『緑色の裸婦』(閑人亭日録)

 昨日の小笠原豊樹の記事からちょっとネット検索したら、こんな記事「小笠原豊樹に挨拶する」(私たちは20世紀に生まれた)に行き着いた。
 https://numabe.exblog.jp/11351008/
 コメントの最初が私。初めて読んだ彼の翻訳は、多分ジョン・ファウルズ『魔術師(I,II)』河出書房新社1972年3月20日初版発行。じつに深く印象づけられた。 鮮やかな結末が心に刻まれたが、内容は殆ど憶えていない。それからジョン・ファウルズの翻訳本を書い、いくつかは読んだ。これは最初の出合い。再読したくなった。 が、きょうは彼の訳したアーウィン・ショー『緑色の裸婦』草思社1983年7月13日初版収録の23篇から表題作「緑色の裸婦」を読んだ。これは傑作だ。ロシアの 画家が政治の悪意に翻弄される物語。冒頭。

《 セルゲイ・パラノフは青年時代、ほんとうは赤いりんごや緑の梨、それに正真正銘オレンジ色のオレンジなど大きな静物画を描いていたかったのだが、それでも 赤軍に加わり、キエフ近郊の何度かの戦闘では白軍に軽度の被害を与えた。(引用者・略)内戦が終ると、加わってもいなかった作戦行動ゆえに小さな勲章を一個もらって 除隊し、モスクワに住みついて、再び赤いりんごや緑の梨、それに正真正銘オレンジ色のオレンジなどを描き始めた。 》

 作風が一変した『緑色の裸婦』の絵によって「全世界労働者階級の裏切り者」としてロシアで迫害され、1929年夏にベルリンへ脱出。そこで描いた緑色の裸婦を再現した 絵は、ゲシュタポの眼に止まり、逮捕される。釈放されてなんとかアメリカへ辿り着く。アメリカでも『緑色の裸婦』が槍玉にあげられる。

《 議員は更にこの美術展の主要展示作品、ロシア系の一外国人の手になる緑色の裸婦を取り上げ、これは共産主義者の意を体した、吐き気を催させる駄作であり、》

 じつに深い内容の短編だ。政治に翻弄される芸術作品と作家。結びに救われる。迫害を受けた画家は、地図を広げてコスタリカへの移住を考える。

《 いくたびも使われた色鮮やかな地図を、画家は見つめつづけた。 》

 見事な翻訳文だ。

 昼前、源兵衛川中流、下源兵衛橋上流で茶碗のカケラ、ガラス片を拾う。重くなりすぎて終了。自転車の荷台に載せて帰宅。ふう。汗ばむ。

 ネット、うろうろ。

《 【編集日誌】最近、政治家からの勇ましい改憲の声が高まっています。しかし待ってください。権力者はこの憲法を守る義務を99条で課せられているのです。 戦争を始めるのは他国の脅威ではなく愚かな為政者だ―と社説は訴えます。きょうは #憲法記念日 。読者と一緒に考えたいと紙面を作りました。(根) 》 東京新聞編集局
https://twitter.com/tokyonewsroom/status/1521154000347103232

《 良い記事、良い記事。

  先日東京新聞が入手し全文公開までしてくれた桜を見る会前夜祭問題の安倍秘書二人の供述調書。

  それを検証し、安倍さんの国会等での答弁と矛盾だらけだと(この問題を見てきた人ならみんな気付いた話を)わかりやすく整理してくれた良い記事。 》  尾張おっぺけぺー
https://twitter.com/toubennbenn/status/1521274445482307584

《 他の先進国に比して極めて少ない僅か10億円しか予算を付けていない日本学術会議には、恰も巨費を使っているかのように言い立てて攻撃していた自民党政府が、 その1万倍にも及ぶ予算を「使途不明」にして会見も開かず説明さえもしないというのは、一体どういう了見なのか皆目見当もつかない。 》 異邦人
https://twitter.com/Narodovlastiye/status/1521052599696338945

《 いまNHKで、ロシアのプーチンが、自分の言い分を子どもに押し付ける「愛国教育」をしている、と批判的な報道をしていますが、それこそ教育基本法を改悪した安倍晋三 はじめ日本会議的「保守」のやりたいことじゃないですか。なるほど、ウラジーミルと同じゴールめざして駆け抜けているわけだ。 》 墨東公安委員会
https://twitter.com/bokukoui/status/1521101302927065088

《 性自認ではなく、生物学的性で使い分けようっていう最高のデザインじゃん。 》 九鬼
https://twitter.com/corgen1212/status/1521034569595510785