルビウとは”上野の杜の木下やみに埋もれたような陰気な安アパート”で、 ”扉の左肩にMAISON BELLE VUEと金文字の刻みが剥げかかってみえる。” MAISON BELLE VUEとは、美しい景観の館といった意味。真逆だ。昭和二十年、敗戦直後の上野、浅草、 銀座などが描写されている。解説で中井英夫は当時原稿を読んだ印象を書いている。

《 この二人は「葦」という雑誌の同人でもあって、その雑誌に椿の書いた『冷笑』を先に読んで感心しなかったので、まさかその彼が「メーゾン・ベルビウ地帯」という、 こんなすばらしい作品を書くとは夢にも思わず、二重に仰天したのだった。二十二年、八月十日、日曜 》 344頁

 続いてその当時のことが日記を引用して綴られている。中井英夫『続・黒鳥館戦後日記』立風書房1984年初版から。

《 八月十日(日) 暑〔中略〕
  ところで皆のかへつたあと、椿が今かき上げた「メーゾン・ベルビウ地帯」をもつてきた。飯をくつてからよんでみると、これが素晴らしい。浅草にみのこした僕の夢が みごとに描かれてゐる点でも好きだが、とにかくシヤンシヤンメロディを踊る踊り子や、そのふみならす どろつ どろつ と云ふ足音がぢかにここえくる様なたのしさで、 これつ位奔放に自我を解放して、色彩と音響のごたごたする世界に遊びまはつてゐる作品は近頃珍しい。道学者が何と云はうとこれは傑作だ。これを二日でかき上げる 二十三才の彼に幸ひあれ。自分の才能がひどくみじめだ。完全に負けた。 》 123-124頁

 続いて解説では。

《 「メーゾン・ベルビウ地帯」は、こうして二十二年九月に発行された「新思潮」第2号の巻頭を飾ったが、編集後記に私は次のように記している。
   ”ところでメーゾン・ベルビウの素晴らしさはどうだ。きらきらした色硝子のかけらをいちめんにまきちらし、その中でくねくねのたうつ肉体は満身創痍だらけだが、 その代わりどんなかすり傷にも金砂子の様な光彩がきらめいている。〔以下略〕 》 345頁

《 ただしそれは私だけのことで、他の同人達にはこの作品はおおむね不評だった。椿實の系譜は明らかに泉鏡花川端康成に直結するものだが、鏡花も当時ほとんど 顧りみられない作家だったし、川端の”浅草もの”同様、ただの風俗小説としか読まれなかったのであろう。 》 346頁

《 何より椿の作品は当時まだあまりにも新しすぎ、そのペンはまたあまりに鋭く、かつ脆かった。 》 349頁

《 三十年の凝(こご)る闇の彼方から、いまこうして突然に姿を現わした輝く飛行物体が果してどう受けとめられるか、不束(ふつつか)な解説者もただ、息を呑んで 見守るばかりである。 》 352頁

 昨日も書いたが、なんだかつりたくにこさんのことが書かれている気がする。と書いた午後七時、つりたさんの夫、高橋直行氏から電話。カナダの出版社から七月に出た 『つりたくにこ作品集 The Sky Is Blue with a Single Cloud 』が半年を待たずに販売が3,000部を超えた、重版を考えている、とあちらから連絡があったと。
 https://drawnandquarterly.com/sky-blue-single-cloud
 日本円で3,000円を超える本が。これはスゴイ。喜びを分かち合った。万感胸に迫る。

 ネット、うろうろ。

《 さて、私が以前から言っていたように、同じ条件で比較した場合、新型コロナは比べ物にならないほどインフルエンザより凶暴だということですね。 来年2月が過ぎれば結論が確定するでしよう。コロナはインフルより弱い、単なる風邪と言っていた人たちは考え方を改めたほうがいいね。 》 森岡正博
https://twitter.com/Sukuitohananika/status/1335192377292537856

《 コロナ問題を解決しないと、日本も世界も未来は無いと思っていますので。 》 Koichi Kawakami, 川上浩一
https://twitter.com/koichi_kawakami/status/1335347322985668609

《 GOTOトラベルが、感染拡大の原因だというエビデンスがないと西村大臣は言う。
  ならば、こういう政策を採る国が他になかったのは、なぜだ?

