『Ballads』『TRANSITION』(閑人亭日録)

 ジョン・コルトレーンのレコード『Ballads(バラッズ)』1962年録音を聴く。
 https://www.catfish-records.jp/product/30991
 サックス演奏を抑えに抑えたいぶし銀のような渋い演奏にシビレル。こういう演奏のできるジャズ演奏家は、私は寡聞にして知らない。
 続いて『TRANSITION(トランジション)』1965年録音を聴く。
  https://organicmusic.jp/products/john-coltrane-transition
 五十年あまり前、新宿西口にあったジャズ喫茶「びざーる」の薄暗い店内の大きなスピーカーの近くで聴いた。初っ端から怒涛の全力疾走、全面展開に度肝を抜かれた。まさしく衝撃の出合い。正気と狂気の境界線をまたぐ演奏(?)に魂消た。空前絶後。こんなすんげえ音楽=ジャズがあるとは。さっそくレコードを購入。その時の畏怖が今、鮮烈に蘇る。体力、気力ともにタフでなければ聴きとおせない。きのうときょう聴いた三枚のアルバムが、私的ベスト盤。畏るべしジョン・コルトレーン
 そして想起する北一明の焼成作業。ジョン・コルトレーン同様、正気と狂気の境界線上を、彼は半身を理性ぎりぎりに置き、その境界を凝視していた。コルトレーンと似ているが、音楽演奏と焼きものの焼成との違いがそこにはある。私の拙い表現力ではその違いをうまく言い表せない。そこは言葉の先、象徴的にしか表せない領域。以上、初歩的な雑記。