『地球的思考』四(閑人亭日録)

 國分功一郎清水光明 編『地球的思考  グローバル・スタディーズの課題』水声社2022年3月20日第一版第一刷を少し読んだ。

《 そういう方法で本当によいのだろうか。何か祖語のような起源にある純粋なものを立て、そこからの変移を測っていくのは、やはり方法論的に雑ではないか。ずっとそう 思っていました。(引用者・略)
  そのなかで一番有名なのは、老子孔子のどちらが起源なのかという議論です。どう考えても不毛な論争です。 》 「8 哲学の希望/中島隆博」 206-207頁

《 そんなことを踏まえると、比較哲学は、どちらかというと、名詞中心に比較していた気がします。このようなダイナミズムをつかまえるのは容易ではないのかもしれない と思うようになりました。逆に必要なのは、動詞的な比較やさらには副詞的な比較なのかもしれません。 》 「8 哲学の希望/中島隆博」 209頁

《 わたしのように中国哲学という非常に矛盾した、ある種の緊張に満ちた概念を扱ってきた者からすると、哲学という名前で西洋哲学を代理させている、その無邪気さは 素朴な気がします。 「8 哲学の希望/中島隆博」 210頁

《 では、この「希む」を取り戻したらどうなるでしょう。「哲を希む」。哲というのは、ある種の明るさなのです。明るさなのですが、ピカピカした明るさではなくて、 結構鈍い明るさです。それを「希む学」なのだという言い方です。 「8 哲学の希望/中島隆博」 214頁

 昨夜浮かんだ、短歌二首。
   他界より眺めてあらばしづかなる的となるべきゆふぐれの水
                          葛原妙子
   水につばき椿にみづのうすあかり死にたくあらばかかるゆふぐれ
                            松平修文

 上記引用の”結構鈍い明るさ”が、上記二首の”ゆふぐれ”に呼応した。夕暮れとは、昼間からすれば昏い。夜間からすれば明るい。昼と夜の境。味戸ケイコさんの絵が 浮かぶ。
 http://web.thn.jp/kbi/ajie.htm
 味戸さんの絵は、背景が黒鉛筆で描かれているため、一足飛びに夜中と見られることが多々ある。が、それは昼と夜の狭間、夕暮れの情景なのだ。その昏さは夜明け前の 情景ではない。当然ながら夜を背景にした絵もある。が、味戸さんの真骨頂は夕暮れにある、と思う。おそらくそんなことは、味戸さんは考えていないだろう。先だって ギャラリーでお目にかかった時も、彼女は鉛筆と紙の相性について語っていたが、背景の時刻については話題にならなかった。どの絵も淡い光=夕暮れのなかにある。
 塚本邦雄『夕暮の諧調』人文書院1971年9月10日発行、表題作「夕暮の諧調  西行」を読む。和歌が引かれている。

   心なき身にもあはれは知られけり鴫たつ沢の秋の夕ぐれ
                          西行
   みわたせば花も紅葉もなかりけり浦のとまやの秋の夕ぐれ
                         藤原定家

 ネット、うろうろ。

《 皆様、ありがとうございました!

  竹田恒泰との裁判は、こちら側の完全勝訴で終結しました。まだ具体的な話はありませんが、このご寄付は、力や金を持つ者がそうでない者を黙らせたり苦しめたりする 「スラップ訴訟」を日本社会からなくすために役立てるのがよいかと思います。 》 山崎 雅弘
https://twitter.com/mas__yamazaki/status/1528687804850798592

《 日本人特有の高い技術力が世界に認められないわけがない。ここさえしっかりと抑えておけばビジネスはうまくいく――。そんな「技術至上主義」ともいう思い込みが、 日本の自動車、家電、半導体、携帯電話、アニメなどさまざまな分野の「衰退」を招いている側面があることは、もはや異論がないのではないか。 / 窪田順生 》  ITmediaビジネスONLINE
https://news.yahoo.co.jp/articles/04b2260dae553b2b78deb897fac7e4601ceebabb?page=5

《 2010年代『三大案外大したことなかった』
  ・日本の技術力
  ・アメリカの民主主義
  ・ロシアの軍事力 》 tomozo
https://twitter.com/tomozo/status/1528541237783179264

《 「選択と集中」は要するに「縮小」の言い換えなので「退却」を「転進」と呼ぶのと同じですのよ、奥さま 》 河東竹緒
https://twitter.com/rivereastbamboo/status/1528233144222351360

《 憲法は、国民の心身を(自国の)権力者の暴走から守る、最大にして最後の砦。75年も機能してきたそれを、変えたい変えたいとなりふり構わぬ権力者、信用したいか?  》 津原泰水(やすみ)
https://twitter.com/tsuharayasumi/status/1528641945161302016