猛暑を逃れて『王朝百首』二(閑人亭日録)

 午前九時31.7℃。暑い朝。チュコレート・プラネットのYouTubeを視聴。暑くても愉快な朝だ。
 TT Brothers Will Make You SMILE! | Auditions | AGT 2024
 https://www.youtube.com/watch?v=zA17namdjfE&t=228s
 しかし、今日も猛暑日。家籠もり。そして今頃気づいた。「はじめに」で塚本邦雄小倉百人一首の選考に不満を述べている。そして自らの選歌への志を述べている。

《 流行、伝播(でんぱ)、浸透にはかならずしも名作たることを要しない。むしろその逆のことも多かろう。百人一首の人口に膾炙(かいしゃ)した最大の要因はかるたという遊戯に結びついたことにあろう。(引用者・略)私はあえて独断を避けず、私自身の目で八代集、六歌集、歌仙集、あるいは歌合集を隈(くま)なく経巡(へめぐ)って、それぞれの歌人の最高作と思われるものを選び直し、これを百首に再選して『王朝百首』と名づけてみた。私の久しい願いの一つであり、現代人に贈る古歌の花筐(はながたみ)である。 》

 前半五十首を塚本邦雄の解説は読まず歌だけを読んでみた。好みの歌を列記。歴史的仮名遣いはそのまま。

 4 うすく濃き野辺のみどりの若草にあとまで見ゆる雪のむら消え
                     宮内卿(くないきょう)

 7 はかなさをほかにもいはじさくらばな咲きては散りぬあはれ世の中
                   藤原実定(ふじわらのさねただ)

 12 面影のかすめる月ぞやどりける春やむかしの袖のなみだに
             俊成卿女(としなりきょうのむすめ)

 14 さくらばな散りぬる風のなごりには水無き空に波ぞたちける
                    紀貫之(きのつらゆき)

 15 言の葉は露もるべくもなかりしを風に散りかふ花を聞くかな
                 清少納言(せいしょうなごん)

 17 暮れぬべき春のかたみと思ひつつ花の雫に濡れむ今宵は
               藤原能宣(ふじわらのよしのぶ)

 23 わびぬれば身をうきくさのねを絶えて誘ふ水あらばいなむとぞ思ふ
                      小野小町(おののこまち)

 27 いなづまは照らさぬよひもなかりけりいづらほのかに見えし陽炎(かげろふ)
                                相模(さがみ

 32 篝火(かがりび)の影しるければうばたまの夜河(よがは)の底に水も燃えけり
                             紀貫之(きのつらゆき)

 33 移香(うつりが)の身にしむばかりちぎるとて扇の風の行方たづねむ
                    藤原定家(ふじはらのさだいへ)

 35 ほととぎすそのかみ山のたびまくらほのかたらひし空ぞ忘れぬ
               式子内親王(しょくしないしんわう)

 39 ひとこゑは思ひぞあへぬほととぎすたそがれどきの雲の迷ひに
              八條院高倉(はちでうゐんのたかくら)

 41 飛ぶ螢まことの恋にあらねども光ゆゆしきゆふやみの空
                  馬内侍(うまのないし)

 45 白露の玉もて結へるませの中に光さへそふ常夏のはな
                  高倉院(たかくらゐん)

 47 水上(みなかみ)のこころ流れてゆく水にいとど夏越(なごし)の神楽(かぐら)

         おもしろ
                            壬生忠見(みふのただみ)

 49 夏はつる扇と秋の白露(しらつゆ)といづれかまづはおかむとすらむ
                     壬生忠岑(みふのただみね)

 読み返すと他の歌が気になる。かといって五十首を引き写す力はない。誤字がないか心配。後悔先に立たず。公開してしまった・・・。何と無茶なことを。ま、それもいいではないか、年配者の無茶ぶりで~す。