『時間は存在しない』三(閑人亭日録)

 カルロ・ロヴェッリ『時間は存在しない』NHK出版2019年9月20日第2刷発行、「第二部 時間のない世界」、「第六章 この世界は、物ではなく出来事でできている」を読んだ。

《 時間はすでに、一つでもなく、方向もなく、事物と切っても切り離せず、「今」もなく、連続でもないものとなったが、この世界が出来事のネットワークであるという事実に揺らぎはない。時間にさまざまな限定があるいっぽうで、単純な事実が一つある。事物は「存在しない」。事物は「起きる」のだ。 》 97頁

《 この世界を出来事、過程の集まりと見ると、世界をよりよく把握し、理解し、記述することが可能になる。これが、相対性理論と両立し得る唯一の方法なのだ。この世界は物ではなく、出来事の集まりなのである。 》 98頁

《 わたしたちがこの世界を理解する際に用いる基本的な装置は、空間の特定の点に常に据えられているわけではない。かりにそのような計器があったとして、それらはある場所にある時点で存在している。つまり、空間的にも時間的にも限定された「出来事」なのだ。
  実際さらに細かく見ていくと、いかにも「物」らしい対象でも、長く続く「出来事」でしかない。 》 99頁

《 物理世界が物、つまり実体で構成されているとは思えない。それではうまくいかないのだ。 》 100頁

《 出来事同士の関係にもとづいたほうが、はるかに理解しやすそうなのだ。 》 100頁

《 原子の形を理解しようとすると、結局は原子のなかの電子がどのように動くのかを記述するシュレディンガーの方程式の解に行き着く。ここでも重要なのは、物ではなく出来事なのである。 》 101頁

《 それゆえわたしたちはこの世界を、どのような状態であるかではなく、何が起きるかという観点で記述する。 》103頁

 「第七章 語法がうまく合っていない」を読んだ。

《 客観的で普遍的な現在は存在しない、という発見を掘り下げようとしたときにわたしたちが戸惑うのは、ひとえに過去、現在、未来という絶対的な区別にもとづいてつくられた語法に従っているからだ。 》 111頁

《 この世界には変化があり、出来事同士の関係には時間的な構造があって、それらの出来事は断じて幻ではない。出来事は全体的な秩序のもとで起きるのではなく、この世界の片隅で複雑な形で起きる。ただ一つの全体的な順序にもとづいて記述できるようなものではないのだ。 》 113頁

 「第八章 関係としての力学」を読んだ。

《 ありとあらゆる事柄が起きているのに、時間変数は存在しない。そのような世界の基本的な記述はいったいどのようなものになるのだろう。共通の時間がなく、物事の変化の進みやすい方向が、特に存在しない世界の記述とは? 》 116頁

《 時間と呼ばれる変数は不要であり、その理論では、自分たちがこの世界で目にしているもの同士が、互いに対してどのように変化するのかがわかりさえすればよい。つまり、これらの変数の間にどんな関係が存在し得るのかがわかればよいのだ。
  量子重力の基本方程式は、事実このようにして作られた、その式は時間変数を含むことなく、変動する量の間のあり得る関係を指し示すことで、この世界を記述する。 》 117-118頁

《 この理論は、時間のなかで物事が展開する様子を記述するわけではない。物事が互いに対してどう変化するか、この世界の事柄が互いの関係においてどのように生じるのかを記述する。ただそれだけのこと。 》 118頁

《 この世界の力学は、その方程式で与えられ、その式は、そこに記述されているすべての変数の間の関係を確立している。(引用者・略)
  これがこの世界の構造の基本的な形であって、「時間」を論じる必要はない。時間という変変数がない世界は、決して複雑ではないのだ。 》 122頁

《 わたしの研究対象である「ループ量子重力論の方程式」は、現代版のホイラー - ドウィット理論である。これらの方程式には、時間という変数がない。
  この理論の変数は、さまざまな場──通常の物質や光子、電子、さらには電子以外の原子の構成要素を形作る場や重力場──をすべて同じレベルで記述する。ループ理論は「万物の統一理論」ではなく、科学の究極の理論であると主張するつもりもない。この理論は統一性がある個別の部分からなっており、自分たちがこれまでに理解してきたこの世界を「首尾一貫した形で」記述することを目指そうとしているにすぎない。 》 122-123頁

《 ループ量子重力理論を見れば、基礎となる時空がなくても首尾一貫した理論を作ることが可能で、その理論を使って定性的な予測を行えるということがわかる。 》 126-127頁

《 存在するのは、出来事と関係だけ。これが、基本的な物理学における時間のない世界なのである。 》 127頁

 「ループ量子重力理論の方程式」、初耳。世界はバカ広い・・・連想するのは華厳経の世界。「第二部 時間のない世界」、読了。

 ネット、うろうろ。

《 「フツーの◯◯」と称される◯◯に、達人なる方々はいるのだが、マスメディア等でいわゆる人間国宝を達人扱いするものだから、手の届かない特別な方々のことだと誤解されている。人間国宝は希少な、消えかかった技能の保持・伝承者として尊いわけで、それが「フツーの技能」だった頃にこそ達人がいた。 》 中島 智
https://twitter.com/nakashima001/status/1629158210539245568

《 (政治的には真逆の立ち位置で世代も違う上野千鶴子高市早苗が、タイプとして似ているということに気づいた。男性性と女性性を巧みに使い分けながら偉いオヤジに気に入られ、男社会で立身出世している感じ。隙を見せない喋り方まで似ているように思える。自分が苦手だった理由がはっきりした) 》 大野左紀子
https://twitter.com/anatatachi_ohno/status/1629451931893768193

《 「闇市みたいな汚らしい繁華街は、再開発してキレイなショッピングモールとかにした方が、賑わいが生まれますよ」とか言ってる人は、日本の貴重な観光資源をドブに捨ててる自覚はあるのかな。 》 岸野雄一
https://twitter.com/KishinoYUICHI/status/1629325623834595329

《 少なくとも友好団体であることは間違いないですよね。 》 中野 昌宏【次回未定: 東京地裁610号法廷】
https://twitter.com/nakano0316/status/1629639105851142146