『日本美術応援団』再読 二(閑人亭日録)

 赤瀬川原平山下裕二『日本美術応援団』ちくま文庫二○○七年九月九日第三刷を少し再読。

《 山下 僕は北斎って、美空ひばりに似ていると思うんですけど。
  赤瀬川 美空ひばりですか。
  山下 何をやってもできちゃって、抜群にうまいし、でも、下品なんですよ。ある下品さを絶対に捨て切らない。
  赤瀬川 うんうん、下品さっていうのは分かりますね。まあ広重にはない感じだな。 》 71頁

《 山下 縄文って、土器とか土偶の造形そのものを体感する語り方ってあまりされていない気がするんですよ。何か「本当は考古学者になりたかったお父さんのロマン」みたいにだけ語られて。
  赤瀬川 そうですね。縄文に限らずですけど、歴史的に見ることも必要だけど、歴史的に見ないことも必要なんですよね。要するに、モノが今そこにあるわけだから。
  山下 歴史的に見ないことで等身大の実感を得ることをもっと大切にしていいですね。
  赤瀬川 だから古いものも新しいものも、表現された物としては全部等価ですよね。歴史的な遺物にしろ古美術にしろ、やっぱりつまらないものはつまらない。
  山下 いくらお墨付きがあっても。
  赤瀬川 おもしろくないものはだめということですね。
  山下 僕はね、日本美術の中で何が、一番世界に誇れるかって言ったら、縄文土器が一番だと思っているんですよ。彫刻やっている人なんかが縄文土器見たらね、本当にたまげる造形があると思うんですけど。 》 81-82頁


《 山下 まさに縄文恐るべし、と。
  赤瀬川 恐るべしだねえ(笑)。 》 83頁

《 山下 だけど僕は基本的には、画家がどんな生涯を送ろうが、絵とその人の生業(なりわい)とか生活とかは切り離して見るべきだと思うんですよ。特に近代の画家だと、どうしても「生涯と芸術」みたいな語られ方になっちゃうでしょう。「生きざま」っていう言葉、大嫌いです。
  赤瀬川 そうそう、絵よりも人間物語みたいになっちゃって。 》 109頁

《 山下 トマソンの場合はプリミティブよりもっと行っちゃって、要するに「無意識」(笑)。
  赤瀬川 そうそう。あれは、人がやった、まあ、その人も気がついていない「無意識」を探していくわけです。それは絶対自分じゃできないものなんですよね。だから気持ちがいいんです。 》 122頁

 朝、源兵衛川中流、水の苑緑地かわせみ橋周辺の茶碗のカケラ、ガラス片を拾う。川幅が狭く流れが速いので、今しか拾えない。ぐっと重くなって終了。知人の家に立ち寄り、源兵衛川で拾った茶碗のカケラを使って友だちが作った磁石(メモ留め)を二個贈る。帰宅。汗~。コーヒーを淹れる。

 ネット、うろうろ。

《 仕事を深めるというのは、まだ足りない→外にあるものを目指す、のではなく、手持ちのものをより深く捉えることである。近いところに、内的なものに、外部を見つける。 》 千葉雅也「エレクトリック」『新潮』2月号
https://twitter.com/masayachiba/status/1624575886300430336

《 多くの歴史的成果というのは、「競争に勝ったのではない」という解釈ができるのかもしれない。 》 千葉雅也「エレクトリック」『新潮』2月号
https://twitter.com/masayachiba/status/1624580299505168384

《 「競争して成長しようとするのをやめなさい。真の成長は手持ちのものにある。」 》 千葉雅也「エレクトリック」『新潮』2月号
https://twitter.com/masayachiba/status/1624585523695341570

《 世界の美術を和歌山から変える 県立近代美術館の学芸員・青木加苗さん 》 産経新聞
https://www.sankei.com/article/20230210-KN4TWHKQ45IBZP7UFIWJJ2B5TI/

《 東京五輪汚職事件も問題だが、組織委の「解散」によって東京五輪に費やされた最大3.7兆円とも言われる経費が、当然のように「全容不明」などとブラックボックス化しているのは断じて許されない。そもそも「世界一カネの掛からない五輪」だなどと大嘘で招致されている以上、開示されるべきだ。 》 異邦人
https://twitter.com/Narodovlastiye/status/1624206133354442752?cxt=HHwWgMDRye63q4otAAAA