『重力と恩寵』八(閑人亭日録)

 シモーヌ・ヴェイユ重力と恩寵ちくま学芸文庫1999年5刷、最後の部分を読んだ。

《 記号(シーニュ)と記号内容(シニフィエ)との関連が失われてしまった。記号と記号とをとり代えるにすぎぬ遊びごとが、増えている。遊びそれ自体として、 また遊びのための遊びとして増えてきている。そして、複雑さが増し加わるにつれて、記号のための記号をつくり出さねばならなくなっている……。
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  現代の世界にはさまざまな特徴がみられるが、なかでも、努力と努力の結果との関連を具体的に考えられなくなっている点を忘れないでおきたい。あまりにも中間に 立つものが多すぎるのである。このほかのあらゆる場合と同じで、ここでもこの関連が、なんらかの思考の中に存在しているのでなく、ひとつのもの、すなわち金銭の中に 存在するにすぎないのである。
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  集団的な思考は、思考としては存在することができず、もの(記号、機械など……)の中へ移って行ってしまう。そこから、次のような逆説が生じる。ものが思考して、 人間はものの状態にまで押しやられてしまうという逆説が。 》 「代数」 249-250頁

《 資本主義は、集団としての人間に、自然からの解放をなしとげさせた。ところが、この集団は、前に自然が演じていた抑圧の役割を受けついで、こんどはそれを個人に 対してふるうようになった。 》 「代数」 252頁

《 ものと直接向かいあうことは、精神を自由にする。人間と向かいあうことは、堕落のもとである。 》 「社会的烙印を……」 254頁

《 権力の座にある人間たちを、つねに危険なものとみなすこと。自分を軽視せずにすむ限度内で、できるかぎりかれらを避けるようにすること。 》 「代数」 256頁

《 社会的なものについて考察を深めるのは、この世から隠遁するのと同じぐらいに有益な方法である。だから、わたしがあんなにも長い間、政治の周辺をうろついて いたのは、あやまっていなかったのだ。 》 「大怪獣」 262頁

《 愛国心。完全な愛以外の愛ならば持ってはならない。国家は、完全な愛の対象となることができない。だが、国ならば、永遠の伝統をにないつづける場所として、 愛の対象となることができる。どんな国でもそうなることができる。 》 「大怪獣」 267-268頁

《 神の教育という比喩を用いることによって、個人の運命は諸民族の運命の中に解消されてしまう。救いにおいては、ただ個人の運命だけが重く見られなくてはならないと いうのに。
  キリスト教は、歴史の中に調和を求めようとした。ヘーゲルマルクスの思想は、はやくもここに芽を出しているのである。歴史を一定の方向に向かって連続するものと みる歴史観は、キリスト教的なものである。
  こんなにまで徹底的にまちがった考え方は、そんなに例がないのではないかと、わたしには思われる。 》 「イスラエル」 275-276頁

《 公平さの光に照らされていない権威なら、そんな権威をもつ人間に従属するのは、悪夢に等しいことである。 》 「社会の調和」 282頁

《 おまえは、何もかもが失われてしまったこんな時代よりももっとよい時代に生まれるなんてことは、とてもできないのだ。 》 「社会の調和」 289頁

《 肉体労働の非常な苦痛は、ただ生存するというためにだけこんなにも長時間の努力をつくさねばならないという点にある。 》 「労働の神秘」 293頁

 シモーヌ・ヴェイユ重力と恩寵』読了。きょう読んだところが最も食い込んできた。それまでは神、信仰など自分とは考えがずいぶん異なり縁遠かった。
 表題の重力がいまいちわからなかったが、巻末の「解題」ギュスターヴ・ティボンで語られていた。

《 神が創造の行為それ自体によってしりぞいて行ったあと、この世界にはたらく主要な法則は、重力の法則であり、それは、存在のどの段階においても類比するものが見出される。重力とは何よりもとくに〈神から遠ざかる〉力である。重力は、被造物おのおのを押しやって、自己保存または自己拡大を可能とするすべてのものを 求めさせようとする。トゥーキュディデースの言葉を用いるならば、自分にできるかぎりのあらゆる権力を行使させようとする。 》 319-320頁

《 シモーヌ・ヴェイユを理解しようと思うなら、彼女が語ったのと同じ高みに立たなければならない。 》 346頁

 大晦日。「昔は」と回顧して「よかった」と言う人をよく見かける。「昔? 良くなかなった。今が一番」と言う私がいる。今年は一番良かった。 新型コロナ禍は時代の大転換期の狼煙だと思う、私は。

 ネット、うろうろ。

《 富士山女子駅伝終了後に姿を見せた雪化粧の富士山です! 》 Taitan
https://twitter.com/taitan21/status/1344176028248199168

《 12月30日。三島市は朝方曇りでしたが、強風で雲がふきとんで。午後には富士山がくっきり。 》 Koichi Kawakami, 川上浩一
https://twitter.com/koichi_kawakami/status/1344233246465249280

《 しかしおせちは12時間前に冷蔵庫に移して解凍せよとある……冷蔵庫に移す……この量を? 明日の夜までに冷蔵庫に空きを作れということか。仕方ない、 まずは冷やしてあるビールをのm 》 大矢博子
https://twitter.com/ohyeah1101/status/1344179933547954176

《 絵柄的には明らかに日野日出志フォロワーの「鬼滅の刃」が国民的ヒット作になっているの、意外でもあるし、痛快でもあるな。 》 日下三蔵
https://twitter.com/sanzokusaka/status/1344256227874803720

《 オードリー・タンは重要なのはプログラミング的な思考を学ぶことだという。それは彼によると「一つの問題をいくつかの小さなステップに分解し、 多くの人たちが共同で解決する」という思考なのだという。こういう表現は、問題をまず小さな部分に分解して思考せよという、『方法序説』のデカルトの考えを 》  清水高志
https://twitter.com/omnivalence/status/1344187866373484547

《 想起させるが、違っているのは一つ一つの「小さなステップ」ごとに「多くの人たち」の共同の関与があり、そこではオープンソースの知も動員されるし、 その対象からそれらの人たちへのフィードバックもある。媒介項に繰り返し戻りつつ複数のアプローチが作用するという意味で、アクターネットワーク的な 》 清水高志
https://twitter.com/omnivalence/status/1344187868453879808

《 構造がこうしたプログラミング的思考のうちでは働いており、そうして「小さなステップ」も順次取り替えられていく。その意味では、デカルト的と言うよりも ライプニッツ的な発想であるとも言える。 》 清水高志
https://twitter.com/omnivalence/status/1344187869707915264

《 生活保護を受けることが恥ずかしいのではなく
  生活保護をしなければ生きていけない人を出してる政治をしてることが恥ずかしいことなのです。
  自民党公明党は、自らの政治を恥ずべきです
  あなた達の政治は、「失敗」してるのです 》 ヤン・ウェンリー提督
https://twitter.com/yangwenli920820/status/1344172707642929154

《 もーいーくつ寝ーるーとー 大 流 行
  お正月にはー 初詣ー コロナを 広げて 遊びましょうー
  はーやーくー 来いこーい 大 崩 壊 》

《 幻の名演は日常の中でふと現れたりするものだと思うんだけど
  お父さんと一緒にギター屋さんについてきた少年の歌うブルースの声量と貫禄がすごすぎるんだよな
  サングラスの店長がSTOP!って言うから声が大きすぎて止めさせるのかと思ったら「最高だから友だちに見せる」ってカメラ用意させてるの最高笑 》 Applepopz_ ロックンロール忘備録
https://twitter.com/Applepopz/status/1344250631721254913