格違いの二級品(閑人亭日録)

 午後の陽光の中で北一明の茶盌をしばらくぶりに鑑賞。二級品だが、彼の二級品は、名の知れた陶芸家の一級品とは格違いの趣きがある。掌の上で深い静けさを見せる釉薬は、突然耀き、変幻する。北ならではの釉薬の魅力だ。減退していた気力が回復へ向かう。『現代の美術 art now2 幻想と人間』『3 情念の人間』の二冊を繙いて、いかんせん疲れた。強烈な自己主張、激しい表現意欲に辟易した。そういえば『現代の美術』12冊には陶芸作品はないようだ。2024年の時点で『新 現代の美術』を編集するとしたら。