里見龍樹『不穏な熱帯』八(閑人亭日録)

 里見龍樹『不穏な熱帯  人間〈以前〉と〈以後〉の人類学』河出書房新社二○二二年一一月三○日初版発行、「第六章 沈む島々」前半を読んだ。

《 そして、同じく二○一一年のフィールドワークで明らかになったように、「沈み」つつあったのはフォウバイタ村の埠頭だけではない。すでに述べた通り、島々はすべて、はじめは「生きている岩」で造られるが、岩がやがて「死ぬ」ことで「低くなる」とされる。「死んだ岩」がばらばらに「割れ」、あるいは「軽くなった」潮流に流されることにより、島は「崩れて」いく。アシ自身の了解によれば、自分たちが住まっているのは、そのような「死んだ岩」の山の上にほかならない。 》 332頁

《 これに対し、私の考えでは、「至るところで人間活動と自然はもつれ合っている」とされ、「もはや外部はない」とされる「人新世」においてさえ、なおもある種の外部としての「自然」について語ることは必要である。そして、「自然/文化」の近代的な二元論と「自然=文化」の関係論的な一元論の双方を超えて、また、「人新世」における「『自然』の終わり」論をも通り抜けて、アシにおける「生きている岩」との非 - 近代的な関わりを民族誌的に記述する上で求められるのは、まさしくそのような「自然」の概念なのである。そして、「ツナミ」の後の二○一一年のフィールドワークにおいて私の前に浮上していたのはたしかに、人間〈以前〉的であると同時に人間〈以後〉的なそうした「自然」の概念であった。 》 344頁

《 そしてこのように見ることで、アシの「海に住まうこと」をめぐる危機や終末論、そしてそこに含意された非 - 近代的な「自然」は、単なる「文化的信念」にも「人新世」のイメージにも回収されえない、本質的に多義的なものへと翻訳されることになる。 》 352頁

 ネット、うろうろ。

《 おはようございます。 》 マキエマキ
https://twitter.com/makiemaki50/status/1628184211445407744

《 例えば日本の国家予算に占める文化予算の割合は、わずか0.1%。寄付金制度が強い米国を除いて、下記の先進国では圧倒的な最下位です。
  韓国との差は前回より更に開いて実に12分の1。各国がコンテンツ・情報立国に産業構造を変えようと舵を切ったのも格差の原因です。 》 福井健策 FUKUI, Kensaku
https://twitter.com/fukuikensaku/status/1628175223605596161

《 岸田首相を始めとする自民党の政治家たちが日頃、先進国の“共通の価値”として口にする「自由、法の支配、人権」が、いかに嘘っぽいかが、ここに示されたようなミャンマー政府へのすり寄りかたを見ていれば明らかである。 》 m TAKANO
https://twitter.com/mt3678mt/status/1628191497349914625

《 もし「先制攻撃」になれば「日本は侵略者」 敵基地攻撃能力 政府は回避策を示さず 国会論戦の状況は 》 東京新聞
https://www.tokyo-np.co.jp/article/232457

《 日本は目の前の現実に押し流されていないか 宇野重規さんの問いかけ  聞き手 編集委員・豊秀一 》 朝日新聞DIGITAL
https://digital.asahi.com/articles/ASR2J5SHYR28UPQJ006.html?ptoken=01GSVBQS0M8BJTX26GKSDYE65F