『続 風の書評』続き(閑人亭日録)
 来年二月の大岡信のイベントの相談メールが届いたので、昨日の百目鬼恭三郎(どうめききょうざぶろう)『続 風の書評』から大岡信百人一首講談社文庫の評を読む。

《 この本は、歌を現代詩に訳している点がミソなのだが、それよりもまず、著者は本当に歌がよくわかっているのかどうか不安になってくる。たとえば、紀貫之の 「人はいさ」の歌を「ちょいと手のこんだ昔なじみの恋の歌と読むべきで、歌には艶と懐古の情がこもっている」と解しているなどは、はなはなだいただけない。(引用者・ 略)それを勝手にべとついた恋情ひきつけて解するのでは、どうも古今風がよくわかっていないのではないかといわれても仕方あるまい。
  それに、はっきりいって、著者の知識はいささか杜撰のそしりを免れまい。 》 44頁

 短歌の流れで馬場あき子『歌枕をたずねて』角川選書の評。

《 こういう杜撰さをもとにしていては、いくらもっともらしく感慨にふけったところで、見当ちがいのことしか出て来ない。たとえば、浜名湖弁天島から湖と海を ながめて、昔の浜名の橋をしのんでもムダなのである。浜名の橋は、湖を隔ててずっと西の新居町を流れる浜名川にかかっていたのだから、弁天島から見えるはずがない のである。 》 59頁

《 ついでにいうと、著者は、芭蕉の「須磨寺や吹かぬ笛聞く木下(こした)やみ」という句を、夜の句のように解しているらしいが、木下やみは、夏木立が茂って昼なお くらいさまをいう季語で、これは当然昼の句である。 》 60頁

 「木下(こした)やみ」、私は「このしたやみ」と読んでいた。手元の辞書二冊には「このしたやみ」しか出て来ない。季語では「こした」。五字に収まるように、かな。 この本とは無関係だが、「咫尺(しせき)」という言葉は最近まで知らなかった。咫は八寸、尺は一尺の意。で、非常に近い距離のこと。漢和辞典では部首は口部。へえ~。

 午後、源兵衛川中流、三石神社横の茶碗のカケラ、ガラス片を拾う。水の流れは速く、川底は平坦ではない。慎重に足を運びながらの作業。重くなり過ぎ、引き上げる。 ベンチで一休み。軽く汗。

 ネット、うろうろ。

《 「どうでもいいようなこというあの人だれ?」「評論家という芋をよく食う人だ」(水木しげる「くさった国」)。 》 赤城毅/大木毅
https://twitter.com/akagitsuyoshi/status/1470779700767522816

《 日本で『とんかつパーティー』があって、たくさんの人が集まってとても人気があるって聞いたから、絶対に私も次に日本へ行った時は『とんかつパーティー』 参加しようって決めてたんだけど、先日『とんかつパーティー』じゃなく『婚活パーティー』って教えてもらって悲しいので誰かとんかつください。 》 アルトゥル  日本推しラトビア
https://twitter.com/ArturGalata/status/1470682251826540544

《 消しゴムデータによる消しゴム統計。消しゴム官庁。消しゴム国家。すごいな。

  国交省、基幹統計を無断書き換え 建設受注を二重計上、法違反の恐れ:朝日新聞デジタル 》 小田嶋隆
https://twitter.com/tako_ashi/status/1470898713703116805

《 ドラマに出てくる、ダメさが誇張された会社員みたいな言い訳を国が。

  他の経済指標への影響の度合いは「わからない」とした。4月以降にやめた理由については「適切ではなかったので」と説明。書き換えを始めた理由や 正確な時期については「かなり以前からなので追えていない」 》 武田砂鉄
https://twitter.com/takedasatetsu/status/1470896361881337857

《 (関係ないけど、今ラーメン作って食べた直後にTLでニュース読んだから吐きそうになった。どうしてくれる‥‥) 》 大野左紀子
https://twitter.com/anatatachi_ohno/status/1470966942706302982

《 これは、短いが「ひどいニュースだ」と思う。

  「伝統的家族観を重視する自民党内保守派」とは、要するに昭和の大日本帝国時代の精神文化を継承する日本会議神社本庁系議員のことだが、それに関する予備知識を メディアが全然供給しないので、問題の危険性が全然伝わらない。https://nordot.app/843413979478278144 》 山崎 雅弘
https://twitter.com/mas__yamazaki/status/1470714887189979136