  どの国も旅行業やホテル、飲食店が大打撃を受けたのは同じだが、感染拡大期に、さあ旅行に行けとカネをばら撒いている国などない。 》 masanorinaito
https://twitter.com/masanorinaito/status/1335379073061666818

《 Go To は結局旅行の業界の支援で、旅行に行ける人の支援だ。旅行に行ける人は一部のお金持ちの国民に過ぎない。今日,明日のご飯のために必要なお金がない家庭の 支援の方が急務となっていると思わないでしょうか?

  昨日行なった総理の記者会見の場でこの質問↑もしたかったです、実は。 》 Karyn NISHIMURA
https://twitter.com/karyn_nishi/status/1335223197281603584

《 官僚アンチョコがなきゃ、答えられないんだね。

  (ご丁寧にピンクのマーカーしてあるw) 》 但馬問屋
https://twitter.com/wanpakuten/status/1334817677269843970

《 総理記者会見の在り方が劣化してるのじゃなくて、

  答えるその人の中身が、、、 》 buu
https://twitter.com/buu34/status/1335045593882714112

《 菅さんの記者会見は想像通りグダグダだったが、学術会議の任命拒否にはこう言った。「縦割り、既得権益、悪しき前例主義を打破したい」からだと。菅さん、 あなたは官房機密費の91%に当たる領収書の要らない政策推進費を7年で78億円使いましたよね。これこそ既得権益であり悪しき前例ではないですかね。 》 立川談四楼
https://twitter.com/Dgoutokuji/status/1335072987297456130

《 昨日のこれが明瞭に示しているのは、菅首相には、学術界と「いい関係」を保って国を良くしていこうという気がさらさらないという恐ろしい事実。思い知ったか、 という快感に酔う姿。

  菅首相、学術会議問題の反発「かなり大きくなると思っていた」と笑み浮かべ回答(東京新聞) 》 山崎 雅弘
https://twitter.com/mas__yamazaki/status/1335081970397630464

《 (続き)自民党の中曽根内閣を含む戦後の歴代内閣は、日本学術会議を「政府の権力から切り離しておくことの意義」を最低限理解していた。 「人事介入などの圧力はかけず、予算だけ配分するから、今後も忌憚のない提言で政府の進路を補正してほしい」と敬意を払っていた。みんな大人だった。今はちがう。 》  山崎 雅弘
https://twitter.com/mas__yamazaki/status/1335082984102215680

《 日本近代史を振り返るだけでも、いかに日本が「我々の死者」を利用していたか、よくわかるだろうに。尊い血の犠牲で得た満州権益を失っていいのかという掛け声に 人々は反論できなかった 》 加野瀬未友
https://twitter.com/kanose/status/1335043586178486272

《 わわっ なんですか、これ。

  菅義偉著『政治家の覚悟』は政治資金686万円を投じた自費出版だったとのこと。文春もこういう商売してるのか。公私混同の極致!

  確かにAmazon見たら、版元は「文藝春秋社」ではなく「文藝春秋企画出版」と表示されてますね⇒ 》 盛田隆二
https://twitter.com/product1954/status/1324580871215607808

《 菅義偉『政治家の覚悟』がポケットマネーの自費出版ならまだしも、出版費用に政治資金686万円を投じています。

  政治資金には「税金」が含まれている(寄付者への税額控除税を通じて、国庫から税金が流入している)ので、これは野党が追及すべき問題に発展する可能性大です。 》  盛田隆二
https://twitter.com/product1954/status/1324661538737717249

《 すごいもの見ちゃいましたat #伊豆大島
  #バームクーヘン 》 寺田直子 Naoko TERADA
https://twitter.com/happytraveldays/status/1334369452595453952