『風に吹かれて』七(閑人亭日録)

 『五木寛之エッセイ全集・第二巻─風に吹かれて』講談社を読み進める。
 「百年よりも二十年」
《 ところで今日は何を勉強したか。本日は、第五章、書籍について、というところをやった。 》257頁
《 例えば、来客または目上の人に本を渡す場合、本のどちらを頭にして相手に差出すべきか、などというマナーがちゃんと明記されているのである。 》257頁
 午後、知人が催促されて「忘れていた」と古本を返しにきた。彼が借りていた古本、小杉未醒『漫画と紀行』博文館 明治四十二年五月廿八日發行を、私は紙袋に収めて渡したが、彼は車から降りて、何も包まずに片手で私に渡した。そんなものだなあ。
《 聞くところによれば、街角に出ているEXPO'70のポスターのEXを、ANに書き変えて歩くいたずらが流行しているそうだ。 》260頁
 大阪万博でそんな話題は見聞しない。
 「優しき春の物語」
《 それから犀川(さいかわ)べりの道をぐるっと回って卯辰山(うたつやま)に登り、雪に埋れた秋声の碑を眺めて望湖台へ上った。 》261頁
  卯辰山文庫という本があり、「うしんざん」と読んでいた。
 「あわて者の末期の目」
《  池上線の事故の記事は、社会面の左隅に小さい見出しで出ていた。
  「あわてた乗客 飛び降りてケガ」
   と、いうのがその見出しの文句だった。あわてた乗客とは、私のことだった。 》279頁

 小原古邨カレンダーが、中外製薬から今年も送られてきた。以前突然送られてきたので、メールで問い合わせた。その返事。
《 貴殿がこれまで深く古邨作品に関わってこられたことに敬意を表し、
  弊社が日本化薬㈱の古邨カレンダー制作を支援していることから、
  来年のカレンダーを贈呈させていただいた次第です。》