『屍人荘の殺人』(閑人亭日録)

 今村昌弘『屍人荘の殺人』東京創元社2018年1月5日六版を読んだ。帯のミステリ作家たちの煽り文句に苦笑い。幕開きからライトノベルのノリでズッコケ、苦笑い。 明智恭介という名前にも苦笑。明智小五郎江戸川乱歩)と神津恭介(高木彬光)。著者はよくワカッテイル。手腕にまず拍手。

《 「それにしても参加者は興味深い人ばかりね。葉村君はもう全員の名前を覚えた?」
  「たぶん。名字だけなら」
   自信はあまりない。一日で十一人という数は俺にとって多すぎる。ミステリを読む時も登場人物の名を忘れ、しょっちゅう冒頭の人物名を一覧を確認する羽目になる。  》 75頁

 同じく。題名からオドロオドロしい予感があったが、ワクワク。何が起こるか。まあ、殺人事件だな。

《 「皆さんは、夜の間、とにかく安易に部屋の外に出ないようにしてください。ゾンビが壁を登るとは思えませんが、ベランダの鍵も閉めて、あと念のため、武器を 一つずつ持ち歩いてください。バリケードや非常階段は僕が、一時間おきに点検します」 》 114頁

《 くそったれ。これじゃ紫湛荘というより屍人荘(しじんそう)じゃないか。 》 116頁

《 「ゾンビに囲まれた紫湛荘と部屋のオートロック、殺人が起きた現場は二重の密室で守られていました。犯人はどうやってその中の進藤さんを殺したのか」 》 139頁

 いやあ、一気読み。やっぱり本格ミステリは最高だわ。帯のミステリ作家たちの煽り文句は大げさではなかった。

 ネット、うろうろ。

《 知的生産と、経済における生産は違う。そもそも、知や芸術について「生産」という言葉を使い始めたのが問題なのだが。それは「ちょっとした喩え」 だったにすぎない。それを本当に生産管理するのでは、創造性を細らせる。 》 千葉雅也
https://twitter.com/masayachiba/status/1567642866767532032

《 属人的なのはダメで、天才がいなくなったら続かないから、誰もが回せるシステムを作る、とよく言われる。それは工業ならそうかもしれない。 だが知的、芸術的な現場においては、システムももちろん必要とはいえ、天才がいなくなったら、血眼で次の天才を探すのが基本である。 》 千葉雅也
https://twitter.com/masayachiba/status/1567646624519974913

《 AI使ってるからダメとは思わないが、膨大なサンプリングの順列組み合わせによるリミックスと考えると90年代にやったよねってなるし、結果は「◯◯なイメージを ××風に料理してみました」以上のものではない感じ。

  AI作品が絵画コンテストで優勝、アーティストから不満噴出 》 大野左紀子
https://twitter.com/anatatachi_ohno/status/1567703401341030400

《 「検査が無くなっても、コロナウイルス無くならないので。」
  この当たり前の前提をいともたやすく欠いてしまう恐ろしさが、この国にはある。
  もっとちゃんと考えようよと思うけど、考えなければ問題がないことになると思うんだろうな、この国の人々は、同様に。 》 うさこ
https://twitter.com/keikota80892585/status/1567592269817204736

《 オカネって、社会全体に乏しくなってくると、一面、問答無用の容赦ない批評家だから、70年の泰平になれた日本の社会にとっては、 クッションなしに向き合わされることになると、ぶっくらこいて引き付け起こしそうになる事態も、この先には待っているよね 》 James F.
https://twitter.com/gamayauber01/status/1567519287610593280