『縄文論』再読・六(閑人亭日録)

 「南島論」を読んだ。

《 吉本隆明は、列島に生まれた国家が変容を重ねながら、この現代に至っても、古来以来の、いまだ呪術宗教的な共同の幻想であることを明らかにした。そrれでは、なぜ『共同幻想論』に引き続いて、来たるべき「南島論」が書きあげられなければならなかったのか。列島の中心部で形となった天皇制国家は、歴史以前から長く続く〈母系〉制社会に「接ぎ木」され、その構造を収奪した新しい体制に過ぎなかったからだ。南島には、その「接ぎ木」された天皇制国家を容易に相対化してしまえるほど古層の、アジア的な原初の共同性を保った体制が維持されていた。 》224頁

《 だから南島をより掘り進めて行けば共同幻想として成立した「国家」の起源に到達でき、さらにはそれを、より普遍的な人間の営みの方向、人類史への方向へと乗り越えていくことができるのだ。吉本は、高らかに宣言する──。 》225頁

 午後1時35.1℃。夏痩せ・・・。