『現代の美術 art now6主張するオブジェ』(第9回配本)講談社 1972年1月15日第1刷発行、東野芳明・編著、巻末の「現代物体論」を読んだ。
《 ぼくらを取り囲んでいる物体を掩っているさまざまな意味の大半は、とりもなおさず、ぼくらが生きている社会機構の投げかける意味に彩られているだろう。そして、芸術家たちが、執拗に、物体に埃のようにたまってゆく意味を、ひとつひとつ剥がしてゆくのは、とりもなおさず、その社会的な意味の全貌を点検することによって、意味自体を無価値なものに還元してゆく作業にほかなるまい。つまりは、物体を、生活の安易で無害な小道具から、意味を否定し、「人間に立ちはだかるもの」に絶えず変換することによって、人間自身を、絶えず、物体と生まに直面する、酷薄で自由な存在に解放しようとするのである。この観点から考えると、20世紀芸術にあらわれた、物体の相貌は、さまざまな化粧をほどこされながら、たしかに意味の剥奪化の方向にますます進んでいることが明らかになる。 》111-112頁
『現代の美術 art now6主張するオブジェ』読了。
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