『今日のアニミズム』三(閑人亭日録)

 奥野克巳・清水高志『今日のアニミズム以文社2021年初版、「第三章 対談I」奥野克巳X清水高志を読んだ。
 http://www.ibunsha.co.jp/new-titles/978-4753103669/

《 清水 根源的な二項対立が調和されている世界は、すでに見たように、「~であるのでもなく、~でないのでもない」という風に、一と多、個と全の 「どちらでもない」世界であるはずです。しかし現象の世界というのは通常「~がある」「~がない」ということで成り立っている。芸術やミュトスも、こうした具体性に おいてある。 》 119頁

《 清水 舟を漕ぐ人も舟も環境のなかで、一体だと言うところをさらに抜けるのは、もはや自力によってではないと思うんです。いったん主客の両極が 否定されて、個も全も否定されるかたちを経て、それらがもう一回結びつかないといけない。始まりもなく、終わりもないところだったら鳥はどんな風に飛んでもいい。 魚はどんな風に泳いでもいい。そこで動こうが循環しようが、すべてが営まれてよいのだけれど、しかもそこからさらに突き抜けた無限に包摂されるところを語るのが宗教だ。 おそらく他力というのは、どこまでもそこに重心を置いたものなんでしょうね。 》 125頁

《 清水 一連の岩田慶治の譬喩には特徴があって、いずれも内と外の話、近い環界(図)とより大きな境界(地)の話、つまりは《無始無終》の 話ですね。この《無始無終》の世界で動き回っているのなら、もはやそれでいい。岩田は「魂とは無心の別名ではないか」とも語っていますが、無心の忘我の堺にいるという ときには環境世界とも一体だし、そこからすこっと抜けたところで世界全体との出逢いもあるし、《私》の魂もそこにある。宗教的な祭礼とはこういうものだと。 アニミズムが強烈に啓示されるそれらの瞬間も、それぞれ哲学的に深く洞察されるべきだと思うんです。 》 139頁

《 奥野 翻ってみると、ずっと人類学は自己から出発していた。自己と他者です。自己というものを、文化の絶対的な単位として考えていた。 》  173頁

《 奥野 ようやくそこにマルチスピーシーズ人類学的な動きが出てきたんです。つまり、「人間とは何か」と問うときに複数種との関係において考える というような発想へと抜けていくことで、ようやく実体のないもの、自己のようなものが初めからあるわけではないところ、社会や文化というものが最初からあるわけでは ないところに踏み込み始めたのです。逆に言えば、どうしてこれまでそれに気がつかなかったのかが、実は大きな問題なのかもしれません。 》 174頁

《 奥野 なるほど、宗教というよりも仏教の知、知恵にもう一度戻って考えぬいていく。 》 175頁

 午後、源兵衛川中流部、三石神社横の茶碗のカケラ、ガラス片を拾う。細かいモノばかり。ここは当分拾わなくていいだろう。やや重くなって終了。

 ネット、うろうろ。

《 芸術に〈構想 concept〉を求める人たちは、創造の母が〈情動〉であって〈構想〉ではないことを見誤っている。見誤るのは、その〈情動〉に突き動かされた経験がない からである。ならば、せめて想像しよう。さもなくば、ヒトをヒトたらしめた〈情動〉は、ヒト社会での〈欲望〉へと、矮小化されてしまう。 》 中島 智
https://twitter.com/nakashima001/status/1491877446336987152

《 創造はイキモノ的なもので、その〈情動〉は、喩えれば〈進化〉のようなものである。進化に目的がなく、さまざまな表れのうち、たまたま時宜にかなった形態だけが 生き残っているように、創造にもまた目的はなく、たまたま時宜と合ったり合わなかったりする。合ったものだけを視るのは、専門家ではない。 》 中島 智
https://twitter.com/nakashima001/status/1491885436762947590

《 記事を読む限り、「捏造だった」と結論づけるべきだと思う。

  五輪反対デモ「金で動員」の字幕、「誤り」と判断 NHK、職員処分:朝日新聞デジタル 》 ささきりょう
https://twitter.com/ssk_ryo/status/1491943937581645826

《 これが捏造ではなく「つい、うっかり」事案であったというなら、五輪反対デモを含め、各種の市民デモを「そういう目で見る」ことがNHK内部で常態化していた、 と思われるのだが。 》 上西充子
https://twitter.com/mu0283/status/1491964872992890881

《 「誤り」じゃなくて「捏造」/野次馬 》 ネットゲリラ
http://my.shadowcity.jp/2022/02/post-23857.html

《 世間をあざむいておいて「間違えました」なんていう言い訳が、そのまんままかり通るとでも思っているのだろうか。NHKの失墜は先刻承知だったわけだが、 自局の失策をリカバーするマトモな釈明すらできない組織に成り下がっていたとは。びっくりだよ。 》 小田嶋隆
https://twitter.com/tako_ashi/status/1491933534092595202