『art now 現代の美術別巻 現代美術の思想 』高階秀爾・中原佑介/編、講談社1972年5月20日第1刷発行を少し読む。坂崎乙郎「現代芸術と想像力」からメモ。
《 それはある意味で、ものの平衡関係をつくりだすことだったろう。モンドリアンですら、けっしてものの平衡関係をおろそかにしなかったのを、私たちは銘記して おかねばならない。「ものの平衡関係」──バランスを、セザンヌは奥行きによって解決しようとした。それはサント・ヴィクトワール山を彼方に望む風景を一気に ひきしめる前景の松の木であり、松の木の下方の枝は中景の田園にとけ込むように薄緑に、梢はサント・ヴィクトワール山より一段高く濃い緑で配色されている。 》 72頁 下段
《 ただし、セザンヌの奥行きを可能ならしめたのが構図とならんで色彩であったのは疑うべくもなく、彼の配色があたかも秤にかけたごとく精密であったといわれるのは このためである。 》 72頁下段
《 ところが、反自然を標榜する現代芸術の動きのなかには、傲慢にも自分を造物主にしたて、それでなくとも「自然」が死に瀕しつつあるのに、生きた樹木を殺す行為に よって「芸術」をきわ立たせようとする一派がある。ときには、屠殺者よろしく動物の肉体までもきりさいて公開する人びともある。 》 75頁下段
《 ではなぜこれほどまでに、芸術家が自己弁護をおこなわなければならないだろう? あるいはかれらにも罪の意識が潜在しているのだろうか? そうではなかろう。 ありていにいえば、作品が無価値であり無意味であり、ことばのことばを弄さなければ、ものに太刀打ちすることが不可能だからである。蝶の翅をむしりとる幼児のように、 樹木を傷つけ樹木をきり倒す以外に、ものを征服する方法を知らないからである。
私はヨーゼフ・ボイスの作品(?)など、観念の空転としてさげすんでいるが、当のボイスですら制作について語るときにはしごく形而上的なのにおどろかされる。 (引用者・略)ボイスに説明されるまでもなく、すぐれた芸術家が思索を重んじ、知覚的な哲学者であったことはレオナルド、デューラー、フェルメール、レンブラント、 ブリューゲルなどの例をみても明白である。 》 75頁下段
《 いまや、芸術が率先して無政府状態をつくりだし、弁証法的に止揚する対極がないため、現代芸術はいたずらに暴走するのみである。このとき、芸術家のことばは 倫理の確立にむかうべきではないだろうか。
現代芸術は安易なエロティシズムもたれかかり、刹那主義であるから、いうまでもなく作品は存在していない。すなわち、時間性を欠いている。それは消耗品であり、 靴下やコカ・コーラとさしたる違いもない。 》 76頁上段
ジャン・カスー「芸術と異議申立て」からメモ。
《 秩序は決定的にできあがっている。それも、精神の領域を含めてあらゆる領域に及んでいる。いまや、精神の産物、天才の産物、思想上、芸術上の作品といえども、 ひとしく物品とみなされ物品として扱われる。 》 81頁上段~下段
《 精神の産物とは創造であり、そこにこそその特殊性と違いが存する。それを、人が所有し、値段や相場に従って交換し、他の日用品とまったく同じように享受している 財物と混同することは、この違いを、流行や広告が二つの新製品を色分けするときの違いていどに矮小化することである。 》 81頁下段
《 変革は、現にあるものを批判し、ないものを誘発することによってなされる。あらゆる芸術作品、一芸術家のあらゆる作品にはまた一時代の芸術作品総体には、 創造的行為におけるこのような二つの相関的な相がみてとれるはずである。すなわち、現存する芸術状況のなんらかの点に対する対立と、新しい観念とフォルムの創出とが。 》 84頁下段
《 芸術作品を理解するとは、それが真に一つの創造であることを自覚することである。それは、芸術作品の中に、その時代の公式的規範に対する反発と、別の場への 渇望とがあることを自覚することである。 》 87頁上段
《 ある芸術の変革がどのようなものであれ、またそれが多かれ少なかれ微妙なニュアンスでしか感得されないものであるにしても、その変革はつねに批評的である。 》 87頁上段
《 従って、批評的、否定的な意思は、創造行為に固有のものである。 》 88頁下段
《 一枚の絵、一篇の詩の美しさを知るとは、そこに凝縮されているエネルギーを知ることである。 》 89頁上段
《 想像力は、全力をあげて、まだないものを形成しようと渇望する。 》 89頁上段
坂崎乙郎「現代芸術と想像力」、ジャン・カスー「芸術と異議申立て」のニ篇はどちらも短いが、深い共感と感銘を覚えた。これはスゴイ。
朝、雨が止んだので源兵衛川最下流部へ自転車で行く。茶碗のカケラ、ガラス片を拾う。重くなって終了。ここの作業は暫くお休み。帰宅すると急速に晴れる。汗~。 風呂に入る。やれやれ。
ネット、うろうろ。
《 このCM!!!
父、大林宣彦の作品です。
「男の子編」「女の子編」がありました。懐かしい…。 》 大林千茱萸
https://twitter.com/Chigumi/status/1551534808425467904
《 セントルイス・ブルース 三味線 豊吉 》 You Tube
https://www.youtube.com/watch?v=c-2_2YmEmTQ&t=16s
《 浪曲セントルイス・ブルース 》 ネット・ゲリラ
http://my.shadowcity.jp/2022/07/post-25056.html
《 「心配するな。お前の心の叫びが俺を呼んだのだ」お金を落として泣いていた学生に数万円渡した男 「俺の看板を見て返しに来た」ってどういうこと?/黒川 裕生 》 まいどなニュース
https://maidonanews.jp/article/14677143
《 「回答差し控える」=「まずい事になるので聞かないで」
こんな人物が衆議院の議長をやらせてもらえる国。 》 松尾 貴史
https://twitter.com/Kitsch_Matsuo/status/1551799218414960645
《 衆院議長から国家公安委員長、そして大臣も軒並み統一教会汚染。何でしょう、この国は。陰謀カルト国家ですか。普通なら政局に関わる大激震だが、 この国の政権与党は国会さえ開かず砂に頭を突っ込んで嵐の去るのをじっと待っている。自民党がどうのこうのじゃない、日本がどうなるか、なのに。 》北丸雄二💙💛
https://twitter.com/quitamarco/status/1551890936665321474