『日本美術全集 第19巻 戦後~一九九五』(閑人亭日録)

 椹木野衣・編集『日本美術全集 第19巻 戦後~一九九五 拡張する戦後美術』小学館2015年8月25日発行、「月報17 宮下規久朗 その時西洋では──戦後のアメリカ美術と日本」を、雨音を耳にしながら再読。
 https://www.shogakukan.co.jp/books/09601119

《 戦後まもなくのルポルタージュ絵画から具体、九州派、反芸術、もの派へと続く系譜がしばしば言及されてきたが、それらは実際の混沌とした様相のなかから、目立った前衛運動をピックアップしたものにすぎない。しかしこの流れが、長らく全国の公立の近現代美術館の常設展示に反映し、どこの常設展示室にも、斎藤義重、白髪一雄、李禹煥といった同じ顔ぶれの作家の作品が展示されるようになってしまった。
  本巻はこうしたモダニズムの流れとは一線を画した編集となっている。山下清出口王仁三郎山本作兵衛といったアウトサイダー・アートや、手塚治虫水木しげるのようなマンガに加え、写真、書、工芸、建築、デザイン、ファッションまで見渡して、雑然として生命力みなぎる日本の戦後文化を大胆に縦覧する。狭い純粋美術の分野に限定するのではなく、世界の注目を集めるに至った日本の大衆文化にも広げてとらえる試みとして大いに評価できよう。 》

《 つまり、日本の戦後美術は、団体展と現代美術とに二分化されてしまっており、前者も無視できない大きさをもっているのである。(引用者・略)団体展系の美術家の位置づけについては、まだしばらくの時間の蓄積と歴史による濾過を要するであろう。 》

《 20世紀後半の美術は、歴史化するには時期尚早なのかもしれない。将来編まれる美術史や美術全集では、歴史のなかから浮上してきたり、逆に埋没していったりするものも多いに違いない。 》

 誰が埋没するか、誰が浮上するか。じつに興味深い。私の評価している味戸ケイコ、北一明はどうなるか。味戸ケイコはこの全集に収録されているが、北一明は、いわゆる美術全集には収録されていない。陶芸の全集でも、全百巻の『陶』京都書院の第九巻『北一明』1992年のみ。
 http://www.miyaobi.com/kyotoshoin/tou.html
 一世を風靡した(話題になった)作品の多くが古臭くなり歴史に埋没する。優れた作品は、歴史の底から発見され、浮上し再評価される。北一明の作品は、海外でも高く評価されている。味戸ケイコは、今のところ国内のみ。本巻の解説で椹木野衣は書いている。

《 もとが版下として描かれたゆえ、用を終えると所在が不明になりがちなこのころの味戸の原画は、幸い静岡県在住の所蔵家の目に留まり、その多くが大切に保管され、未来に発見されるまでの、決して短くはない時の眠りについている。 》
 http://web.thn.jp/kbi/ajie.htm

 ネット、うろうろ。

《 【仕事場大整理発掘物件】本日は手塚治虫さんのご命日で漫画の日ですが、ピッタリのイラストボードが出てきたのでUPいたします。自分でもすっかり忘れていたが、絵は私が、文章は米澤嘉博さんが書いて地方新聞の正月版に載ったもの。 》 TORI MIKI/とり・みき
https://twitter.com/videobird/status/1623545223107444738

《 マスクやコロナを離れて考えても。

  政府が卒業式にこれ着けちゃいけない、これなら着けていい、とか言い出したら。怖いと思いませんか? 》 Koichi Kawakami, 川上浩一
https://twitter.com/koichi_kawakami/status/1623909223871688706

《 『世界』3月号、伊藤昌亮氏の「ひろゆき論」が読み応えあった。彼の言動を「冷笑」「詭弁」みたいな言葉で単純に批判するのではなく、根幹に「未熟なプログラミング思考」「安手の情報知」があり、「斜め下から権威に切り込む」がゆえに閉塞感に満ちた若い人たちに支持されるのだろうと分析する。 》 松本創
https://twitter.com/MatsumotohaJimu/status/1623849265419415553

《 昨日、岸田首相は典型的日本型リーダーで調整するだけでミッションから逆算してリーダーシップを発揮できないと書きました。これは首相だけの問題ではなく日本社会の典型像で、それはミッションではなく派閥から議論を進める習慣によります。要するに意見そのものより「こいつは味方か、敵か」という 》 岩田健太郎 K Iwata, MD, MSc, PhD, FACP, FIDSA, CIC, CTH
https://twitter.com/georgebest1969/status/1623834041089916929

《 数百億円もの巨額談合事件。彼らが勝手にやれるレベルだろうか?本来、会長や事務総長、五輪大臣は「なんてことをした、ふざけるな!」と怒るはずが、沈黙。謝罪すらない。これが全てを物語る。政治利用され、血税で多くの人間が甘い汁を吸った五輪。徹底解明が不可欠である。 》 小沢一郎(事務所)
https://twitter.com/ozawa_jimusho/status/1623473084731920384

《 フィリピンに逃亡して巨大詐欺を続けてた奴らと、ドバイに逃亡して何の仕事もせずに議員歳費やボーナスを懐に入れてる議員の違いが、あたしにはまったく分からない。何なら、詐欺に引っかかってないあたしにとって、真面目に納めてる税金が国会に出席しない議員に支払われてることのほうがムカつく。 》 きっこ
https://twitter.com/kikko_no_blog/status/1623653273386500096