『この国の戦争』四(閑人亭日録)

 奥泉光加藤陽子『この国の戦争  太平洋戦争をどう読むか』河出新書二○二二年六月三○日初版、「II なぜ始めたのか、なぜ止められなかったのか」を少し読んだ。

《 加藤 南に眼が向くと、南方地域の植民地の宗主国は、フランス、イギリス、オランダである。これらの宗主国と対抗できるのは、ドイツである。 だからドイツと同盟を結び、一九三八年九月から始まっていた第二次世界大戦がドイツの完勝で終わらないうちに、大戦の分け前をドイツに対して主張しておこうという考え でした。(引用者・略)日本はもちろん、大戦に参戦していませんでしたから、まだ参戦していない日本が、ドイツに敗北した宗主国がもっていた南方の分け前を奪おうとする時、どうすれば可能か。 》 136頁

《 加藤 はい。ドイツの完勝で第二次世界大戦が終わってしまうという怖れが強かったのだと思います。強い国と同盟を組んでアメリカに対抗したい、 というよりは、南方の植民地の処理に興味があった。ドイツを牽制するための三国同盟ですね。
  奥泉 「大東亜共栄圏」もドイツを牽制すべく唱えられたのだと。 》 137頁

《 奥泉 三国同盟というと、これまでなんとなく、ドイツが勝ちそうだから勝ち馬に乗ろう、みたいなイメージでかたられてきた。しかしそんな単純なものではない、と。ドイツを牽制しつつ南方地域のブロック化を推し進め、資源の獲得を効率よく行うためには、ドイツと同盟を結ぶのはいいというわけですね。 》  138頁

《 奥泉 この背景を知っておくと、日中戦争の「新しさ」の意味が少しわかりますね。ようするに、一九世紀的な感覚では、国家は欲望のままに戦争をしてよかったんだけど、第一次世界大戦後は、パリ不戦条約などを経て、それが許されなくなった。戦争が禁止された時代の戦争、だいぶ日中戦争の姿が見えてくる気が します。 》 141-142頁

《 奥泉 日中戦争はもっと早く終わらせるはずだったけれど、うまくいかなかった。 》 142頁

《 加藤 やはり道理のない戦争、満州奪取が元にあるので、相手国の人心を収攬(しゅうらん)できないのですね。これは太平洋戦争になってからの 話ですが、戦争が長く続きますと、敵国の出方というのでしょうか、相手国の政治家が考えることについて、日本の国民の中で的確な判断がつかなくなります。 》  143-144頁

 ネット、うろうろ。

《 3Dプリンターの力で金印を現代的な姿にしてやりました 》 まこ
https://twitter.com/MakoTr_315/status/1590428012985856000

《 エモや共感や優しさやかわいさを強調する今風の売れ筋アートなんて倫理の撤退戦だとは思ってる。力が迫ってきたときになんの抗力も持たない、それどころか 簡単に寝返るだろう 》 大きな夢・小さなお葬式・口には出せなかった恋
https://twitter.com/hasegawa_fusao/status/1590503336545226753

《 予備校の先生が話してくれた、浪人時代ゴキが石鹸かじるから銭湯に預けたんだけど夜中目を覚ますとゴキが踵をかじってるのに気がついて観念して石鹸はゴキのもの として置いておくことにした、っていうエピソードを思い出した 》 階段巡りツイッター
https://twitter.com/kaidanmeguri/status/1589822553643966465

《 「死刑のハンコ」に隠れていますが「外務省と法務省は票とお金に縁がない。外務副大臣になってもお金は儲からない」も大問題の発言です。何せこれ 「他の大臣、例えば財務大臣ならお金が儲かるんですか?それ収賄ですよ。貴方はそれを取り締まる立場ですよね?」となりますから 》 米山 隆一
https://twitter.com/RyuichiYoneyama/status/1590476908843925506