「足るを知る」。この言葉を時折思う。まだ足りないと思うな、と自省を込めて自制する。蒐集していると、あれもこれも、と欲しいモノが現れている。金鉱脈を発見したようなもので、掘れば(探せば)まだ金鉱石が出てくる・・・。金鉱石なら品質に変わりはないが、モノ(古本、美術作品等々)は、品質にバラツキがある。上質なモノ、必須なモノを選ぶ選択眼が求められる。つまらぬモノを掴んだり、私にとって不要なモノを入手したり。その見極めというか選択が一苦労。美術雑誌『國華』に注目し、たまたま見つけた創刊号から百五十号までの一括が古本屋に出品されていて購入。二十年あまり前だったかな。百五十号以降はぱらぱら見るが、これ以上は手に負えないと見送っている。
審美書院の美術本は、二十年ほど前、京都の古本屋の記事で知った。拙ブログの記事「明治後期の審美書院」。
https://k-bijutukan.hatenablog.com/entry/2020/08/06/193611
審美書院と代表者の田島志一に興味をもち、蒐集を始めた。しかし、出版された本の詳しい資料がなかなか見つからない。待てば海路の日和あり、で時折ネットを巡覧してきた。審美書院で最も高価な『浮世絵派画集』全五巻はオークションに出品されてもいつも見送り。ネット・オークションは締め切り間近になると入札が熱を帯び、急激に跳ね上がる。高過ぎ(誰が買う?)。自制するまでもなく、あきれてしまう。そんなこんなでネット・オークションは殆ど見てるだけ~。自分に縛り(自制)を入れておくことが肝要。審美書院以外の田島志一に関わる古本は、想定内の価格で入手。『浮世絵派画集』はまだ入手していないが、いつか「島田志一と審美書院展」を開催したいな、と思っている。開催してどうなることもないが、「つりたくにこ没後二十五年 回顧展」を2010年に開催し、それが自分の生き抜く力になった。他人様のためではなく、自分が生き抜くために企画展をしている。