『「かわいい」論』再読(閑人亭日録)

 昨日話題の”かわいい”から四方田犬彦『「かわいい」論』ちくま新書2006年1月10日初版を久しぶりに再読。冒頭。

《 一九九四年のことであったが、イタリアのボローニャという大学町に滞在して映画史の勉強をしていたころ、(引用者・略)わたしが驚いたのはポスターの中身だった。 そこではせーラー服を着た金髪の女の子がイタリア語で「女の子たち、夏だよ!」と呼びかけている、日本の少女漫画が描かれていた。武内直子原作のアニメ『美少女戦士 セーラームーン』がその少し前からイタリア全土でTV放映されていて、イタリア国有鉄道はその爆発的な人気にあやかって、夏の旅行キャンペーンを開始したのだった。 》 8頁

《 ボローニャで衝撃的な出会い方をして以来、わたしは世界のいたるところで、このセーラー服の五人組の少女たちに出くわすことになった。 》 9頁

《 「かわいい」という形容詞が気がかりに思えてきたのは、この『セーラームーン』体験より少し前、昭和天皇が八十七歳の生涯を終えようとしているときである。当時 売出し中の女性エッセイストが、週刊誌の連載コラムのなかで「天皇って意外にかわいい」といった類の発言をしていることを、わたしは知った。これは戦中派にも、 ましてや民族主義者にも、けっして口にできない類の発言であった。 》 10-11頁

《 いずれにせよこの時期までに「かわいい」という形容詞は、従来の狭小な範囲の言葉であることをやめ、より自由に、目的に応じて口にできる流行語のあり方を体現する ようになっていた。 》 11頁

《 CUTISMとは初めて聞く単語だったが、それがダダイズムキュビズムと同じく、「かわいい主義」であることは推測ができた。 》 13頁

《 「うつくし」は、漢字では「美し」とも「愛し」とも書くが、平安時代にあっては今日の「美しい」、すなわち beautiful という意味よりも、むしろかわいいという 意味あいで用いられていたことが知られている。そして今日の「美しい」に相当するのは、「くたし」であった。 》 31頁

《 ここで本章の冒頭に引用した太宰治の「女生徒」に戻ってみることにする。少女の独白で通したこの短編が、今日の「かわいい」サブカルチャーの遥かなる先駆者で あることは、すでに理解していただけると思う。 》 35-36頁

《 「かわいい」文化は何も現在のサブカルチャーに限定されたものではなかったことを、確認しておけばいい。 》 36頁

《 「かわいい」「美しい」「醜い」という三つの形容詞が織りなす関係は、外側で考えている以上に複雑であり、両義的なのである。 》 68頁

《 すなわちグロテスクであること、畸形であることこそが「かわいい」の隣人なのだ。両者を隔てているものは実に薄い一枚の膜でしかない。だがその観念的な膜に 保護されているがゆえに、「かわいい」は親しげで心地よいものとして肯定的に受け留められ、その膜の外部に置かれているがゆえに、「醜い」「きもい」は脅威的で不安と 不快感をもたらすものとして忌避される運命となる。 》 89頁

《 われわれの消費社会を形成しているのは、ノスタルジア、スーヴニール、ミニアチュールという三位一体である。「かわいさ」とは、こうした三点を連結させ、その 地政学に入りきれない美学的雑音を排除するために、社会が戦略的に用いることになる美学であると要約することは、おそらく間違ってはいないだろう。 》 120頁

《 「かわいい」が美学として洗練され、文化商品として全世界に氾濫するにいたった過程とは、一九九○年代のグローバル化というきわめて歴史的な要因に基づいたもので あり、それを受容し消費する側もけっして一枚岩ではなく、微妙な文化的差異を携えながら「かわいい」に向き合っているという事実である。 》 187頁

《 「かわいい」の薄明はすぐそこまでに迫っている。だがその終焉を無視するかのように、「かわいい」はわれわれの想像的空間にあっていっそう権能を誇り、現代社会の 神話として眩しげに威光を放っている。 》 199頁

 それから十五年余・・・。

 昼、携帯電話繋がる。

 ネット、うろうろ。

《 au復活の見通しが立たないので公衆電話に10円玉をたくさん置いて電話するというトレンディドラマ的なことをやって水道屋に電話した 》 たつあきら
https://twitter.com/Higashiozone/status/1543080232508616704

《 アマゾンの検索結果の深田恭子カレンダー問題、Twitterで検索したら自分だけじゃなくてめちゃくちゃ報告が多数あがっている。私は深田恭子検索してないです 誤解なんです。 》 TKO
https://twitter.com/taitaism/status/1543159399203495937

《 「18歳と飲酒 説明ないまま 吉川赳議員489万円受給 ボーナスや旧文通費」 議員辞職勧告決議案は自民党の反対で採決されず、6/1時点在職だったので辞職しても 全額支払われるのだという。多くの人が物価高に苦しむ中、自民党はやりたい放題なのだ。人々はこうまでされてまだ自民党に投票するというのか。 》 立川談四楼
https://twitter.com/Dgoutokuji/status/1542717004280258560

《 自分にとって不愉快な主張をする政党やその奴隷のことを考えて怒っていても病むだけだから、住む選挙区の候補とその主張を調べたら、とっとと投票所に行って 不愉快じゃない党と候補に投票し、「やるだけのことはやった」と自分をすこし褒め、もともと好きなことに時間を費やして健康を取り戻すべし。 》 津原泰水(やすみ)
https://twitter.com/tsuharayasumi/status/1543391482270601216

《 ネルソン・ピケは昔応援していたドライバーの1人だが、今は時代遅れの差別的なおっさん。人種差別的な言葉を吐いて、ブリティッシュレーシングドライバーズ・ クラブ(BRDC)の名誉会員としての資格を停止。これが国際水準。日本はどうか。「差別の意図はなかった」で幕引き。 》 山崎 雅弘
https://twitter.com/mas__yamazaki/status/1543204530644713472

《 そう、これが「国際水準」なんですよ。差別発言は容赦しない。差別の思想を根絶できないとわかっているから厳しく処分し、それを子どもにも見せて、 差別を「極力無くすよう努力」する。

  日本はどうか。「差別の意図はなかった」で許される。だから各種の差別が蔓延し続ける。 》 山崎 雅弘
https://twitter.com/mas__yamazaki/status/1543212188764352514

《 僕は2007年、15年前に北京に滞在し、その地で長らく現代美術画廊をやっているアメリカ人女性オーナーに「日本は過去の国よね。北京にいる欧米人はみんなそう 言っているわ」と言われました。良い気持ちはしませんでしたが、そんな個々人の感情など関係ない酷薄な現実があることも思い知らされました。 》 会田誠
https://twitter.com/makotoaida/status/1543245168467267584

《 ちなみに彼女は僕を呼んで自分の画廊で展示させたわけで、つまり友好的な関係なわけです。その彼女が特に感情も込めず、シビアなビジネスパーソンとしてサラリと言ったセリフがそれでした。 》 会田誠
https://twitter.com/makotoaida/status/1543248278199738368