『最前線』三(閑人亭日録)

 岩田宏小笠原豊樹)『最前線』青土社1972年2月15日発行を読了。詩も散文も読みやすく、一気に読んでしまった。よくこなれた彼の翻訳と同じだ。詩「海への眺め」を 書き写す。これが一番!というのではなく、最も気になったから。

《  「海への慰め」
   いつも荒れ狂い
   絶え間なく吠えつづけ
   四六時中虐げられて
   一体だれが
   だれが生きられるだろう
   くらやみの塊をつらぬいて
   細く鋭く短い声が
   「あなたには意味がある」と
   それだけ発言すればいい
   すぐさま現れる白鳥
   疲れた漣の皮膚を撫でる風の指頭。  》

 半世紀前に出版された『最前線』、前線でも前衛でもなく最前線。半世紀を貫いて現在を鋭く射抜いている。

《 おお、ウクライナの友よ!  》 「触れるべからず」 233頁

 一昨日の大岡信の評に納得。色褪せるどころか、じつに生々しい。

 ネット、うろうろ。

《 生前、手塚治虫在日朝鮮人の民族教育の重要性を説いていた。しかし、1970年作の『ながい窖』は短編集の初版にはあったが、その後にはお蔵入りされてしまった。 僕も噂だけで聞いてたもので、漫画として読んだのは今回が初めて。 》 Dr. Japanese Studies(日本学) 【2021 Goal=Writing Book】
https://twitter.com/drjpstudies/status/1522227373659533317

《 명작 모음집 ながい窖 - 手塚治虫 (日本語版) 》
https://trashbag.tistory.com/209

《 思想や理論は更新されて、古い人物は乗り越えられていく、と素朴に思ってる人がいるようだ。それだと人文系が何をやってるか意味がわからないと思う。 過去に書かれたものをどう読むかという問題は世間で思われている以上にはるかに深刻なことなのだが、まあ、それは世間では知られていない。 》 千葉雅也
https://twitter.com/masayachiba/status/1523116395591921665

《 文系とは基本的に過去との関係を結び直すことであり、未来に関する考察はそれに伴って出てくる。 》 千葉雅也
https://twitter.com/masayachiba/status/1523117156405489664

《 公園でこれを読んでいた。ゼロ年代内部告発ラッシュを振り返って告発者の苦しみに思いを致すなどしたが、それでも当時はこれから少しはマシな社会になるのでは という予感があった。ひるがえって今日の本邦社会を見るに、この10年くらいの政治は社会の公正性に災害級の打撃を与えたなと思う。 》 😷imran😷yash😷
https://twitter.com/yash_san/status/1522881708118671360

《 日本社会は進歩どころか劣化してるんじゃないか。 》 Shichiro Miyashita
https://twitter.com/shichirom/status/1523031838670790657

《 日本の報道の自由度が年々下がっていることだけど、細かいことを抜かしてザックリ言えば、「現在の自分たちの真にヤバい姿から目を逸らす、勇気のない気弱な国に 年々なってる」ってことだよね。そのわかりやすい表象が「ネトウヨ」であり。 》 会田誠
https://twitter.com/makotoaida/status/1522926939303940098