エドゥアルド・コーン『森は考える 人間的なものを超えた人類学』亜紀書房2016年3刷、「第一章 開かれた全体」を読んだ。知の枠組みの転換を図る論述だ。興奮。 読み進めないはずだ。固着した思考を一旦ほぐさないと、その先に進めない。
《 生命の記号過程は、イコン的でインデックス的である。象徴的指示は人間を無比のものにするとはいえ、生命がそこから創発し、また依存しているより広い記号過程に 収められて創発的な動態なのである。 》 100頁
《 私たちの思考が世界のようなものであるのは、私たちが世界に属するからである。（あらゆるたぐいの）思考は、習慣獲得に向かう世界のうちの傾向から創発し、 それと連続し、多くを巻きこんでいる習慣である。 》 108頁
《 生きていること──生命の流れの中にあること──には、増加し続ける創発する習慣を私たちが後押しすることが含まれている。しかし生きていることは、習慣の中に いること以上のことである。記号的な動態の生き生きとした繁栄の原因と結果を私は自己と呼ぶが、それはまた、崩壊と衝撃から生じたものでもある。 》 113頁
《 生物学と同じく、記号論においては全体が部分に先行する。つまり、類似性は差異に先立つ。思考も生命も全体として始まる──それが、たとえ極端にあいまいで、 非特定的であろうとも。どんなに単純で分化していないとしても、単細胞胚は、発達した後になるであろう多細胞有機体と同じくらい、全体的なのである。イコンは、類似 （ライクネス）としてとらえられる限り、どれほど原始的であろうとも、不完全なかたちでその類似性の対象を全体としてとらえる。分化した部分が最初で、組み立てられた 全体がその次に来るのは、機械の領域だけである。記号論と生命は、それとは対照的に、全体から始まる。
それゆえ、あるイメージは記号論的な全体であるが、それゆえに、イメージが表象する諸習慣の非常に大雑把な似姿となりる。 》 117頁
《 世界が私たちの前に現れるのは、私たちが習慣を持つようになるという事実によってではなく、古い習慣を捨てるように強いられて、私たちが新たな習慣を受け入れる ようになる契機においてのことである。 》 119頁
《 いかに記号過程が象徴的なるものよりも広いのかを認識すれば、私たちは人間的なるものを超えて絶えず＝創発する世界に住まう方法を理解することができるようになる。 人間的なるものを超えた人類学は、私たちがそうであると信じている例外的な存在に自らを仕立て上げるようなひとつの習慣──象徴的なもの──の限界を超えたところに 達することを目指している。（引用者・略）目指されるべきは、要するに、そこでは私たちが開かれた全体となる道に向かう感覚を取り戻すことである。
私たちが開かれている人間的なるものを超えた世界が、「そこにある」何か以上のものであるのも、実在するものが現存するもの以上だからである。 》 120頁
引用したい箇所が多すぎて、これだけの引用では何なのか不明だろう。ま、それほどに濃い密度で語られている。
西郷甲矢人・田口茂『〈現実〉とは何か 数学・哲学から始まる世界像の転換』筑摩選書2019年12月15日初版に通じるものがある。
https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480016904/
ネット、うろうろ。
《 「ロシアは基本的に自給自足可能」↓
ここ大事。米国も中国も基本的には自給自足可能。日本はこれが永久にできない。周辺国との交易に支えられないと自立できない国が核武装しても滑稽なだけ。 この情けなさが動かしがたい現実であることを噛みしめる所からしか日本の安保も外交もあり得ない。 》 青木 俊 新作「逃げる女」(小学館)発売中
https://twitter.com/AokiTonko/status/1503808581589934080
《 動画：ゼレンスキー大統領、ロシア国営テレビで反戦訴えた女性に謝意 #ウクライナ 》 ロイター
https://twitter.com/ReutersJapan/status/1503886790813384707
《 たたかわない方が賢い、たたかう奴はバカ、という風潮もある。瞬間的にはその論も理解できる。しかし、いまある社会はどうやって実現してるのかに思いを馳せて 欲しい。自動的に今の権利や自由があるわけではないんだよ。 》 ささきりょう
https://twitter.com/ssk_ryo/status/1076832183820595200
《 老人達が「なめるんじゃないよ」って誇りもてりゃいいんだよ。僕なら5000円貰って普通に使いつつその政策にはキレるってことが全然できる 》 貴族
https://twitter.com/hasegawa_fusao/status/1503975231748440064
