「銀座運河」(閑人亭日録)

 昨日の東京新聞連載、長谷川櫂「私の東京物語」3は、大岡信の詩「銀座運河」から始まる。

《 「西銀座三丁目。/そこにあつた新聞社で/十年間ロクを食(は)んだ。」大岡信の「銀座運河」という詩はこんなふうにはじまる。 》

《 私が読売新聞に入ったのはその十数年後。社屋は大手町に移り、大岡さんは辞めてた。新聞社は言葉について考える絶好の場所だった。俳句だけでなく広く言葉について 考えるようになったのは、大岡さんという先達がいたからである。 》

 「銀座運河」初収録の詩集『水府(みえないまち)』思潮社1981年初版を開く。谷川俊太郎編『大岡信詩集 丘のうなじ』童話屋2015年初版にも収録されている。 「銀座運河」の結び。

《 汚ないから、それで風情があつたのだらうか。  》

 『自選 大岡信詩集』岩波文庫2016年初版収録「銀座運河」の次は「螢火府(けいがふ)」。主題は故郷三島の川で遊んだ子どものころ。

《 昼間なら
  四(よん)本の川が野の中央を蛇行してゐた。  》 246頁

 幼少の砌だから蓮沼川、源兵衛川、御殿川、桜川のことだろう。源兵衛川と御殿川に挟まれた四の宮川は御殿川に合流するが、当時の家からは遠い。注釈から。

《 三島は水都なりき。清水は溢るるごとく町の内外を貫き、藻草は緑なす髪のごとく流れに喜戯したり。 》 249頁

 六十年ほど前、私が源兵衛川最上流部で泳いだときの情景そのものだ。
 三浦雅士の解説「ある愛の果実」を以前読んだときに付箋を貼った箇所にやはり刮目、納得。

《 この謎に真正面から向き合ったのが詩「さわる」だが、そこでも「地名論」と同じ手法が採用されている。「マリリン」もそうだ。三篇とも傑作であり名作である。
  だが、大岡の他の詩との対比でいえば、三篇とも理が勝っているとも思える。記憶に残るのは、音の響きとリズム──たとえば「マリリン」の最後「マリリン/マリリン //ブルー」で一気に海の音を喚起する音の響きとリズム──だが、しかし、それ以上に、その論理なのである。「さわる」においては触覚が問われ、「マリリン」に おいては女優の死を契機に時代が問われ、「地名論」においては「名前は土地に/波動をあたえる」というその言葉の呪術性が問われているのだが、歌われているのはその 問いの論理そのものなのだ。言葉のたしかな手ざわりが行から行へと続いてゆくさまは目にも耳にも快いが、しかし、つらぬく論理は明瞭であって揺るぎがない。 突き詰めれば、読むものはその論理に打たれるのであり、ここでは詩人の手腕はむしろ批評に仕えているのだ。(中略)つまり、名作というほかないこれら三篇は、 批評をもって詩の核心としているのである。 》 280頁

 大岡信の批評は、じつに高い解像度でじつに明晰。ちょうどCDを聴くような。しかし、私は揺らぎのあるLPレコードにより惹かれる。

 ネット、うろうろ。

《 学者・芸術家にまつわる、よくある誤解に「偉い先生なの?」というイメージがある。正確に言うと「わくわくしているコドモ」である。生物学者は生物に、 天体学者は星空にわくわくしてる。「でも苦虫を噛みつぶしたような顔して威張ってない?」「違います。好きなこと以外、人間関係が不得手なだけ」。 》 中島 智
https://twitter.com/nakashima001/status/1392366559436316672

《 (翻って言うならば、ある謎や事象に「わくわくしているコドモ」でない学者(自称)や芸術家(自称)というのは、権力としての学芸をまとっているだけの人々に 他ならない。ともあれ、謎を次から次へと見いだしていく「コドモ」たちは、その肩書きがなんであれ、権威志向よりも遙かに幸せものである。) 》 中島 智
https://twitter.com/nakashima001/status/1392451361246113794

《 一年前にこんなツイートしてた。
  結果として何も変わっていない。考える能力が根本から欠除しているのではないのか、特に厚労省? 》 m-take
https://twitter.com/takeonomado/status/1392472104004689925

《 「世界一コンパクトな大会」デタラメ。
  重要なのは現状況。一体どんな基準で菅総理は中止を宣言するのか。はぐらかしの答弁はもうたくさん。国内の死亡者数が1万人を超える中あまりにも不謹慎。 「表なし五輪」のなれの果てのはじまりを見よ。 》 和丸号 (大塚和之)
https://twitter.com/kazumarugou/status/1392729761097469952

《 さすが、どれだけ死人が出ようがその後の日本が変異株ショーケース化しようが、お金になりさえすればどうでもいい人達は言うことが違うなあ。

  IOC 日本の中止論をけん制「世論に動かされることない」「五輪始まれば支持される」 》 きいろ
https://twitter.com/kiiro_xg/status/1392697659765395458

《 自民党も同じ考え方である。国民は舐められてるね。
  「一方、IOCは会見で日本で開催反対の世論があるものの、「歴史的な瞬間」となる大会への支持は広がるという見通しを示しました。」 》 森岡正博
https://twitter.com/Sukuitohananika/status/1392730247364186113

《 政治家や医師会からの要請、「国民」を「下々」とし、最後に「私のために」を加えると、伝えたいことがよく解る。
  「下々の皆様には、徹底した対策と自粛をお願いしたい。私のために」 》 津原泰水
https://twitter.com/tsuharayasumi/status/1392674733993336834

《 「最終的に強行開催された結果、パンデミックを加速させ、極東の開催国を経済的三等国化させたその五輪大会は、後に、COVID-19と第二次世界大戦末期の 非人道的戦法にちなみ『カミカゼ ・オリンピック』と呼ばれるようになった。」(エンサイクロペディア・ギャラクティカ) 》 猟奇の鉄人
https://twitter.com/kashibaTIM/status/1392656389206536194

《 パレスチナガザ地区がなぜ「天井のない監獄」と呼ばれているかご存知でしょうか?あらゆる犠牲があってはならない、ということを前提にしながらも、 圧倒的な力の不均衡、長年に渡る搾取の構造を無視し、「どっちもどっち」どころか力のある側を、政府関係者が一方的に擁護することは非常に深刻です。 》 安田菜津紀 Dialogue for People
https://twitter.com/NatsukiYasuda/status/1392480969307742213

《 日本政府の「防衛副大臣」が勝手に「私達の心はイスラエルと共にあります」とツイート。この人物は、そもそもイスラエルが建国の過程で何をしたか、 なぜ「ガザ地区」という特殊な領域に先住民のパレスチナ・アラブ人が閉じ込められているかも理解していない様子。罷免が必要。 》 山崎 雅弘
https://twitter.com/mas__yamazaki/status/1392440229236072455