『十二支考 1』六(閑人亭日録)

 南方熊楠『十二支考 1』平凡社東洋文庫1972年初版、「蛇に関する民俗と伝説」後半を読んだ。

《 途上美しき処女が路を失うて哭(なげ)くに遭い、自分の馬に同乗させてその示す方へ送り往くうち、象牙の英語で相惚(アイボレー)と来た。女言う、妾(わたし) 実は家も骨肉(みうち)もない孤児だが、図らず君を一目進(まい)らせてより去りがたく覚えた熱情の極、最前のような嘘を吐(つ)いたも、お前と夫婦(めおと)に 成田山、早く新勝寺を持って見たいと聞いて、男も大いに悦び伴れ帰って女房にした。ところが一日、インドの道人(ファキル)やって来たり、その指環に嵌(は)めた 層瑪瑙(オニキス)の力で即座にかの女を蛇の变化(へんげ)と知った。 》 273-274頁

《 さて欧州で名手が作ったおそくつの絵を見た内に、何の活動もなきアルコール漬を写生したようなが多く、したがってこの画は、どうも日本の名工に劣るが多く思われた のは、全く写生に執心するあまり、死物を念入れて写すような事弊に陥ったからであろう。故に西洋人の写生が必ずしも究竟の写生でなく、東洋風の絵虚事は、反って 実相を写しうる場合もあると惟う。このことは明治三十年ごろ、予がロンドンのサヴェージ倶楽部で、アーサー・モリソンに饗応された席で同氏に語り、氏は大いに感心 された。その後河鍋暁斎がキヨツネとかいうイタリア人に、絵画と写真との区別心得を示したものを読んだ中にも、実例を出して似たことを説きあったと憶える。 》  291-292頁

《 ただし、かかる現象を実施について研究するに、細心なる用意を要するは言うまでもないが、人の心を測るの易(やす)からぬは、荘子と恵子が魚を観ての問答にも 言える通りで、正しく判断し中(あ)つるはすこぶる難い。 》 308頁

《 これを見て、予は書物はむやみに信ぜられぬもの、活き物の観察はむつかしいことと了(さと)った次第である。 》 309頁

 南方熊楠『十二支考 1』平凡社東洋文庫1972年初版、本文読了。ふう。

 ネット、うろうろ。

《 時代が変わったんだなってしみじみ 》 政春
https://twitter.com/keirinmasaharu/status/1402411865368522757

《 アブダビが今後5年間で60億ドル(約6573億円!)もの予算を文化・クリエイティブ産業に投入する計画を発表。現在2万人の雇用がある文化セクターで、 さらに1万5000人の雇用を増やすと。

  オイルから文化へとシフトチェンジする明確な態度表明 》 橋爪勇介|美術手帖
https://twitter.com/hashizume_y/status/1402552123494076418

《 来日するオリンピックファミリーのためにレクサスなど高級車を2700台、運転手へのワクチン接種はこれから検討と。

  小池晃議員
  「これではオリンピックファミリーの健康や便利の為にやっているとしか見えない」 》 EMIL
https://twitter.com/emil418/status/1401854741496221696

《 オリンピックの為なら、コロナくらいで何人死のうが関係無いという、政府の強固たる決意。むしろ邪魔になる奴は機関銃で殺しまくるくらいの勢い。 これが狂気じゃなくて、何が狂気なんだ? 》 m-take
https://twitter.com/takeonomado/status/1402431376671088641

《 「八月六日、広島被爆の様子を呉より遠望する」…前衛とは、正視しえない現実に抗して、なおかつ直立しようとする精神の叛乱、その所産としての文体の謂なのだ。 今日6月9日、塚本邦雄17回忌。明日10日、私は絶叫/追悼コンサートを開催する。《前衛は技巧にあらず精神の叛乱、黒い五輪の旗よ》 》 福島泰樹
https://twitter.com/yasukizekkyo/status/1402390936357720065

《 イングランド中部のルージリー市にある石炭火力発電所の冷却塔4基が、数日前に爆薬で解体された。近くのサッカー場で撮影された高さ114mの塔が消える様子の動画。 1970年の建造だが、二酸化炭素の排出規制などのために廃止。跡地は宅地になるとのこと。 via @Urban_Pictures 》 Oguchi T/小口 高
https://twitter.com/ogugeo/status/1402560488861437955