『ポロポロ』四(閑人亭日録)

 田中小実昌『ポロポロ』中央公論社昭和五十四年五月二十日発行、第四篇「鏡の顔」を読んだ。

《 便所といっても野っ原にほそ長い穴を掘り、それに、両足をかける板がわたしてあるだけのもので、兵長は、雑草をひっこぬいてきては、便所のそばで、飯盒で煮て いた。食べられない草でもなんでも、腹のなかにいれておかなきゃ、死んでしまうというのだ。もちろん燃料になるような物もあまりなく、兵隊は、ほとんど生で食べて いたのではないか。 》 153頁

《 四年兵の兵長とぼくはあるいて伝染病棟にいったのだが、十日か十五日して、気がついたら、兵長は死んでいた。もとから、兵長はしなびた老人みたいな顔つき、 からだつきだったが、死体はもっとしなびて、ちいさく見えた。 》 155頁

 「寝台の穴」を読んだ。

《 寝台に四角い穴があいていた。五合枡にしてはかたちがちいさすぎ、一升枡のかたちでは大きすぎる穴だった。一○センチ四方ぐらいの穴だろうか。 》 163頁

《 寝台の三分の二のところにある四角い穴は、そこに、寝ている者の尻の穴をおくためだった。 》 163頁

《 「寝たまんまで、便ができるようになっとるんや。コレラ患者は、いちいち、厠までいかんでもええちゅうこっちゃ。また、厠までいけん者もおるしな」 164頁

 「大尾のこと」を読んだ。

《 行軍がはじまってからの大尾は、ほんとに、たよりにするほどだった。行軍の途中でたおれた者があると、大尾はその男をかついだり、背嚢をもってやったりした。 だが、そうやって、あとにのこった者は、みんな死んだらしい。かつがれていっているうちに、死んだ者もいた。 》 199頁

《 死んだ大尾も、ちいさく見えた。 》 217頁

  『ポロポロ』読了。戦闘の場面は全くといっていいほどない。軍隊の悲惨な日常が淡々と綴られる。戦争は愚かしい。恐ろしい。

 ネット、うろうろ。

《 2022年11月17日 参議院 厚生労働委員会 杉田水脈政務官vs木村英子議員

  木村議員
  「日本は障がい者権利条約に批准し差別解消法が施行されていますが、杉田政務官の言ってることは紛れもなく差別であり、そのような方が要職につかれてるということは、心や体に痛みを抱えている人たちには脅威なんです 》 MMT太郎。
https://twitter.com/MMT20191/status/1593308375198355457