『風に吹かれて』八(閑人亭日録)

 『五木寛之エッセイ全集・第二巻─風に吹かれて』講談社を読み進める。
 「森と湖に囲まれた国」冒頭。
《 フィンランドは、私にとって忘れ難い国である。 》280頁
《 シベリウスを聞くたびに、私は強国に隣接した小国の悲劇性といったようなものを感ぜずにはいられない。 》285頁
《 芸術的であることが、深く人間的であるということならば、民族の運命と音楽は、必ずどこかで生(なま)の形でつながっていると思うからである。 》285頁
 「北国のオブローモフ
《 物を書くということは、一体どういうことなのか? そもそも自分は何ものか? 》297頁
 『五木寛之エッセイ全集・第二巻─風に吹かれて』講談社、読了。いい読み物だった。今読んで正解。

 某ギャラリーの女性オーナーとこの数日、メールで遣り取り。昨夜送信した拙メール。
《 拝復
  越沼正です。
  「幼少期の関心事や環境がその人のその後の道筋や創作に影響を与えることを
  見出すことが多く、驚きとともに納得しています。」
  それは、私の応援している美術家にも実感します。
  和菓子屋といいましても、美的な物ではなく、父母の作っていたのは、団子、大福、おはぎと言った大衆的なもの。
  卒業して半年後の十月に父が早朝の仕事中に心筋梗塞で急死。
  仕方なく甘味処(団子屋)を、継ぎました。葬式で、大学の友人から「お前のする仕事ではない」と言われました。
  それは重々承知。従業員を食わせるために、東京で友人たちと会社を起こすことから離脱し、好きではない甘味処を繁盛させて店を辞める、と決意。四半世紀ほど売り上げを順調に伸ばし、ここが潮時と、1997年1月15日に閉店。
  土地を購入。半年後にK美術館を開館しました。資金は、すべて甘味処で得たもので、自腹です。
  なので、好きなことができました。 》

 突き抜けるような青い空。屋上では強い風が吹いて、干したばかりの洗濯物が翩翻と翻っている。シャツ一枚で心地よい。午前十時16.1℃。風速5.9m/秒。湿度26%。しばし日光浴。
 夕暮れ間近。午後四時13.6℃。風速7.9m/秒。湿度36%。寒風~。