『日本名畫百選 下巻』(閑人亭日録)

 晴天。東京美術學校編輯『日本名畫百選 下巻』審美書院明治39年10月25日発行を開く。室町時代から江戸時代まで45畫を収録。
  第八十一 曾我蕭白筆黄石公張良圖屏風畫
  第八十二 勝川春草筆七美人圖
  第八十三 圓山応擧筆鯉魚圖
  第八十四 長澤蘆雪筆墨竹圖
  第八十五 伊藤若冲筆群鶏圖
  第八十六 喜多川歌麿筆美人圖
 と、なかなか興味深い並び。「第八十五 伊藤若冲筆群鶏圖」は極精細多色摺木版画だが、付箋が挟まれている。

《 第八十五圖は製版印刷の都合に依り、群鶏圖に代ふるに雙鶏圖を以てせり。雙鶏圖も亦御物三十幅中の一幀にして。寶暦巳卯云々の落款ありて、製作年月の明知らるヽ のみならず、若冲の作中文様的理想化の甚しからざる傑作なり。看者請ふ説明の齟齬を咎むること勿かれ。 》

 『日本名畫百選』に収録された絵で、実物を直接眼にしたものは一点、『第五十九 長谷川等伯筆松林圖屏風畫』のみ。ほかもいつか実物を見たいが。

 きょうの東京新聞文化欄、藤田一人「美術評 野田弘志新作展「神仙沼」」冒頭。

《 日本絵画において”写実”が注目されて久しい。だが、その多くは西洋の古典的描写や3DCG的技巧性が意欲的に追求される一方、現実と向き合う切実さが乏しい。 ”写実”の”実”が見えてこないのだ。 》

《 実際、その作品を目の当たりにすると、圧倒的な画面サイズには目を見張るが、こちらに迫ってくるような威圧感はない。むしろ、その大画面は壁の奥に向かっていくようだ。 》

 この部屋に飾ってある味戸ケイコさんのハガキ大の絵(東京新聞連載小説、恩田陸『夢違』の挿絵の一枚)へ目がゆく。日本のどこにもある山並みを鉛筆とアクリルで 描いている。何気なく見える絵だが、間近で見たと時よりもやや離して見るほうが、画格の大きさを実感する。この山並みの風景描写がいかに独特であるかが見えてくる。 絵の魅力は大きさとは別、とつくづく思う。この魅力の源は何だろうと十年ほど考えている。小原古邨の魅力の源泉も何だろうと、二十年あまり考えている。小原古邨は、 審美書院の豪華美術本の江戸絵画の極精細多色摺木版による複製画で、古邨の魅力の理由が見えてきた。

 午後、源兵衛川最下流部で十人ほどと協働作業。カワニナ採りと岸辺の雑草の刈り取り。カワセミが上流へ飛翔していく。二時間ほどで終了。

 ネット、うろうろ。

《 こんな物悲しいマックスバリュ初めて見た 》 階段巡りツイッター
https://twitter.com/kaidanmeguri/status/1489589103205109761

《 【独占】大竹伸朗の巨大アートが道後温泉に出現! 過去最大の作品に込めた思いとは? 》 『カーサ ブルータス』
https://casabrutus.com/art/216776

《 書けなかった迷路の話/宮田珠己 》note
https://note.com/miyatatamaki/n/n37566fcda149