『風に吹かれて』六(閑人亭日録)


 『五木寛之エッセイ全集・第二巻─風に吹かれて』講談社を読み進める。「わが新宿青春譜」結び。
《 だが、あの頃の女たちはみんなどこかへ消えてしまった。〈モン・ルポ〉のマダムの顔も、もう忘れかけている。憶えているのは、あの二丁目にかかる都電のレールの白い輝きだけだ。 》254頁
 学生時代に片想いした女性たちの顔も名前も、ほとんど憶えていない。ただ切なかった感情が遠い記憶の底から浮かんでくる。会いたいか? 会わないほうがよい。外は雨。