『南方熊楠文集 1』三(閑人亭日録)

 岩村忍 編『南方熊楠文集 1』平凡社東洋文庫1979年初版、「履歴書」を少し読む。すこぶる面白し。

《 古人はアレキサンドル大王が、時としてきわめて質素に、時としてはまた至って豪奢なりしを評して、極端なる二面を兼ねた人と評せしが、小生も左様で、一方常に 世を厭い笑うたことすら稀(まれ)なると同時に、 Happy disposition が絶えず潜みおり、毎度笑わすこと多し。二者兼ね具(そな)えたゆえか、心身常に健勝にて大きな 疾(やまい)にかかりしこと稀なり。 》 39頁

《 万事この格(かく)で、日本人が自分の発見を自分で出版して自在に世界中に配布するにあらざれば、到底日本人は欧米人と対等に体面を存することは成らず候。 》  41頁

 南方熊楠は、昨日読んだ箇所(24頁他)でも弟を悪く書いているが、北一明を思い出した。二十年ほど前だったか、北が新たに焼成した茶碗を送ってきて、代金百万円を 送ってくれと言う。何日か見ていたが、所有欲が湧かないので送り返した。彼は逆上して電話をかけてきた。周囲に人がいるので何事でもないように話した。 金の切れ目が縁の切れ目。それから何年かして、知人女性が新橋駅の近くで買物をしていると、ホームレスのような男が彼女を三島の人と知り、私を詐欺師だの泥棒だのと罵倒の限りまくし立てた、 と彼女があきれて言う。後で知ったが、頼みの綱の年下の連れ合いに急死され、一緒に営んでいた居酒屋もうまくいかず、の時だったようだ。そんなわけで今世紀の消息は 知らないが、東京中野区のアパートを退去して千葉県の知人の家に居候をしたようだが、結局飯田市に帰郷して亡くなったと聞く。生家のその後は知らない。
 http://www.minamishinshu.co.jp/center/series/023.PDF
 北一明と南方熊楠には共通点がある。いつも金に苦労したこと。海外では高い評価を得ているが日本ではまず無名。また、二人の生地へ行く機会は私にはななさそう。 しかし、全く違うことも当然ある。南方熊楠記念館は故郷にあるが、北一明記念館といった話は、杳として聞こえてこない。

 午後、来て欲しいと言われ、32度超の暑い中を電車バスを乗り継いで某個展会場へ。空振りの作品群。画家に挨拶して帰宅。疲れた~。最近頼まれ用ばかりでぐったり。 医者から処方された痛み止めの錠剤を飲む。痛みよ、飛んでいけ~。読書は捗らず。

 ネット、うろうろ。

《 原子力緊急事態宣言は未だ解除されていない。そこへ緊急事態宣言下の五輪が開催されようとしている。並べると凄い。2つの緊急事態宣言下の五輪なんだ。 水際がダメ、バブルは穴だらけ、ま、バブルは弾けるもんだが、それでも開催ありきで進んでいる。麻生さんの言うミゾウユウの事態を見てるしかない。 》 立川談四楼
https://twitter.com/Dgoutokuji/status/1413705963354300420

《 たとえば「安心安全貯金」というのがあったとして、私たちがリモートや時短や我慢でコツコツ貯めてきたものを、開会式でパーっと使われるような感じ? 》 俵万智
https://twitter.com/tawara_machi/status/1406903465255731202

《 すごい、プランBを考えてなかったとぶっちゃけてる。「想定外」というより「想定したくないことを考えるのをやめた」なんだろうなー。 / “【速報】五輪組織委 「この3週間のコロナ悪化は想定外」/パートナー企業に謝罪 | 探査報道メディアTansaの報道” 》 多根清史
https://twitter.com/bigburn/status/1413442149467652107

《 藝大が「アートワクチン」というタイトルで学内作品公募を始めている。「多くの人々の心が深い痛みを感じている時代に、アートが心のワクチンに」という、 正気とは思えないスローガンが掲げられていて、率直に言って能天気だ。 》 euske oiwa|大岩雄典
https://twitter.com/rovinata_/status/1413445295837302794