『飛鳥大和 美の巡礼』二(閑人亭日録)

 栗田勇『飛鳥大和 美の巡礼』新潮社1978年初版、「二 飛鳥人の夢」を読んだ。この章も深い洞察と知見に満ちている。引用したい箇所が多すぎる。いや、私が無知 なのだろう。

《 そして古代の古墳は、エジプトでもわが飛鳥地方でも、明らかに死後の世界をイメージしている。そこには、死という絶対的な断絶ではなく、むしろ変化と考え、 かえって死の国の豊かさが夢みられていたのである。 》 26頁

《 それと同時に、宝物の埋葬は古代における宝玉や金銀財宝に対する考え方が、私たちとはまったくちがっていることを示している。つまり現世利益としての財を求めて いるのではない。もしそのようなものなら、それを用いて宝塔を建立することこそ意味があっても宝を埋葬しては仕方ない。財宝は、むしろ、その価値から、固有の尊さと して、いわば心情的高さ、豊かさを保証する荘厳として求められたのではなかろうか。 》 33頁

《 もしかりに、西欧古典主義時代の造形的特色ではなく、その古典的完成度への共感をみるとしたら、その高さは、もっぱら、じつは、わが国において創出され達成された ものに他ならないのを忘れてはならない。 》 36頁

《 つまり、信仰の側からいえば、造形は信という行為のプロセスであって結果ではない。造る側からいっても、それは、なによりも行為のシンボルであった。このことは 芸術行為が、今日、表現とか創造という言葉であらわされるように、あまりに結果としての作品に力点を置いて考えられていることの反映であって、じつは、芸術という ことが、もっとひろく、ある形式を産む精神的風土全体のなかの自己運動として理解されねばならないことを示しているのである。 》 39頁

 朝、マンガ家故つりたくにこさんの夫、高橋直行氏からメール。

《 ブラジル版、8月末に出るそうです。皇女六の宮の悲劇との書名で528ページのぶ厚さ。編集者のやる気をもろ感じる装丁です。乞う、ご期待。 》

 イタリア、カナダ(英語)、スイス(フランス語)と出版されてブラジルからも。こちらから売り込まないのに、海外から発見、注目、評価され、出版される。 日本の専門家はどうした? 明日が命日。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%A4%E3%82%8A%E3%81%9F%E3%81%8F%E3%81%AB%E3%81%93
 小原古邨は没後五十年余を経て初の回顧展(横浜・平木浮世絵美術館)。田島志一の審美書院は九十年ほど(京都・山崎書店)。北一明は没後十年。まだまだか。

 ネット、うろうろ。

《 【雑まんが】
  シン・「雨ニモマケズ」 》 滝季山影一@COMITIA新刊通販中
https://twitter.com/ETakiyam/status/1535966019893596161

《 素朴な疑問で、この国の行く末を左右する国政選挙投票日が1ヶ月を切ったのに、平日朝のニュースに取り上げられないって、本当に普通の国なんだろうか。 意図的に政治に無関心でいる様にあえて報道しないとしか思えない。
  #マスゴミ 》 ヌーちゃん Save Japan from自民党政権運動展開!
https://twitter.com/nuuchan/status/1536110828004356096

《 未だにアベノミクスの10年が成果の乏しい失敗で、世界経済で日本は大敗した事を認められず「金融緩和絶対継続!」を主張している人って、日中戦争から太平洋戦争の 8年間の最終盤になっても日本が碌な戦果を挙げられず結局大敗した事を認められず「戦争絶対継続!」を主張した人達と同類だと思います。 》 米山 隆一
https://twitter.com/RyuichiYoneyama/status/1535382586494574593