『ブルーノ・ラトゥールの取説』(閑人亭日録)

 久保明教(あきのり)『ブルーノ・ラトゥールの取説』月曜社2019年2刷、「序論」を読む。

《 そもそも「知る」とはどういうことだろうか。 》 9頁

《 したがって、知ることは、原理的には、知る者が世界を外側から観察して世界と厳密に対応する言明を与えることとして把握される。
  こうした、対象と表象、世界と言語が対応していることが正しく知ることだとする常識的な発想を「対応説」と呼ぶとしよう。それは科学や学問の価値を一般に保証 してきたものである。 》 10頁

《 しかしながら、対応説には根本的な難点がある。急がずに考えればわかることだが、私たちは世界の外側になどいない。〔中略〕外側から世界を知ることは、 内側において世界を生きていることに避けがたく結びついている。 》 11頁

《 だが、第三の発想もありうる。私たちはこの世界の内側に生きているからこそ、世界に関する適切な知識を獲得できるのであり、その一つが外在的な知識とみなされてきたものである。そう考えれば、外在は内在に内属することになる。対応説的な発想が染みついた私たちにとって、それ以外の仕方で知識の妥当性を考えることは極めて 難しい。とはいえ、世界への内在を前提として外在的とされる知識を捉え直すことも可能である。 》 13頁

《 社会構築主義において「構築」とは作りものであること、本当の事実ではないことを意味する。これに対して、第三の発想において、「構築」とは事実を生みだす唯一の 適切な回路である。ただし、構築される事実が「より良い/悪い」ものであるかを判断する基準は世界の外側に置かれない。 》 15頁

《 世界は固定されておらず、その一部でしかないゆえに表象もまた固定されていない。「知る」ということは、世界と厳密に対応する言明を与えることではない。それは、 世界の内側において他の存在者と様々な関係を取り結ぶことそれ自体であり、対応説的な正しさはその派生的な効果の一つにすぎない。 》 15頁

《 このように考えると、より良く「知る」ことが問われる場は、世界と表象の対応ではなく、世界の内側にある諸要素の関係性に移ることになる。「知る」とは様々な 要素を関係づけることであり、その良し悪しもまた関係づけの只中において生じる。 》 18頁

《 第一の発想が近代という前提を固持するモダニズムであり、第二の発想が近代という前提を保持しながらその刷新を探求するポストモダニズムであるとすれば、第三の発想は近代という前提を放棄して世界を捉える「ノンモダニズム」を構成する。では、世界の内側を生き、様々なことを知り、様々な関係性のなかで行為している「私たち」とは何ものだろうか? 》 19頁

《 簡単にいえばラトゥールはうさんくさい。 》 21頁

《 その取り扱いには注意が必要である。極めて難解ではないが、極めて誤解しやすい。 》 29頁

 ネット、うろうろ。

《 『ラトゥールの取説』で久保明教氏が、ラトゥールは近代を巡って色々な逆説を突きつけてくるけどフーコーレヴィ=ストロースみたいにマルクス主義みたいな 過去の人類の学問体系と本気で格闘してオルタナティブを提示するというようなことをやれていなくて、そこが物足りないという意味のことを 》 清水高志
https://twitter.com/omnivalence/status/1345362204606877697

《 述べていた。それは同意なんだけど、そこは頑張って補完して思考して作るべきなんだよな。 》 清水高志
https://twitter.com/omnivalence/status/1345362205596794886

 こんな同時性があるとは。

《 西欧式のアートをいくら文字面で教育しても、着床はしないと思われる。
  もし本当に日本が芸術大国に変容しようとするならば、行うべきは、芸術への税の変更である。決して、クールジャパンのように税金をクソ企業に逆流させて、 文化創造でございと悦に入ってはほしくないのだが。 》 takashi murakami
https://twitter.com/takashipom/status/1345137604111450112

《 自分が見た、80年代の日本画のバブル期に起きていた、当時の現代美術バブル、それはセゾングループを背景にしたりしていた事象と、 今のアート購買への狂騒は似ていたりもする。儲かるならなんでも似たようなモノをリリースすれば良い的な。 》 takashi murakami
https://twitter.com/takashipom/status/1345140561687183361

《 アートが他のサブカルと違うのは取引が情報ではなく物であると言う部分で、残った物が未来永劫価値の有無を問われ続けると言う事なのだ。 》  takashi murakami
https://twitter.com/takashipom/status/1345140753194860544

《 確かに今日のテレビはなんの事実も危機感も伝えてない。おわってるし、どうなるかもうわかりません 》 倉持仁
https://twitter.com/UCiS7MEgWj6L7cV/status/1345391405611405313

《 日本とは無能が船頭をし沈みつつある二流国であり、そんな泥舟国家の情報だけ追っていると再帰的無能感に陥り自分まで無能になるので、 意識的に若い国の情報を摂取してリフレッシュするのが必要だ、という思いが日増しに強くなる 》 樋口恭介
https://twitter.com/rrr_kgknk/status/1345355121354444800

《 俺がやってるのは社会批判ではなく、政治権力(およびその奴隷)批判な。社会はこっち。彼らはしばしば、社会から預かっている権力を盾に、 社会に対して批判的に動くという、自己矛盾を呈する。なんなら迫害にすら及ぶ。 》 津原泰水
https://twitter.com/tsuharayasumi/status/1345486686927556609

《 妹にあげた 》 タツエツダイコウ
https://twitter.com/Tatsu_Zinc/status/1345341499718832134