伊藤若冲、河鍋暁斎、小原古邨(閑人亭日録)

 伊藤若冲河鍋暁斎、小原古邨の共通点。没後長く忘れられた。そして突然注目される。拙ブログ「1906(明治39)年  田島志一」の補遺。
 https://k-bijutukan.hatenablog.com/entry/2020/06/14/194823
 伊藤若冲(いとう じゃくちゅう 1716年ー1800年)。
 東京美術學校編輯『日本美術百選』下巻審美書院1906年明治39年)10月25日発行、「第八十五 双鶏圖 伊藤若冲 帝室御物」が極精細多色摺木版画で掲載。
 https://k-bijutukan.hatenablog.com/entry/2022/02/05/201616
 1906年に発表された夏目漱石の小説 『草枕』には伊藤若冲の絵を鑑賞する場面がある。

《 横を向く。床(とこ)にかかっている若冲の図が目につく。これは商売柄だけに、部屋に這入った時、既に逸品と認めた。若冲の図は大抵精緻な彩色ものが多いが、 この鶴は世間に気兼(きがね)なしの一筆(ひとふで)がきで、一本足ですらりと立った上に、卵形(たまごなり)の胴がふわっと乗(のっ)かっている様子は、 甚(はなは)だ吾意(わがい)を得て、飄逸(ひょういつ)の趣は、長い嘴(はし)のさきまで籠(こも)っている。 》 角川文庫『草枕』31頁

 「明治期の写真・印刷と出版事情  ―付・コロタイプ印刷の実際―」 山口須美男から。

《 以後の「審美書院」は、画家別に作品を編集して『光琳派画集』(明治36~39年)や『元信画集』(明治36~38年)、『若冲名画集』(明治37年)などを次々に 刊行し、 これによって美術出版社の名声を得るようになりました。 》
 http://www.artbooks.jp/Korotaipu.htm

 伊藤若冲は二十世紀初頭には名が知られていた。が、その後忘れられた。1970年に刊行された美術史家・辻惟雄による『奇想の系譜』によって日の目を見た。

 河鍋 暁斎(かわなべ きょうさい 1831年 - 1889年(明治22年)。
 大田記念美術館「生誕百五十年記念 河鍋暁斎展」 1981年11月1日~24日へ行った。
 https://www.city.warabi.saitama.jp/shogaigakushu/bunka/bunkazai/1003476.html
 第二次大戦後忘れられてしまった、と嘆くひ孫の河鍋楠美の記事が印象に残る。戦後すぐの山田風太郎の小説に河鍋暁斎のことが出ていた記憶がある。記憶違いか。
 1993年12月~1994年2月、イギリス大英博物館で「画鬼:河鍋暁斎の芸術」展開催。
 日本で俄然注目される。

 小原古邨 おはら こそん 1877年(明治10年) - 1945年(昭和20年)
 没後忘却される。2000年時点、日本画家事典にも掲載されず。
 2018年9月9日(日)-11月4日(日) 茅ヶ崎市美術館「原安三郎コレクション 小原古邨展 -花と鳥のエデン-」。
 2018年10月7日(日)NHK Eテレ「日曜美術館「生き物のいのちを描く~知られざる絵師 小原古邨~」放送。
 人気急上昇。

 そういやあ、田島志一も忘れられた編集、出版人だ。
 【田島志一と審美書院】 山崎純夫
 http://web.kyoto-inet.or.jp/people/artbooks/kusa13.html
 https://ja.wikisource.org/wiki/%E4%BD%9C%E8%80%85:%E7%94%B0%E5%B3%B6%E5%BF%97%E4%B8%80
 https://jahis.law.nagoya-u.ac.jp/who/docs/who4-5333

 ネット、うろうろ。

《 イギリス全土にある赤い電話ボックス、携帯電話が普及して利用者が激減し、今はもう別の、色んな使われ方をしている。ブリティッシュテレコムが所有していて 「各地域で活用してください」と破格の賃料(数年前の報道では£1)で潰さずに貸し出しているそう。電気が通っているので、こんな感じでAEDを→ 》 イセキ アヤコ
https://twitter.com/isekiayako/status/1563423013516677120

《 上大岡の発展は、関東大震災で根岸の刑務所が全壊、それを誘致したことに始まり、受刑者500人・職員200人が引っ越してきて、〈収容者と職員の屎尿が畑の肥やしに なり、そのかわり採れた野菜が刑務所に売れるメリットもあった〉

  三浦展『住宅開発秘史』(吉岡里奈のカバーが素敵)

  すごい地産地消だな 》  https://twitter.com/urbansea/status/1563376120992448512

《 「『私が所属している政党が自民党とは知らなかった』と言い出す自民党議員が現れても、もはや驚かない」これは上手いね。『笑点』一発採用間違いなしのネタだ。 二階さんの「国葬当たり前、やらなかったらバカ」もいいし「国葬に反対する人間はサタン」なんかも今の自民党なら言い出す可能性はあるね。 》 立川談四楼
https://twitter.com/Dgoutokuji/status/1563009931220881408

《 片山夏子記者の東京新聞『ふくしま作業員日誌』を読む。今回は52歳の男性だ。「全面マスクに防護服やかっぱを着る重装備だと40度を超える中で作業をしている状態に なる」汗で体の水分が搾り取られ、1日3キロ痩せることもあるとかで、コロナも広がり「コロナも暑さも、もう勘弁してほしい」と結ばれる。 》 立川談四楼
https://twitter.com/Dgoutokuji/status/1563374429106683905

《 >現実迎合ばかりで根本的な体制再構築ができないんですな、この国は

  この国、とは思いたくないですね。
  今の政府、厚労省と分科会の"専門家"たち。 》 Koichi Kawakami, 川上浩一
https://twitter.com/koichi_kawakami/status/1563344616870809600

《 ひどい雑な言い方だけど、だいたい事実でしょう。この政治の絶対的な荒野からどうやって再生すべきか、国民一人一人が内心に静かに問いかけるべき時でしょう。 》  会田誠 新刊『性と芸術』
https://twitter.com/makotoaida/status/1563112908631920640