『世界は「関係」でできている』三(閑人亭日録)

 カルロ・ロヴェッリ『世界は「関係」でできている 美しくも過激な量子論』NHK出版2022年2月15日第3刷発行、「第三部 第六章 「自然にとっては、すでに解決済みの問いだ」」を読んだ。

《 過程や出来事、ひいては関係論的な属性や関係が織りなす世界の観点に立つと、物理的現象と心的現象の隔たりも、それほど深刻には見えなくなる。なぜならどちらも、相互作用が織りなす複雑な構造から生じる自然現象と見なせるようになるからだ。 》 184頁

《 宇宙は相互作用であり、生命は相対情報を組織する。わたしたちは、関係の網に縫い取られた繊細で複雑な模様であって、現在わかっている限りでは、その網が現実を構成している。 》 185頁

《 宇宙のあらゆる片隅に、目もくらむような膨大な階層構造が見出される。
  わたしたちはこれらの階層に規則性を見出すことができ、自分たちにとって意味のある情報を集めて、それなりに矛盾のない各階層の像を描いてきた。一つ一つの像は似姿であって、現実が層に分かれているわけではない。わたしたちが現実を分けた結果できた階層や、そのようにして得られたかに見える対象物は、じつは自然とわたしたちの関わり方、わたしたちが意識と呼んでいる脳内の物理的な出来事の動的配位のなかでの関わり方なのだ。現実をどのような階層に分割するかは、自然とわたしたちの相互作用の仕方によって決まる。 》 185-186頁

《 わたしたちは関係を基盤とする視点に立つことで、主観/客観、物質/精神の二元論から、実在/思考や脳/意識の二項対立を克服することはできないという主張からも、遠ざかる。 》 187頁

 「第三部 第七章 「でも、それはほんとうに可能なのか」を読んだ。

《 わたしたちが見つけた最良の現実の記述は、出来事が織りなす相互作用の観点からなされたものであり、「存在するもの」は、その網のはかない結び目(ノード)でしかない。その属性は、相互作用の瞬間にのみ決まり、別の何かとの関係においてだけ存在する。あらゆる事物は、ほかの事物との関係においてのみ、そのような事物なのだ。
  どの像も不完全であって、いかなる視点にも頼ることなく現実を見る術はない。絶対的で普遍的な視点は存在しない。 》 195-196頁

《 事物は互いにつながっていて、互いを映し合い、十八世紀の冷たい力学には捉えられなかった明るい光を放っている。 》 199頁

 カルロ・ロヴェッリ『世界は「関係」でできている 美しくも過激な量子論』、読了。興奮。耽読。しかし、安易に吹聴できない。

 昼、沼津市庄司美術館へ坂部隆芳展を友だちと見に行く。
 http://www.monmusee.sakura.ne.jp/kiroku2023sakabe.htm
 http://web.thn.jp/kbi/zakki1.htm
 歩き疲れて美術館の近くの店に入ると、なんと坂部さんが昼食に来ていた。こちらはコーヒーを飲み、三人で美術館へ。早速絵を拝見。どの絵も静謐でさり気なく、深遠と深淵を見せている。坂部さん独自の表現世界だ。一通り拝見して備え付けの椅子に座り、ふっと見渡すと、左に襖絵を模した二枚の大作。右に一曲の屏風を模した大作。どちらも日本絵画の伝統を刷新する気が生動し、流石(さすが)、と納得。そしてその間に小さな(といっても縦八十センチ、横三十センチくらい)絵。歳月を重ねた樹の幹だけが描かれた絵。この小さな(?)絵に驚嘆。これは桁違いに素晴らしい。両翼の大作を従えている。いや、扇の要のような位置を占めている。左右の大作は見事だ。が、その間の小さな樹幹の絵は、坂部さんの画業の転換点であり、さらなる高みを予感させる。また、絵画の歴史の隘路を抜け出した絵、絵画の未来をも予感させる絵、と直観した。
 かすかなひねりを感じさせる樹幹からは、遠く「ミロのヴィーナス」像のこだまを感じる。
 なによりも、完成一歩手前で絵筆を置いた手際に感服する。その消え入りそうな余白に、私たち見る者は、ふっと肩の力を抜いて惹き込まれる。長い絵画制作で培われた無意識の美意識が、作者の意図を超えて降臨し、そして絵筆を置いた・・・ように思われる。さりげなく深い表現世界。傑作だろう。
 久しぶりに物欲が湧いた。が、私には手にすることさえ憚れる。私のような一般人が所有するようなものでは決してない。

 ネット、うろうろ。

《 今年は空海生誕1250年だが、倍すると2500年か。釈尊とわれわれのちょうど間に空海が生まれているんだな。 》 清水高志
https://twitter.com/omnivalence/status/1631554668865413120

《 豪戦略政策研究所(@ASPI_org)より、衝撃的なレポートが出されました。
  先端技術44分野における各国比較で、中国が37分野で米国を凌駕。更に、日本は「1軍」の中米、「2軍」の印英、「3軍」の韓独豪伊から離された「第4軍」。朝日インタビューでかなり詳細に話させて頂きました 》 井形彬(Akira Igata)
https://twitter.com/AkiraIgata/status/1631164323925213184

《 平和を愛する日本共産党の方が、防衛大臣より日本の軍備について詳しいという悲しさ。これは自民党が「アメリカの言うままに軍備を買う」ことが目的化してるからこそ。こんなことで戦争に勝てるはずがない。平和を守れるはずがない。お花畑は自民党だ。 》 「戦い続ける」ザオラルさん🚩
https://twitter.com/OneMoreChance99/status/1631771072248041472