1997年6月1日、K美術館を開館。味戸ケイコさんと北一明の作品の常設展示館。それだけでは話題が乏しいので、いろいろな企画展を試行した。
2000年、ネット検索では、木版画絵師・小原古邨は、たった18件。現在、約375,000件。2002年、「小原古邨と周辺展」を開催。閑古鳥が鳴いた。2018年、eテレ「日曜美術館」で特集され、一気に人気沸騰。会場の茅ヶ崎市立美術館に、資料を貸し出したお礼にくれるという図録をもらいに行ったが、なんと売り切れ。手ぶらで帰宅。
『小原古邨作品集』阿部出版に掲載する写真を撮りに来た雑誌『版画芸術』の編集長に撮影後、奥野淑子(きよこ)さんの木口木版画を見せると仰天、「電話してください」。電話。
多摩美の卒業制作展で瞠目したリトグラフの佐竹邦子さんの企画展をした。
http://web.thn.jp/kbi/satake3.htm
版画集に載せる推薦文を依頼され、書いた。お礼に版画集をもらった。彼女は今では多摩美術大学の教授。
2007年夏の「NOIZ・2007」は、市川直二郎の持ち込み企画で、地元の若手作家、美術家の卵を見つけてきて総勢百人余りの人がごちゃごやと作品を展示。ひと夏の経験だった。そこで知り合ったのが、内野まゆみさん、白砂勝敏さんだった。一パーセントでも作家として目が出れば成功と思っていたが、二パーセントは成功だった。
そして「内野まゆみ展」。報道などには知らせなかったので来場者は少なかったが、じつに好評で、さらに椹木野衣氏が来訪。じっくり鑑賞され、内野さんにいろいろ質問をされた。光栄だ。
ハイライトな記憶の企画展を書いたが、その他の大部分の企画展もほとんど話題にならなかった。没後25年記念の「つりたくにこ展」は、静岡大学の平野雅彦さんから大いに評価されたのが、嬉しい記憶。
http://www.hirano-masahiko.com/tanbou/1388.html
今年、夫の高橋直行氏に、現代美術の殿堂、パリのポンピドゥー・センターから企画展「マンガ コミック 1964-2024」への出品依頼が届き、二人で「来ましたね~!」と喜びを分かち合った。きょうあたりが最終日だろう。来年は没後40年。六月半ばに内野さんと同じ会場で「味戸ケイコ つりたくにこ 二人展」を五日間開催予定。味戸ケイコさんと高橋直行氏が賛同してくださった。嬉しい。
孤独な思考と試行を重ねてきた四半世紀。孤独な試行は、いつしか共鳴者が現れ、試行は共同の催行となった。最高。多分、来年が最後の企画展。